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35歳の眼科医女性の、
妊娠と血圧が徐々に上昇。
前回の記事
前回までのまとめ
⬜︎ 昭和54年生まれ、
当時35歳の眼科医の女性B。
⬜︎ 平成26年に妊娠、
Yクリニックに里帰り分娩の為に受診。
〈 Yクリニックの経過 〉
平成26年8月27日(妊娠20週0日)
初診。
その後も通院を続ける。
【平成26年12月18日(妊娠35週頃)】
血圧:126/80
【平成26年12月25日(妊娠36週頃)】
血圧 1回目:137/88
血圧 2回目:125/85
【平成26年12月29日】
1回目の計測:142/91
2回目の再検査:132/95
→ 血圧上昇の傾向を示す。
6.血液検査の実施
⬜︎ 平成26年12月18日に、
血液検査を実施している。
ヘモグロビン(HGB)値:11.6g/dl
ヘマトクリット(HCT)値:35.4%
血小板数:16/1×104/μl
7.また少し血圧が上昇
⬜︎ 平成27年1月5日、
受診時の血圧は143/106。
⬜︎ 再検査で125/84だった。
8.「妊娠高血圧症候群」
⬜︎ Y医師は、
「軽度の妊娠高血圧症候群」
と診断した。
⬜︎ そのため、
分娩誘発を行った方が良い
と判断した。
⬜︎ Y医師は、女性Bに、
そのことを説明して、
承諾を得て、
1月7日に、
Bクリニックに入院する予定とした。
医学的解説:妊娠高血圧症
妊娠高血圧症候群とは・・・
⬜︎ 妊娠合併症の1つです。
⬜︎ 妊娠中に、
血圧が上昇し、
体の不調を起こす恐れのある疾患です。
⬜︎ 定義・診断基準は、
収縮期血圧(上)が140mmHg以上、
重症では160 mmHg以上
あるいは、
拡張期血圧(下)が90mmHg以上、
重症では110 mmHg以上
引用:日本産科婦人科学会
⬜︎ 重症になると、
母体の血圧上昇、蛋白尿、
けいれん、脳出血、
肝機能障害、腎機能障害、
HELLP症候群などが起こり得る。
* HELLP症候群:
Hemolysis(溶血)
Ele-vated Liver enzymes(肝酵素上昇)
Low Platelets(血小板減少)
の3つの兆候がある疾患。
他にも、妊娠高血圧症の重症では、
以下のことが起こります。
・胎児発育不全
・常位胎盤早期剥離
→ 胎盤が子宮の壁からはがれて、
胎児に酸素が届かなくなる状態
・赤胎児機能不全
→ 胎児の状態が不良になる状態
・胎児死亡
9. 入院と分娩誘発
⬜︎ 平成27年1月7日、
女性Bは、
分娩誘発のためにYクリニックに入院。
10.アトニン開始
⬜︎ 翌日の1月8日、
Y医師は、女性Bに、
午前7時頃から、
アトニンを点滴静注して、
分娩誘発を開始した。
⬜︎ アトニン:子宮収縮薬
一般名はオキシトシン。
11.分娩の停止
⬜︎ しかし、
結局、分娩が停止してしまった。
⬜︎ そのため、
翌日の午後5時30分頃、
緊急帝王切開術の実施が決まった。
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