ベルリンが舞台であるが、リアルタイムで東西ドイツ統一前の作品。1980年代後半であるので、ドイツ統一を間近に控えていたのであるが、かといってまさか東西ドイツがそして東西ベルリンが統一することになるとは思ってもいなかった時代。統一から30年以上になるとはいえ、どこかほのぼのとした暖かさを感じるところなど、数年後のドイツを予感してたような作品。
天使というもの、なんとなく羽をもつ細身の女性とか羽を持つ少年、少女というイメージがあるが、なぜか、中年親父の天使がふたり登場する。ごくフツーな感じというか、そこは一応天使であるから、くたびれた感じでもない。
人間の姿ではあるが、他の人間からは見えない。ベルリンの街を
俯瞰するかのように見つめているが、サーカス団の女性に興味を持つ。恋物語でもあるかもしれないが、モノクロの写真集のような映像にひきつけられつづける。燃えるような恋心とか感情を熱く刺激してくるところはないのだが、
画面が詩的で、台詞も詩集のように繰り広げられてゆく、、
ピーター・フォークが出演しているのは知っていたのだが、「刑事コロンボ」を演じている俳優ピーター・フォークとして出演しているとは知らなかった!
ストーリーがどうこうとか、感情移入がどうとかというよりも、
良質の音楽とか絵画に出会って感性が刺激される心地良い作品!!
この当時は、ゴルバチョフの登場で冷戦終結ムード、この10年前には東西ドイツ統一など絶対にないと思っていたのだが、ホンワカとした幸福感がベルリンの壁が崩れることを予感させるような作品であった。