多分、「知の巨人たち-日本人は何をめざしてきたのか~司馬遼太郎」とかいうものだった。
司馬氏が、太平洋戦争の最中、戦車部隊の指揮官だった時、司令部に問いかけた答えを聞いて、一挙に軍部不信に陥ったと言う。
「本土決戦では、東京から疎開してくる人々が大勢いて道路が混乱しますが、どうしたらよいでしょう」と問うと
「国と軍が第一である。ひき殺してしまえ。」というのが回答だったという。
軍人が威張ってられるのは、常に死を抱えているからだ。疎開してきた小さな子供たちが、軍人よりも真っ先に死ぬとは一体どういうことだと悩んでしまったと言う。
これに似た軍の非人道的な話は、子供の頃、爺さまから聞いたことがある。
ここに司馬遼太郎氏から子供たちへのメッセージ「二十一世紀の君たちへ」の一節がある。
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「いたわり」
「他人の痛みを感じること」
「やさしさ」
みな似たような言葉である。
この三つの言葉は、もともと一つの根から出ているのである。
根といっても、本能ではない。
だから、私たちは訓練をしてそれを身につけねばならないのである。 その訓練とは、簡単なことである。
例えば、友達がころぶ。
ああ痛かったろうなと感じる気持ちを
そのつど自分の中でつくりあげていきさえすればよい。
(下記より抜粋)
http://www.midorii-clinic.jp/images/index/season110905_12.pdf
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司馬氏によれば、
思いやりの心は本能ではないので、教えることで身につけなければならない。
というのである。
実に優れた意見だろう。
古来から日本人が積み上げてきた思いやりの心は、生き残りのための最たる方法であることは、
ここでも繰り返し書いてきた。
生き残りは生存本能だが、他人を思いやる心は方法の1つである。
つまり、本能ではないということ。
生き残りのための方法論であるからには、大人がこれを子供たちに教えていく責任があるという点で司馬氏の指摘は、実に的確というほかない。
他人への思いやりの心を失ったために、小保方博士を犯罪者のように扱い、傷害事件を起こしてしまったNHKスペシャルのスタッフら。
司馬氏の言葉を胸に深く刻むべし。