【血液で溺れて死亡】生後まもない新生児の解剖。 | 岩城産婦人科妊活ブログ

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早発閉経、難治性不妊、男性不妊、着床不全、不育症など得意。
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[オンライン処方,PFC-FD,ネオセルフ検査,タイムラプス,TESE/PIEZOICSI可能]

 

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*現在、メラトニンの、

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ご協力して頂けると助かります。

 

 

     
 

 

流産歴2回ある女性。

 

3回目妊娠出産となるが、

新生児異変

 

低血糖が続き、死亡する

 

横浜地裁昭和55年10月30日判決

判例時報985号64頁

 

 

 

うさぎ 前回までの記事 うさぎ

 

① 2回流産した後の3回目の妊娠

妊娠中毒症を疑うが否定する。

 

② 出産したが産声をあげず

新生児仮死。

 

③ 出産翌日の子どもの様子

 

④ 国立病院に搬送、心肺停止

 

⑤ 肺から大量出血、低血糖、3回の心肺停止

 

     
 
サムネイル

スーツ 解説を担当致します。

弁護士の、
甲野 裕大(こうの ゆうだい)
です。


【取り扱い分野】

不妊治療分野/離婚分野

・不妊治療クリニック顧問
・凍結胚トラブル
・精子提供、卵子提供
・不妊治療中の離婚
・不倫
など

 
 

 前回までのまとめ

  

○ 2回流産歴がある女性A。

 

○ 昭和50年1月23日

妊娠7週の診断

 

○ 4月17日:足の浮腫

 

○ 5月10日:血圧123/53

 

○ 5月31日:血圧126/59

たんぱく尿

▶︎ 妊娠中毒症 否定

ラシックス3日分 処方

 

○ 7月2日:血圧138/54

たんぱく尿

▶︎ 妊娠中毒症 否定

ラシックス3日分 処方

 

○ 7月26日:血圧136/50

▶︎ 正常範囲内と判断

子宮口が少し開きだす

(8月8日、17日も同様)

 

 

○ 8月22日 出産

妊娠37週 1600g

低体重+SFD児

SFD児:妊娠週数に比べて体重が少ない

 

呼吸が浅い

チアノーゼあり

産声あげず

手足を動かさない

アプガースコア6か7(軽度仮死)

 

治療:酸素供給

呼吸中枢を刺激する薬を投与

▶︎ 改善した為2階の保育器へ。

依然チアノーゼはあった

 

 

○ 8月23日

チアノーゼ増加

呼吸がうまくできない(陥没呼吸)

・冷房が効いた新生児室でミルクを与える

看護師「ミルク飲まないし、

抱っこしてると足が冷たくなる

・夕方には黄疸が出現

 

 

○ 8月24日

チアノーゼが強い

呼吸がうまくできない

ミルクを飲まない

痙攣が起きる

 

・夕方には各症状が強くなる

虚脱状態

 

▶︎ 低血糖を疑い、

5%ブドウ糖液を鼻の管から、

5〜10cc投与。

足を刺激するとゆっくり動かす

搬送を決める。

 

 

○ 8月25日

0時20分 国立S病院に到着時、

心肺停止(1回目)、肌色が非常に悪い

 

・人工呼吸と心臓マッサージで回復。

血糖値が反応せず著しい低血糖

▶︎ 50%ブドウ糖液3ml投与、

5分後正常値。

 

以後、10%ブドウ糖を点滴

 

肺を吸引すると血が混入

▶︎ 止血剤で様子見。

 

 

10時15分 心拍停止(2回目)

心臓マッサージで心拍再開

 

13時00分 20ml輸血

出血は続く

 

15時00分 大量出血

 

15時10分 心拍停止(3回目)

心臓マッサージで心拍再開

 

17時00分 大量出血がややおさまる

 

20時20分 血糖値測定で測れず、

著しい低血糖

計測中に徐脈

▶︎ 50%ブドウ糖を投与。

 

脈拍 正常まで回復

今まで見られなかった自発呼吸開始

 

 

○ 8月26日

・15%ブドウ糖液を点滴

出血はおさまっているように見えた

・血糖はおおむね良好

・酸素供給も順調

 

 

○ 8月27日

6時30分 徐脈

7時20分 死亡

 

   

 

 

 42.肺に血液が充満

 

 

︎ ⬜︎ その後、

子どもJの解剖がおこなわれた。

 

 

⬜︎ その結果、

肺は全肺葉(肺の全体)にわたって、

高度の出血があり

気管支から末梢肺胞に至るまで、

血液が充満していた

 

 

⬜︎ T医師が考えていたより、

はるかに高度の肺出血があった

 

 
 

 43.低酸素で脳浮腫

 

 

⬜︎ 脳については出血はなく、

低酸素が原因で起こった、

脳の浮腫が認められた。

 

   
 

 44.裁判を起こす

 

 

⬜︎ 子どもJが死亡した為、

女性Aとその夫は、

Y医師を相手に裁判を起こした

 

 

⬜︎ 慰謝料など、

1272万2000円の支払い

を求めた。

 

 

▶︎ なぜこの金額で請求したかは不明

(金額として低い。)

 

弁護士の判断が良くなかったが可能性も。

 

 
 

 45.裁判所の指摘

 

 

横浜地裁昭和55年10月30日判決

判例時報985号64頁

 

 

【争点1】

 

子どもJが、

SFD児として生まれた原因

 

SFD児:低出生体重時。

妊娠週数に比べて体重が少ない。

 

 

⬜︎ 子どもJが、

SFD児として生まれた原因

 

 

⬜︎ 裁判所は、

「一般的に言えば、

妊娠中毒症で胎盤機能が低下して、

胎児への栄養の移行が悪くなり、

胎児の成長が阻害され、

SFD児が発生すると言われている

と指摘。

 

 

*妊娠中毒症とは、

現在で言う「妊娠高血圧症候群

 

 
  

 46.裁判所の意見:今回のケース

 

 

⬜︎ 女性Aは、

血圧が最も高かった時で、

7月2日に最高血圧138

 

 

⬜︎ 高血圧の部類に入るとはいえ、

正常は120前後とされる中、

それほど高いと言えない

 

 

⬜︎ さらに、この高さの血圧が、

妊娠中持続していた訳でもない

 

 

⬜︎ また、たんぱく尿が2回あったが、

次の診察時には正常になっていた。

 

 
 

 47.低出生体重児の原因は不明

 

 

⬜︎ そのため、

女性Aが妊娠中毒症になっていたとは、

断定できない

 

 

⬜︎ 女性Aが、

妊娠中毒症になっていたが不明なので、

子どもJがSFD児だった原因は、

不明になる

 

 
 
続きます。
 
解説:弁護士 甲野裕大
 甲(きのえ)リーガル法律事務所
  

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文・イラスト:理事 岩城桃子  
 

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