周囲から親切にされたとき
我が家は何もお返しできるものがなく
「いつももらうばかりですみません」と言うと
「そんなの気にしなくていいのよ」
「ここに来て、いてくれるだけで嬉しいんだよ」
「何かあったら助け合えるでしょ、お互い様よ」
と言って大量の野菜を置いていってくれたり
我が家が薪ストーブを使っていると知ると
自分の土地で伐採した木を「薪ストーブに使って」と
わざわざ運んできてくれたり
畑をやりたかったらウチの土地タダで貸すよ
と言ってくれたりします。
田舎の人はどうしてこんなに親切なのでしょう?
田舎の「お互い様」精神で行われる親切は
やったことに対する直接的なお返しを
求めているわけではありません。
いつか自分が困った時に、助けられる人が、
できる範囲で手を貸してくれればいい、
蒔いた種(自分ができる親切)があちこちで育って
そのどれかがいつか望む形となって帰ってくればいい、
そんな感覚です。
そうやって「お互い様」の土壌が出来上がっていて
それぞれができる親切を互いに贈り合ってるのです。
だから、親切にしてもらったときに
その場でお返しできる適当なものを持ち合わせていなくても
気に病む必要はなく、ありがたく素直に受け取り、
いつか自分ができるときに違った形でもできることをして
恩を返せばいいのです。
などと知ったようなことを今は言っていますが、
私自身、周囲から親切にされると
すぐに何か返さなければと焦ったり
返せるものがないと申し訳なく思ったり・・
与えられる親切に対して
ずっと居心地の悪い思いをしてきました。
20年以上もこの田舎に住んでようやく最近
田舎の「お互い様」精神を理解したところです。
ご厚意をありがたく受け取って感謝すると
みなさん満足して、喜んで、
ますます親切にしてくれます。
下衆な言い方をすれば
いつか恩返しをしてもらえる「担保」に成功したから。
でもそれだけではない気がします。
普通の感覚の人間ならばやはり誰でも
自分の行いが相手に喜ばれたら嬉しいですよね。
単に損得勘定では終わらない純粋な気持ちも
田舎の親切には含まれていると思います。
田舎の厳しい環境、大変な暮らしを
身にしみてわかっている人たちは基本的に
思いやりがあって親切なのだと思います。