追憶への追憶とはヘンリー・ミラーの著作にこういう題名のエッセイがあり、(もっとも僕はこのエッセイ
を読んではいないが)僕は幼少時の遠いあいまいな記憶をイメージしてこの題名を拝借しているが今回
の記事は高校生の頃で比較的鮮明な思い出だ。大学のころバイト先で知り合った中央大学の学生と昼
休みに話していてピラフの話になり「何、それ俺知らないぜ。」と彼は言った。笑い話のようだが昔はピラ
フなんてそんなに一般的な食べ物ではなかった。まあそんなころの話で僕は高校三年か二年で池袋を
友達と歩いていた。立教大学の近くに確か「樽」というジャズ喫茶があってそこへ行った帰りか新左翼運
動の機関紙などがおいてある古本屋を冷やかしてきた帰りだと思う。
小さなラーメン屋があり、(その当時は今みたいにラーメン屋が大したものではなかった)そこに友人と
入った。そこに塩バターラーメンというメニューがあった。「北海道で流行っているらしいぜ」と友人は言
った。注文してみると溶けかかったバターが出汁に浮いていた。初めて見るもので驚いた。
ニンニクと塩とバターの味は今まで経験がなかった。ただし飛びぬけて美味いとは思わなかった。
今でもそうだが僕はラーメン自体そんなに好きではない。どうという感想もなかったが、ニンンクのせ
いか家に帰ると鼻血が出た。若かったのだ。