結論からいうと、小野市の市長と市議の職務手抜きの条例案だった。
市長のコメントを読んでみると、その知性は、条例というものを理解していない一般人と変わりないという印象が強い。
条例は、いったん文言になると人を拘束する強い拘束力がある。
そこが、市長の言う「作文」とか「一般文書」とは、大きく異なるところ。
この市長と議決した市議らに、その認識が欠けていることにいささか驚いた。
たとえば、条例の5条の3。
「市民および地域社会の構成員は、・・・・・情報を提供するものとする。」とある。
この条文の文言は、市民に情報提供の法的義務を負わせるものであることに異論はないだろう。
「罰則がないからいいだろう。」と言ったらしいが、論外である。
次元の違う話をごっちゃにしている。
これは、罰則のあるなし以前の問題である。
行政が、市民に対し不正受給に関する情報提供の義務を負わせていいはずがない。
中国では密告は日常茶飯事と聞いたことがあるが、彼らの思考回路は中国政府と変わらない。
そもそも不正受給に関する情報収集は、行政の職務。
それを市民に義務付けるのは、行政の手抜きというしかない。
また、小野市の不正受給者がどれほどいるかは知らないが、ごく一部の市民だろう。
それは行政が、個別に監視し、指導すれば足りること。
その手間を惜しんで、一般市民に情報提供を義務付ける手抜き行政。
以前、デニーズで「勉強する人はお断り」の貼り紙があったと書いたことがあるが、その手抜き営業を連想させる。
ほとんどの法律には、「目的」と「手段」が必ずといっていいほど書いてある。
どんな悪法も、「目的」には、立派な文句が並べてある。
つまりは、建前だから、だれが見ても適正な内でなければならない。
この条例案も、表現は怪しいが、それらしく見える。
問題なのは、「手段」の中身である。
ここで、人権を不当に制限する内容や怪しいあいまいな内容が書かれることがある。
まさに、この条例のもつ問題点だろう。
市長曰く。
「全国から多くの支持を得ている」と豪語したらしい。
が、それは不正受給を防ぐという「目的」の部分だけだろう。
この程度の知性の人が、市長を務める自治体は、全国にどの位あるのだろう。
なんちゃって市長の存在が、また一つ明らかになった。
こんなことがあると、地方分権への促進が阻害されることにつながりかねない。
地方自治体は、首長と議会の知的レベルが問われていると自省すべきだろうね。
『生活保護の「浪費通報」、条例が成立 兵庫・小野
生活保護や児童扶養手当を受け取っている人たちがパチンコやギャンブルで浪費しているのを見つけた市民に通報を義務づける兵庫県小野市の市福祉給付制度適正化条例案が27日、市議会本会議で賛成多数で可決、成立した。
病欠の1人を除く議員15人のうち、共産の1人だけが「監視社会を招き、受給者への差別、偏見を助長する」と反対した。4月から施行される。
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成立後、蓬莱務(ほうらいつとむ)市長は「全国からの多くの賛同を得た。(監視社会など)批判、否定された事態は生じない、と考えている」と述べた。
』(asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0327/OSK201303270096.html