アマゾンで注文をした「図説 フランス革命」を読了。初歩的な入門書だが図版もあ
り理解しやすい。でも鼻くそとかついてるが。この本で面白いのは当時にジャーナリズム
の図版が多く掲載されていてオーソドックスな絵もあるが悪意のある諷刺画がありこ
れがかなりひどい。エロ・グロ・ナンセンスのオンパレードである。
(1は法王の教書(僧侶民事基本法を断罪する)で尻を拭いているフランス市民
文字通りキュロットをはいていない、サン・キュロット。1791年頃か、封建的特権を貪っていた
僧侶の財産を制限する立法が公布されたがそれに対してローマ法王が「僧侶民事基本法」を
弾劾する教書を出したが、その教書で平民は尻を拭いている。
(2)「王の真剣な仕事」と題された諷刺画。背後でマリー・アントワネットが情事にふけっているのに
何もできず子供をあやしている。1788年か1789年のもの。
(3)ヴェルサイユ宮殿の地下水道を這って逃げようとする国王一家の諷刺。左からマリー・アントワネット
王太子ドーファン、国王、王妹エリザベート、上ではパリ市長のバイイが脱糞しており、それが国王
にひっかかっている(1791年6月20日夜)
(4)ヨーロッパの君主たち(右側に立っているのはエテカリーナ2世女帝)に糞の攻撃をしかける国民
議会。その上ではルイ16世が「拒否権」の汚物をまきちらしている。しかしその後ろでは正義の味方
が大砲で国王を向こう側にぶっとばそうとしている(1792年頃の国際状況に対する諷刺)
とまあこんな具合である。マリー・アントワネットにはレズビアンの諷刺画もある。王様や権力者に対する
反感や嘲罵は尊敬の念があれば必ず両価性をもって派生しているだろうが、スカトロにまで行き着くも
のなのか、これはフランスという国民性によるのか18世紀という時代によるものかどうにも僕にはよく
分らない。ただサドの作品の淫蕩、スカトロ、拷問、諷刺、滑稽などがまったく作品固有のものではなく
サドの生きたフランス革命の時代相も作品に反映されていたのではないかと思う。「悪徳の栄え」は
ベストセラーだったというから結構、フランス人こういうの好きだったのではないか。例えば「閨房哲学」
(1795年、フランス革命最盛期である)でこんなむちゃくちゃな台詞がある。
あたしの亭主の趣味というのはね、とても奇妙な手続きを踏むのですけれど、つまり、あたしが
彼の頭の上に馬乗りに跨って、彼の口のなかにうんこをしなければならないの。そして、彼はそ
れを呑みこむのよ! 訳 澁澤龍彦
この件にきたとき思わずのぞけってしまったが、この頃って諷刺画を見る限りかなり喜んで受け入れ
られたんじゃないかという気もする。素人考えなので本当のところどうか分らないですけど。
※サドの文章があんまりひどくて不快に思われた方もいるでしょうが、サドの小説ってほとんどこん
なものばかりなのです。