デ・キリコ展 @ 東京都美術館 に行ってきました。
ウィーク・デーだったので
人は比較的少なかったはずですが、
人をかき分けて観る感じも
なきにしもあらずだったので、
週末や夏休みはどれだけ混むだろう?
今のうちに行ってしまってよかった、と思いました。
今回の展示作品の中では
「ヘクトルとアンドロマケ」1970年
「トロイアの前のヘクトルとアンドロマケ」1968年
「イタリア広場(詩人の記念碑)」1969年
そして数々の彫刻たちが気に入りました。
(*同じテーマでいくつもの作品があるので
制作年情報も大事)
彫刻など観ると彼もデッサン力は確かだった
ことがわかるのですが、
絵画作品では「不思議さ」を演出するための手法
(遠近法のズレ、関連性のないモチーフたちの同居)が
私にはいささか恣意的というか too much というか
どうもしっくりこない気がしました。
芸術(音楽、文学、美術)には2つの側面
A:作者の思想や理論を盛り込む
B:純粋な美を追求する
があると私は思っているのですが、
どちらかというと B に重きを置く方が私の好みです。
キリコの作品は A に重きを置くあまり
B が疎かになっているというか
わざと疎かにしているという感じがします。
そこがいまひとつキリコにのめり込めない
原因なのかもしれません。
そういう意味で A と B のバランスがいいのは
芸術界ではやはりピカソがいちばん
なのではないかと思っています。
また、先日展覧会に行ったマティスも
色と形のバランスが絶妙な作品たちは
B のウェートが高いと思います。
(マティス展の感想記事はこちら)
それでもキリコの作品に B が皆無かというと
そういうわけではありません。
あくまでもバランスとして A の方が強いということです。
優れた作品であることは疑いようがないので
生で観ることができてよかったと思っています。
ちなみに、私はこの展覧会前に
山田五郎さんの動画を見てから行きました。
予備知識を持って展覧会に行くと鑑賞が深まります。
五郎さんの動画でざっくりとした知識を得てから観ると
音声ガイドがなくても楽しめますし、
なんなら長々しい解説(大抵人だかりで見えにくい)も
読まずにすっ飛ばしてしまってもOK。
(私はもともと音声ガイドが好きではなく
感性のままに自由に鑑賞したくて
わざと解説を読まないこともあります)
五郎さんのチャンネル おもしろくて大好きです。