ありふれた教室 | 温故知新 YEBISU NOTE

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ベルリン映画祭グランプリのドイツ映画


ストーリーは、学校内で盗難事件が続出、、


学校側はある生徒に疑惑の目をむけるが、犯人であることを前提としての尋問形式に担任の女性教師カーラは異を唱える。


校長は「不寛容」の態度で臨むという態度を示しているが、生徒の両親(その家庭はアラブ出身の移民)を呼びだしたうえで、とりあえず誤解は解ける。それもつかの間、今度は当のカーラ先生の財布からカネが抜き取られていることが発覚!


カーラは真犯人を見つけ、生徒への疑いを晴らすために隠しカメラとして仕掛けたパソコンの録画機能に、ある人物が映っていた。それを証拠にまず校長に相談して、当の人物を呼び出し尋問。しかし、その人物は覚えない!と言い、逆にこれは人権侵害だと怒りを示す。

校長は早々と逃げの姿勢、、、


ややうろたえるカーラ先生


それから、様々な人達が様々なリアクションを、おこしてゆく。

➡️生徒達は疑心暗鬼、カーラ先生への不審感もつのり、分断、クラス崩壊に向かっていきだした。


父兄からも同僚からも批判され、孤立無援に陥る、、、


 学校社会は閉鎖社会の典型ともいえるのではないかと思うが、特にローティーン相手が一番難しいのではないかと思える。それは、多人種、多民族社会の欧州でも学校が閉鎖社会に変わりないだろう。ドイツは積極的移民受け入れの国だから、既にお馴染みのトルコ系だけでなく、アラブ系、アフリカ系と一目でわかる者も多く、さらに女子の衣装からイスラム教徒とわかる者もいる。それに、東欧系もいたのだろう。実際、カーラ先生もポーランド出身ということになっている。

それに、父兄たちの様子をみる限りでは、経済的には中流以下の家庭が多いように見えた。

典型的、ありふれた公立校という感じがした。

ただ、ヨーロッパ全体というか、ドイツから北欧にかけて共通すると思うが、ローティーンであろうとも、大人相手に発言する権利は認められているようであった。

新聞編集を担当する生徒たちは容赦なく教師にモノを言う。

これは活気的なことだと思うし、我が国のように、「子どもは大人の言うことを聴いて素直にしなさい」などという考え方とは正反対のようで気持ち良く?観ることができた➡️自論ですが、けっこう本気に思ってます。


 しかし、地域、学校のカルチャーに関わらず、誰もが顔見知りのような平穏な小社会で連続窃盗などの事件が起きれば、互いに疑惑の目を向けあい、問題解決に努力しようとすると、逆にバッシングされたりすることもあるでしょう。さらには、分断が起こり、無法地帯にさえなりうる、、、そして、それを収めようとする方も、責任逃れを第一に考えているようだ。


学校ということなら、小学校の「道徳」の時間に取り上げられたことがあるような問題をベースにしたこの作品。意外と世界中のあらゆる人々が、「学校」ではなくても似たようなことを経験しているかもしれない。


最終的にはなぜか懐かしのルービックキューブが登場!

カーラ先生は授業風景も時々出てきていたが、理数系でなかなか進歩的な授業を展開していたようだ。この度の一連の騒動でカーラ先生が「心に傷」を負わせてしまったある生徒に、ルービックキューブによる理数系的発想転換を促し、カーラ先生とその生徒とを和解に持っていこうとするのが結論だったのかな、、、


作品としては、サスペンス調の学園ドラマでとても面白かった。