人間の境界 | 温故知新 YEBISU NOTE

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最近、EU諸国では極右勢力の勢いが以前にも増して強まっているようだが、その大きな原因に移民・難民問題があるだろう。


 中東やアフリカからの移民に元々は寛容であった人達もそれが増えすぎると経済的負担やら社会的不安も増してきて、自国の利益が侵されるとして移民拒否の姿勢に変わることも十分考えられる。


 この何年かの間、シリアなどのアラブ諸国、最近ではアフガニスタンなどの政情不安は伝えられている。


 難民受け入れに積極的なEUに対して、個々の国々はそうも言ってはいられないだろう。EUに対する個々の国々の期待は経済的繁栄であり、移民・難民の大量受け入れには積極的になれないのが実情だ。


ポーランドと国境を接するベラルーシは、自国からポーランドに入ってヨーロッパ=EU 諸国に行きなさい!と自国を経由してヨーロッパに入りなさいと大量の移民・難民を誘引しては国境を超えさせてポーランドに入国させるという手段を実行しだした。ポーランドにそれを受け入れられる度量があるわけもなし、国境警備隊を配置して、徹底的に排除することで対処する。まるでゴミや有害物を国境を越えて撒き散らすようなやり方だ!➡️念のために言うが、俺自身が移民・難民をゴミ同様だと思っているのではない。ベラルーシ(そのバックにはロシアのプーチンがいるようだが)のやっていることは、難民擁護のEUに対して非常にアイロニックかつ非人道的なやり方での強烈な嫌がらせであり、さらにはEU の分断を狙っているようである。その難民・移民たちは、ベラルーシが送り込む人間兵器とも呼ばれ、国境付近の森で多くの人が死んでいく。


 この作品の中では、排除するポーランドの体制側への批判が描かれている。しかし、何故難民がでるのか?という問題、それに何故

難民受け入れが難しいのかという問題を描くのはなかなか難しいと思う。




 しかし、危険を冒してもヨーロッパに入りたいと願う難民の人達やそれを支援しようとするポーランドの人達の描き方がドキュメンタリーチックであったし、立場上積極的に支援することはできないにしても、難民支援に理解を示す警察官や国境警備隊員がいることは救いであった。国家の単位での

エゴイズムが市井の人々を犠牲にしていることをよく表していた。


そして、ポーランド政府を批判しているこの作品に、体制側は当然ながら良い顔をしないのだが、国内の観客からは評価されているということも救いである。個人的には、難民・移民には寛容であるべきだと思うが、それが増えすぎると、経済、社会的に様々な混乱が起こることも事実であろう。


しかし、この問題、多くの難民が目的国に入る前に大量に亡くなっているし可哀想だとかの問題ではなく、何故難民がでるのか?もし逆の立場ならどうなるか?人道的とはどういうことか?など突き詰めて考えるべきだと思う。立場などどこで変わるか判らぬものである。

また、この作品、ポーランド政府は上映に対して妨害工作にも出たらしいが、それでもポーランド国内で空前のヒットになったということに驚いたし、流石、かってワレサ氏のもと共産主義=全体主義を倒した国だけのことはあると思えた。