半年前に一目惚れしたあの人に とうとう会ってきましたわよ

エフゲニー・キーシン
デビュー25周年 40歳バースデー・スペシャル・コンサート
2011年10月10日(月) 18時開演 サントリーホール
〔曲目〕間に20分弱の休憩を挟んで2時間
シューマン 幻想小曲集 Op.73(チェロ:クニャーゼフ)
ラフマニノフ チェロ・ソナタ ト短調 Op.19
(チェロ:クニャーゼフ)
ショパン 夜想曲第10番 編イ長調 Op.32-2
ショパン ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 Op.58
〔アンコール〕拍手喝采の1時間
シューマン/リスト 献呈
ショパン スケルツォ第2番
ショパン ワルツ第7番
ショパン 小犬のワルツ
ショパン マズルカ第40番
ショパン ワルツ第14番
クラシックのことはよくわからないズブ(ブスではない!)
の素人なので
詳しい方がよくおっしゃるような
リズム感やらミス・タッチのことやら曲の解釈やらは
な~んにも語れません
それに 憧れのキーシンを目の前にして
すっかり舞い上がってしまい
とにかくドキドキして 脳みそがしびれて何も考えられず
細かいことはろくに覚えていない有り様です
ただただ 彼の豊かで時に胸が締めつけられるような音の流れと
鍵盤をなでるような優しくなめらかな手の動きだけが
印象に残っています
若い頃の ノリにノッて突っ走っているような印象ではなく
様々な人生経験を通して 落ち着いて幅と深みが増した感じです
ピアノは彼の一部となり まるで歌うように奏でられていました
そして今回 私がいちばん感じたのは 彼の優しい人柄です
ちょうど彼の誕生日だったこともあり
客席には花束やプレゼントを持ったファンがたくさんいました
アンコール曲を演奏し終え
拍手に応えてお辞儀をする瞬間をねらって
客席のあちこちから直に贈り物を渡しに
ファンがステージに駆け寄りました
本来ならこれはマナー違反でしょうが
キーシンの誕生祝いということで
ホール側もおおめにみてくれたのかもしれません
止めに入る係の人はいませんでした
キーシンも 贈り物を手に寄ってくるファンひとりひとりに
ていねいに対応していました
実は私もプレゼントを持って行っていたのですが
コンサートが終わってから
レセプショニストにでも預けて帰ろうと思っていました
放射能汚染のあるこの時期の日本に
公演をキャンセルせず来てくれて
素晴らしい演奏を聴かせてくれたことへの感謝の気持ち
激動のソ連・ロシアに生まれ育ちながら
ここまで才能を育んできたことへの
称賛とお祝いの気持ちを 私も直接伝えたい!と思いながら
でも 客席から直に渡すなんてそんなはしたないことを!
という思いもあって
ファンとキーシンの様子を
羨ましいけれど我慢して眺めていたのです
そうして何曲かのアンコールをやり過ごしました
が、最後の最後で我慢の限界が・・・
気づいたら
荷物を抱えて2階席からステージ前へダッシュしてました
キーシンは 他のファンの方にもそうしていたように
プレゼントを受け取りながら
私の手も一緒にギュッと握ってくれました
その手の力強さと温かさに 私はキーシンの優しさを感じました
本来ならマナー違反のところを
それでもどうしても差し出さずにはいられなかった
ファンの気持ちを
しっかりと受け止めてくれているんだなぁと思いました
また アンコールでは鳴り止まぬ拍手に応えて
舞台中央と袖を何度も行ったり来たり
何か言いたげなはにかんだ笑顔で
幾度となくお辞儀を繰り返していました
その律義さに こちらは更に拍手に熱がこもり
それに応えてまたお辞儀・・
この温かい応酬が夜通し続くんじゃないかと思えるほどでした
インタビューなどからはよく
子どもの頃から彼の才能を守り育ててくれた
家族と師匠であるカントール先生への
感謝と深い愛情が窺えるけれど
こうして ファンの気持ちも大切にしてくれるんだなぁ
彼に向けられるあらゆる人の心を
ちゃんとくみ取って大事にしてくれる
キーシンてそういう人なんだなぁ と
ますます彼が好きになりました
そして 今まであまり好きではなくて
聴かなかったショパンですが
キーシンの演奏でじっくり聴きたくなり
帰宅して即行でネット注文しちゃいました♪