「弱火」何と読む? |  田舎女 *ぽこ* のなんてことはない日々

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   独立した娘2人を持つパートタイマー主婦です。
   ワインのこと、愛猫のこと、
   寒冷地のド田舎暮らしのこと・・
   思いつくままに。

トピックに上がっていて気になったので
自分でも調べてみました。
(元記事 → ◎ )

私の使った辞書は2冊。
どちらも古いものですが。
発売日の古い方から紹介しましょう。



新版 角川国語辞典
編者:久松潜一、佐藤健三
発行者:角川書店
発売日:1986年1月


ちなみに高校時代から愛用している辞書です。
発売日を見ると、新版が発売された年と
私の高校入学の年が一緒(あ、年齢がバレる・笑)。
高校進学と同時に新調したこの国語辞典は
ちょうど改編されたばかりだったんですね~。
当時のフレッシュな気持ちを懐かしく思い出しました。

で、この辞書によると・・

そもそも「よわび」という語句は掲載されておらず、
「とろび」の当て字として「弱火」と書いてありました。




広辞苑など他の辞書を見ても、
「とろび」は記載があるのに「よわび」は記載なし
という辞書が多いですね。
う~ん、これだけの記載では納得しきれないな・・。



一方、辞書好きの夫がたくさん持っている
辞書の中からひとつ借りてみたこちら ↓

新明解国語辞典 第4版
編者:柴田武、山田明雄、山田忠雄
発行者:三省堂 
発売日:1989年11月


編者には金田一京助の名もありますが、
実は名前を貸しただけで
実際にはまったく手がけていないんだとか・笑(春彦談)

で、この辞書によりますと・・

とろび 【〈〈弱火】 という記載。これは、
常用漢字表にあっても本表にない読み方をするものということ、
でも 【 】 にしっかりくくられているので正書法です。
つまり、とろびは弱火と書く=弱火はとろびと読む。

そして念のため「よわび」も調べてみたところ、なんと!
よわび 【弱火】 とろ火の、文字読みによる新語形。 
と明記されていました!



というわけで、「弱火」は本来「とろび」と読むのが正しい!
でも新語として「よわび」も定着していて間違いではない!
ということですね。

現在では「よわび」の読み方の方が一般的に定着していて、
それどころか「よわび」と「とろび」は別物で
「よわび」よりももっと弱い火加減が「とろび」
というイメージが強いですけれど・・。
火加減として「強火・中火・弱火・とろ火」と4段階で
ハッキリ書いてある器具もあるようですしね。

もとの記事の中でもたくさんの人が
いろいろな意見を書かれていて
少々混乱しているようでしたが、
これで私もスッキリしました。
ことばっておもしろいですね!



以下余談です。
もと記事ではトピ主さんが引用元不明のネット情報をもとに
「へ~」と軽い気持ちで思ったことを
断言口調で書いてしまったことで、
たくさんのひとが混乱したり
意見の食い違う人同士で言い合いになったり
という状況になってしまったように見えました。
何事も確証の持てないことを安易に流布してしまうと
それを更に安易に受け取って拡散してしまう人がいますし、
匿名性の高いSNSという場では軽い気持ちで
無責任(かつ攻撃的)な言動を取る人が増えますから、
特にネットという拡散の速さも場所も大きな場所では
情報の取り扱い方には(受け取るにしても、
発信するにしても)注意が必要だと
改めて思い知る例でした。