ざこば師匠を偲ぶ | 柳家小きん オフィシャル・ブログ 小きん集

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本日の東京は、初夏の陽気に戻りました。
皆様、お元気でお過ごしでしょうか。

報道されておりますとおり、
私の大先輩であられます
桂ざこば師匠が、お亡くなりになられました。

ざこば師匠とは、私が前座の頃、
鈴本演芸場での「枝雀ざこば二人会」で、
初めてお会いさせていただきました。

そこで私は、ざこば師匠に対して、
大きなしくじりをしてしまったのです!

ざこば師匠の出番となり、
私は上方落語特有のお道具・見台と膝隠しを出し、
見台の上に拍子木を置かなければならなかったのですが、
初めての見台と膝隠しのセッティング故、
拍子木を懐に入れて高座返しをしたまま、
拍子木を見台の上に置くのを、忘れてしまいました。。

私が上手へ戻ると、ざこば師匠が高座へ登場されて、
座布団へ座られる前に、拍子木が無いことに気づかれて、
師匠が上手へ戻りかけた時に、私が大慌てで拍子木を高座へ届けて、
ざこば師匠は、そのまま座られて、
噺を始められました。

お客様は、それがネタだと思われたようで、
客席から、笑いが起こりました。

一席口演後、楽屋で、
「誠に申し訳ございませんでした!」と、
土下座をしてお詫びをしました私に、
ざこば師匠は、何も小言をおっしゃらずに、
笑って許してくださいました。

これが、ざこば師匠との出会いであり、
最後の想い出となりました。

私が一番印象深かったのは、
その日の枝雀師匠との楽屋話です。

ざこば師匠「そういえば、この間可朝兄ちゃんが、
ちゃーちゃん(米朝師匠)の家に、
夜中に行ったらしいで」

ざこば師匠「それも大分酔って行ったらしい」

枝雀師匠「そりゃ酔ってなければ、
夜中にちゃーちゃんの家には行かないわな」(笑)

枝雀師匠「それで、どうなった?」

この後は、ざこば師匠のお弟子さんが加わり、

お弟子さん「奥さん(米朝夫人)が出られて、
『あんたうちへ来るのはええけんど、
いつも夜中やな~』」(楽屋中爆笑)

あの時の兄弟弟子二人の温かな雰囲気は、
今もよく覚えております。

思えば、枝雀師匠もざこば師匠も、
鬼籍へ入られました。

ざこば師匠。
大変にお疲れ様でした。
あの時は許してくださいまして、
誠に有難うございました。

ご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

合掌