リブログ 『順に巡るその季節に 皆が知るあの花が咲く時。』 | poetissimo

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思いを。
言葉を。
もっと、強く強く。

それが『ポエティッシモ』。




ロス。

そんな言葉が胸の内で実にしっくり
くる状態で長く続いているのが、
シンガー・ソングライター・前野健太
さん
の『ラジオ100年後』の放送終了。

今となってみれば、改めて独立した
立場で音楽活動に本腰を入れる為の
準備段階だったなら、合点がいく所。

余情を味わえる邦楽、そこに紡がれた
歌詞との邂逅も多々あっただけに、
もう2年が経ったにも関わらず、
ぜひ一夜限りでもと、復活の機が
熟すのを待っています。


リブログした詩は、当時の最終回に
寄せて綴った備忘録を元に、放送局の
ラジオ日本にも近い東京タワーを
絡めたもの。


その前野さんが4月に自身のレーベル・
ROMANCE RECOEDSから、7枚目の
アルバム『ワイチャイ』を発表。



前作『サクラ』以降、4年に渡る旅路と
日常の光景が交わりながら生まれた歌が、
パンデミックの煽りを受けるもライヴで
磨かれ、ようやく作品に束ねられました。


収録曲の中でも先駆けて唄われ始めて
いたのが、『戦争が夏でよかった』。

ゆくゆくは絶唱に込められた背景を
本人の声音で聞きたい気持ちがあった所、
幸いラジオプロモーションの折に前野さん
の音楽性に明るいパーソナリティの方が、
曲名を含めた真意を自然と引き出して。


仕事先の沖縄で対馬丸記念館にたまたま
入った後、帰りの空港で雲間からきらきら
と海に射す夕陽を見て、(疎開していた)
その時の子供達に馳せた思い。

そして、この国に夏が来る度に暑い / 熱いと
いう事と、戦争という言葉が結び付いていて、
毎年思い出せる(忘れない)事。

実際はもっと詳らかに話していましたが、
抜粋させて頂くと、こうした肌感覚や記憶へ
碑(いしぶみ)の様に刻まれた事象が、
大きな創作動機となったと窺えます。


飾り立てない歌詞に、熱気が迸る音色。

現代の吟遊詩人とも呼ばれる前野さんの
流儀は、コミカルな歌も逆説的な歌も
一貫している。

日を追う毎に守る厳しさが迫るが故、
いつまでも手の届く日常が描ける世の中で
あってほしいと願う身としても、
時代を取り巻く“今”の空気感を
一度確認すべく立ち止まってみる
ひとときをくれる標識となっています。




『戦争が夏でよかった』
作詞・作曲・歌 前野健太


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読んでくれて、ありがとう。