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やるせない読書日記

書評を中心に映画・音楽評・散歩などの身辺雑記
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 今更ながらだが、レンタル屋で借りて本作を見た。感想から言えば固いこと

言わずに楽しめる映画だと思う。前作同様に、フィルムルノワールや東映任侠

映画にある情というウェツトな部分を差し引いてオセロゲームのようにくるくる変わる

力関係と裏切りと暴力を売りにしているが、二回目となるといささかマンネリ

感も否めない。名キャメラマン柳島克己のキャメラワークによる薄青い画面の中

で茶褐色の悪相の男達が黒い服を着てしょちゅう怒鳴りあっている。女性はほと

んど出ない。これだからたけしは両刀遣いではないかと言われるのだが、まあ、

そんな事もないだろう。人は偉くなるとホモとか出自が韓国籍とか疑われるも

のだ。

 とっ捕まえた相手のヤクザをたけしがドリルで拷問するところ、裏切ったヤ

クザを椅子に縛りつけ、投球マシーンで軟球をぶつけて処刑とか面白いアイデア

ですが、前作の歯科医の器具で相手の口の中をズタズタにするほうがスリリング

か。要するに見飽きた。

 俺は柳島克己のカメラワークのフアンだが今回はこれという場面なかった。たけし

の映画がつまらなくても、ぞっとするようなシーンが見られるのが楽しみなんです

が、前作にはあった秀逸なカットと同じ水準のものはなかった。柳島が年老いたの

かたけしが芸術的画面には興味を示さなくなのか。

 しかし役者にとって怒鳴って凄むだけなら割と簡単な演技だと思うんだが、どうな

んだろう。この路線で映画を作るのなら次は半グレとヤクザの抗争となるだろうが、

別の視点を加えないと駄目だと思う。

 
 繰り返して言えば、マンネリとは云え、それなりに楽しめた。北野ブルーはどこ

行った。そんなところです。