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35歳の眼科医女性の、
妊娠と血圧が徐々に上昇。
出産後に心停止、
蘇生を行うが死亡し、
遺族が裁判を起こす。
<第1審>
東京地裁令和2年1月30日判決
(LLI/DB 判例秘書登載)
前回の記事
前回までのまとめ
⬜︎ 昭和54年生まれ、
当時35歳の眼科医の女性B。
⬜︎ 平成26年に妊娠、
Yクリニックに里帰り分娩の為に受診。
〈 Yクリニックの経過 〉
平成26年8月27日(妊娠20週0日)
初診。
その後も通院を続ける。
【平成26年12月18日(妊娠35週頃)】
血圧:126/80
ヘモグロビン:11.6g/dl
ヘマトクリット:35.4%
血小板数:16/1×104/μl
【平成26年12月25日(妊娠36週頃)】
血圧 1回目:137/88
血圧 2回目:125/85
【平成26年12月29日】
1回目の計測:142/91
2回目の再検査:132/95
→ 血圧上昇の傾向を示す。
【平成27年1月5日】
1回目の計測:143/106
2回目の再検査:125/84
→ 軽度の妊娠高血圧症候群と診断。
翌年1月7日に、
分娩誘発の為の入院を予定。
【平成27年1月7日】
入院
【 1月8日 】
7:00
分娩誘発剤のアトニン(オキシトシン)投与
【 1月9日 】
18:03
緊急帝王切開を開始
(分娩停止のため)
18:10
女児誕生
18:40
帝王切開終了
18:50
回復室へ移動
【悪露の量】
リカバリー室入室後
1時間時点「多100」
2時間時点「多100」
3時間時点「100+α」
4時間時点「200」
【女性の状態】
18:50
回復室へ入室
20:50(術後2時間後)
強い痛みを訴えだす
20:50(術後2時間後)
〜
22:50分(術後4時間後)
尿量の増量見られず
23時
Y医師到着
▶︎ 子宮内のコアグラを除去したが、
子宮底圧迫で出血、
DICを疑い、
パスロン(DIC治療)と、
パルタン(子宮収縮させて止血)投与。
*DIC:体内のいたる箇所で、
血液が固まり血栓ができると共に、
出血が起こる、危険な疾患。
しかし、
輪状マッサージで出血が起こる。
【 1月10日 】
0:30 緊急搬送を決定
1:10 救急隊到着
1:12 意識状態を確認
・呼びかけ開眼あり
・呼びかけで手を握る事ができる
(運動機能あり)
・錯乱状態、見当識障害
(ここはどこ?など)
1:18 救急車で出発
同乗者:夫・Y医師・C助産師
心肺停止になり、
蘇生処置をしたが、
心肺停止のままa病院に到着。
1:27 a病院到着
蘇生と止血が行われる
1:41 自己心拍再開
1:47 心室細動
3:08 自己心拍再開
しかし、循環不全
7:30過ぎ 心室細動
7:57 死亡
女性Bの回復室でのモニターの記録は、
オンコールのJ助産師が、
印刷前に、モニターの電源を切り、
記録がない。
95.裁判所が認定したこと
⬜︎ 女性Bには、
複数の羊水塞栓症の発症リスク
があった。
・帝王切開
・分娩誘発
・胎児先進部のステーションが高い位置での人工破膜
96.裁判所の指摘:DICとは違う
⬜︎ 女性Bの出血量は、
1月9日午後11時10分頃には、
2リットル弱と考えられる。
⬜︎ その後も出血が持続、
翌日午前0時30分頃には、
Y医師が、
血液凝固があまりない出血を、
確認していた。
⬜︎ 血液凝固があまりない出血なのに、
午後11時10分頃も、
a病院に到着後(午前1時27分)も、
血小板数は変わっていない。
⬜︎ この経過は、
単なる弛緩出血や、
通常のDICとは、
異なる機序(仕組み)がある事を、
うかがわせる事実。
97.裁判所の指摘:羊水塞栓症
⬜︎ 診断の補助として使われる、
C3、C4、C1インヒビターは、
羊水塞栓症をうかがわせる程度に低値。
⬜︎ 羊水塞栓症については、
1月10日午前0時30分頃の、
凝固があまりない出血を発症時期とする、
DIC先行型(子宮型)の羊水塞栓症
と推認される。
⬜︎ しかし、当然、
死後に解剖していない為、
羊水塞栓症の確定診断はできない。
98.裁判所の指摘:救命できたか
⬜︎ 結論として、
遅くとも、
1月10日午前0時30分頃に、
女性Bがa病院に到着して、
その時点から、
抗DIC療法を含む、
適切な治療が開始されたら、
女性Bの命を救うことはできた。
⬜︎ つまり、
すべき対応をしていれば、
女性Bは死亡する事はなかったので、
「女性Bの死亡の原因は、
Y医師の責任である」
と認定。
99.裁判所の指摘:死亡率
⬜︎ 羊水塞栓症の予後について、
母体死亡率は、
平成14年に、
86%という意見もあれば、
平成24年・25年など、
近年では死亡率20~40%
とするものが多い。
⬜︎ そして、これらの死亡率には、
重篤な症例や、
ショック状態となった後に、
治療が開始された症例も含まれている
とされる。
⬜︎ Y医師が適切な対応をとっていれば、
1月9日午後11時40分頃に、
救急搬送に着手して、
遅くても、
1月10日午前0時30分頃には、
a病院への到着ができる。
100.死亡は防げたかもしれない
⬜︎ 上記のとおり、
1月10日午前0時30分頃は、
サラサラな出血が認められた頃で、
DIC先行型(子宮型)の、
羊水塞栓症が発症したとみられる頃。
⬜︎ 「羊水塞栓症に対する、
適切なDIC療法を早期に行えば、
多くのDIC症例で、
改善が得られる」
「子宮型羊水塞栓症は、
DICの早期対応によって、
救命率は上がる
と考えられる」
などとする文献がある。
⬜︎ これらから、
適切な時期に、
抗DIC療法を開始していた場合、
女性Bの死亡率は、
羊水塞栓症の一般的な母体死亡率よりも、
相当程度低くなるはず。
医学的解説:パルタン
搬送前に使っている「パルタン」は、
子宮収縮剤です。
子宮からの出血を止める為に、
子宮を収縮させ、
止血を狙ったようですが、
この女性に使うと、
血管がしまって、
心臓や腎臓に血流が少なくなります。
その結果、
心筋梗塞や、
腎機能が、さらに低下する事で、
尿も作られなくなります。
医学的解説:DICの治療
通常、この状況だと、
輸血とヘパリンの投与が良いでしょう。
→ ヘパリンは、
微小血栓を溶かす働きがあります。
→ 微小血栓がなくなると、
出血も改善するでしょう。
羊水塞栓症の致死率は高いですが、
早急に治療にあたれば、
なんとか命は救えたかもしれません。
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