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*現在、メラトニンの、
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流産歴が2回ある女性。
3回目の妊娠で出産となるが、
新生児に異変。
低血糖が続き、死亡する。
横浜地裁昭和55年10月30日判決
判例時報985号64頁
前回までのまとめ
○ 2回流産歴がある女性A。
○ 昭和50年1月23日
妊娠7週の診断
○ 4月17日:足の浮腫
○ 5月10日:血圧123/53
○ 5月31日:血圧126/59
たんぱく尿
▶︎ 妊娠中毒症 否定
ラシックス3日分 処方
○ 7月2日:血圧138/54
たんぱく尿
▶︎ 妊娠中毒症 否定
ラシックス3日分 処方
○ 7月26日:血圧136/50
▶︎ 正常範囲内と判断
子宮口が少し開きだす
(8月8日、17日も同様)
○ 8月22日 出産
妊娠37週 1600g
低体重+SFD児
SFD児:妊娠週数に比べて体重が少ない
・呼吸が浅い
・チアノーゼあり
・産声あげず
・手足を動かさない
・アプガースコア6か7(軽度仮死)
治療:酸素供給
呼吸中枢を刺激する薬を投与
▶︎ 改善した為2階の保育器へ。
依然チアノーゼはあった。
○ 8月23日
・チアノーゼ増加
・呼吸がうまくできない(陥没呼吸)
・冷房が効いた新生児室でミルクを与える
看護師「ミルク飲まないし、
抱っこしてると足が冷たくなる」
・夕方には黄疸が出現
○ 8月24日
・チアノーゼが強い
・呼吸がうまくできない
・ミルクを飲まない
・痙攣が起きる
・夕方には各症状が強くなる
・虚脱状態
▶︎ 低血糖を疑い、
5%ブドウ糖液を鼻の管から、
5〜10cc投与。
足を刺激するとゆっくり動かす。
搬送を決める。
○ 8月25日
0時20分 国立S病院に到着時、
心肺停止(1回目)、肌色が非常に悪い。
・人工呼吸と心臓マッサージで回復。
・血糖値が反応せず著しい低血糖。
▶︎ 50%ブドウ糖液3ml投与、
5分後正常値。
以後、10%ブドウ糖を点滴。
・肺を吸引すると血が混入
▶︎ 止血剤で様子見。
10時15分 心拍停止(2回目)
心臓マッサージで心拍再開
13時00分 20ml輸血
出血は続く
15時00分 大量出血
15時10分 心拍停止(3回目)
心臓マッサージで心拍再開
17時00分 大量出血がややおさまる
20時20分 血糖値測定で測れず、
著しい低血糖。
計測中に徐脈。
▶︎ 50%ブドウ糖を投与。
脈拍 正常まで回復
今まで見られなかった自発呼吸開始
○ 8月26日
・15%ブドウ糖液を点滴
・出血はおさまっているように見えた
・血糖はおおむね良好
・酸素供給も順調
○ 8月27日
6時30分 徐脈
7時20分 死亡
42.肺に血液が充満
︎ ⬜︎ その後、
子どもJの解剖がおこなわれた。
⬜︎ その結果、
肺は全肺葉(肺の全体)にわたって、
高度の出血があり、
気管支から末梢肺胞に至るまで、
血液が充満していた。
⬜︎ T医師が考えていたより、
はるかに高度の肺出血があった。
43.低酸素で脳浮腫
⬜︎ 脳については出血はなく、
低酸素が原因で起こった、
脳の浮腫が認められた。
44.裁判を起こす
⬜︎ 子どもJが死亡した為、
女性Aとその夫は、
Y医師を相手に裁判を起こした。
⬜︎ 慰謝料など、
1272万2000円の支払い
を求めた。
▶︎ なぜこの金額で請求したかは不明。
(金額として低い。)
弁護士の判断が良くなかったが可能性も。
45.裁判所の指摘
横浜地裁昭和55年10月30日判決
判例時報985号64頁
【争点1】
子どもJが、
SFD児として生まれた原因。
*SFD児:低出生体重時。
妊娠週数に比べて体重が少ない。
⬜︎ 子どもJが、
SFD児として生まれた原因。
⬜︎ 裁判所は、
「一般的に言えば、
妊娠中毒症で胎盤機能が低下して、
胎児への栄養の移行が悪くなり、
胎児の成長が阻害され、
SFD児が発生すると言われている」
と指摘。
*妊娠中毒症とは、
現在で言う「妊娠高血圧症候群」
46.裁判所の意見:今回のケース
⬜︎ 女性Aは、
血圧が最も高かった時で、
7月2日に最高血圧138。
⬜︎ 高血圧の部類に入るとはいえ、
正常は120前後とされる中、
それほど高いと言えない。
⬜︎ さらに、この高さの血圧が、
妊娠中持続していた訳でもない。
⬜︎ また、たんぱく尿が2回あったが、
次の診察時には正常になっていた。
47.低出生体重児の原因は不明
⬜︎ そのため、
女性Aが妊娠中毒症になっていたとは、
断定できない。
⬜︎ 女性Aが、
妊娠中毒症になっていたが不明なので、
子どもJがSFD児だった原因は、
不明になる。
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