医師が適切な対応をしていれば、母体の命を救えた【裁判での第一審判決】 | 岩城産婦人科妊活ブログ

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【北海道の不妊治療専門クリニック】
早発閉経、難治性不妊、男性不妊、着床不全、不育症など得意。
患者様のご意見第一、納得できる治療を心がけてます。
[オンライン処方,PFC-FD,ネオセルフ検査,タイムラプス,TESE/PIEZOICSI可能]

 

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【オンライン処方】

 

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匿名・匿名希望が多く、

過去にご質問頂いた内容が、

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お手数おかけ致しますが、

なんでも良いので、

お名前をつけてくださるよう、

ご協力して頂けると助かります。

 

 

 

     

 

 

35歳眼科医女性の、

妊娠血圧徐々に上昇

 

 

出産後心停止

蘇生を行うが死亡し、

遺族裁判を起こす。

 

 

<第1審>

東京地裁令和2年1月30日判決

(LLI/DB 判例秘書登載)

 

   
 
 

 

 

サムネイル

スーツ 解説を担当致します。

弁護士の、
甲野 裕大(こうの ゆうだい)
です。


【取り扱い分野】

不妊治療分野/離婚分野

・不妊治療クリニック顧問
・凍結胚トラブル
・精子提供、卵子提供
・不妊治療中の離婚
・不倫
など

 

 

 前回までのまとめ

 

 

⬜︎ 昭和54年生まれ、

当時35歳の眼科医の女性B。

 

 

⬜︎ 平成26年に妊娠、

Yクリニックに里帰り分娩の為に受診。

 

 

〈 Yクリニックの経過 〉

 

平成26年8月27日(妊娠20週0日)

初診。

その後も通院を続ける。

 

 

【平成26年12月18日(妊娠35週頃)】

 

血圧:126/80

 

ヘモグロビン:11.6g/dl

ヘマトクリット:35.4%

血小板数:16/1×104/μl

 

 

【平成26年12月25日(妊娠36週頃)】

 

血圧 1回目:137/88

血圧 2回目:125/85

 

 

【平成26年12月29日】

 

1回目の計測:142/91

2回目の再検査:132/95

 

→ 血圧上昇の傾向を示す。

 

 

【平成27年1月5日】

 

1回目の計測:143/106

2回目の再検査:125/84

 

 軽度の妊娠高血圧症候群と診断。

 

翌年1月7日に、

分娩誘発の為の入院を予定。

 

 

【平成27年1月7日】

入院

 

 

【 1月8日 】

 

7:00

分娩誘発剤のアトニン(オキシトシン)投与

 

 

【 1月9日 】

 

18:03

緊急帝王切開を開始

(分娩停止のため)

 

18:10

女児誕生

 

18:40

帝王切開終了

 

18:50

回復室へ移動

 

 

【悪露の量】

リカバリー室入室後

 

1時間時点「多100」

2時間時点「多100」

3時間時点「100+α」

4時間時点「200」

 

 

【女性の状態】

18:50

回復室へ入室

 

20:50(術後2時間後)

強い痛みを訴えだす

 

20:50(術後2時間後)

22:50分(術後4時間後)

尿量の増量見られず

 

 

23時

Y医師到着

 

▶︎ 子宮内のコアグラを除去したが、

子宮底圧迫で出血、

DICを疑い、

パスロン(DIC治療)と、

パルタン(子宮収縮させて止血)投与

 

 

*DIC:体内のいたる箇所で、

血液が固まり血栓ができると共に、

出血が起こる、危険な疾患。

 

 

しかし、

輪状マッサージで出血が起こる

 

 

【 1月10日 】

0:30 緊急搬送を決定

 

1:10 救急隊到着

 

1:12 意識状態を確認

 

呼びかけ開眼あり

 

呼びかけで手を握る事ができる

(運動機能あり)

 

錯乱状態、見当識障害

(ここはどこ?など)

 

 

1:18 救急車で出発

同乗者:夫・Y医師・C助産師

 

心肺停止になり、

蘇生処置をしたが、

心肺停止のままa病院に到着。

 

 

1:27 a病院到着

蘇生と止血が行われる

 

1:41 自己心拍再開

 

1:47 心室細動

 

3:08 自己心拍再開

しかし、循環不全

 

7:30過ぎ 心室細動

 

7:57 死亡

 

 

女性Bの回復室でのモニターの記録は、

オンコールのJ助産師が、

印刷前に、モニターの電源を切り、

記録がない

 

 
   
 

 95.裁判所が認定したこと

 

 

⬜︎ 女性Bには、

複数の羊水塞栓症の発症リスク

があった。

 

下三角

下三角

 

帝王切開

分娩誘発

胎児先進部のステーションが高い位置での人工破膜

 

   
 

 96.裁判所の指摘:DICとは違う

 

 

⬜︎ 女性Bの出血量は、

1月9日午後11時10分頃には、

2リットル弱と考えられる。

 

 

⬜︎ その後も出血が持続、

翌日午前0時30分頃には、

Y医師が、

血液凝固があまりない出血を、

確認していた。

 

 

⬜︎ 血液凝固があまりない出血なのに、

午後11時10分頃も、

a病院に到着後(午前1時27分)も、

血小板数は変わっていない

 

 

⬜︎ この経過は、

単なる弛緩出血や、

通常のDICとは、

異なる機序(仕組み)がある事を、

うかがわせる事実

 

 
 

 97.裁判所の指摘:羊水塞栓症

 

 

⬜︎ 診断の補助として使われる、

C3、C4、C1インヒビターは、

羊水塞栓症をうかがわせる程度に低値

 

 

⬜︎ 羊水塞栓症については、

1月10日午前0時30分頃の、

凝固があまりない出血を発症時期とする、

DIC先行型(子宮型)の羊水塞栓症

と推認される。

 

 

⬜︎ しかし、当然、

死後に解剖していない為、

羊水塞栓症の確定診断はできない

 

 
 

 98.裁判所の指摘:救命できたか

 

 

⬜︎ 結論として、

遅くとも、

1月10日午前0時30分頃に、

女性Bがa病院に到着して、

その時点から、

抗DIC療法を含む、

適切な治療が開始されたら、

女性Bの命を救うことはできた

 

 

⬜︎ つまり、

すべき対応をしていれば、

女性Bは死亡する事はなかったので、

女性Bの死亡の原因は、

Y医師の責任である

と認定。

 

 
 

 99.裁判所の指摘:死亡率

 

 

⬜︎ 羊水塞栓症の予後について、

母体死亡率は、

平成14年に、

86%という意見もあれば、

平成24年・25年など、

近年では死亡率20~40%

とするものが多い。

 

 

⬜︎ そして、これらの死亡率には、

重篤な症例や、

ショック状態となった後に、

治療が開始された症例も含まれている

とされる。

 

 

⬜︎ Y医師が適切な対応をとっていれば、

1月9日午後11時40分頃に、

救急搬送に着手して、

遅くても、

1月10日午前0時30分頃には、

a病院への到着ができる。 

 

 
 

 100.死亡は防げたかもしれない

 

 

⬜︎ 上記のとおり、

1月10日午前0時30分頃は、

サラサラな出血が認められた頃で、

DIC先行型(子宮型)の、

羊水塞栓症が発症したとみられる頃。

 

 

⬜︎ 「羊水塞栓症に対する、

適切なDIC療法を早期に行えば、

多くのDIC症例で、

改善が得られる

 

「子宮型羊水塞栓症は、

DICの早期対応によって、

救命率は上がる

と考えられる」

 

などとする文献がある。

 

 

⬜︎ これらから、

適切な時期に、

抗DIC療法を開始していた場合

女性Bの死亡率は、

羊水塞栓症の一般的な母体死亡率よりも、

相当程度低くなるはず。 

 

  
 

 医学的解説:パルタン

 

 

鉛筆 搬送前に使っている「パルタン」は、

子宮収縮剤です。

 

 

雲 子宮からの出血を止める為に、

子宮を収縮させ、

止血を狙ったようですが

この女性に使うと、

血管がしまって、

心臓や腎臓に血流が少なくなります

 

 

その結果、

心筋梗塞や、

腎機能が、さらに低下する事で、

尿も作られなくなります

 

 
 

 医学的解説:DICの治療

 

 

予防接種 通常、この状況だと、

輸血ヘパリンの投与が良いでしょう。

 

 

→ ヘパリンは、

微小血栓を溶かす働きがあります。

 

 

→​​​​​​ 微小血栓がなくなると、

出血も改善するでしょう。

 

 

鉛筆 羊水塞栓症の致死率は高いですが、

早急に治療にあたれば、

なんとか命は救えたかもしれません。

 

 
 
続きます。
 
医学的解説:院長 岩城雅範
 
 
解説:弁護士 甲野裕大
 甲(きのえ)リーガル法律事務所
  

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