この記事によれば、コストダウンと市場拡大を目論んで中国に移転した日本企業の、中国離れが進んでいるという。
このことは、以前、日本を捨てた日本企業の倫理感に問題があるのではないかと指摘した武田教授の意見を思い出す。
よく、営利活動をする者は、社会から利益を受ける代わりに、規模に応じて利益を社会に還元する責任があるといわれる。
これは、「武士は相身互い」という日本独自の考え方なのかも知れない。
企業は、顧客ユーザーや出資者に対する責任を負うという欧米式考え方の「企業の社会的専任論」というのとは異なる。
武田教授は、この日本式の合理的考察によって、海外に拠点を移す日本企業が多いことに批判的だったのだろう。
日本の大手メーカーが海外に拠点を移すと雇用が産まれない。
消費も低迷する。
物が売れないので、デフレも起きやすい。
長中期的にも、武田教授の指摘が、的確だったといえそう。
日本の大手企業が、真剣に品質向上とコストダウンに取り組んでいれば、少なくとも現状よりは良かったかもれしない。
製造業にとっては、中国など海外移転は逃げの一手であり、リスク学的にはありえない選択だった気がする。
そもそも中国では、自由主義や現代的資本主義の常識は、一切通用しないという。
また、かつてのソ連同様、その政治体制は、領土拡大路線をとっているともいう。
その逃げの一手によってできた余波は、何年もの間に津波に成長し、これから先、日本に寄せ返してくるような気がする。
『日本企業続々撤退する中国 賃金上昇と権利意識の暴走リスク 2012.09.12 07:00
「誤りを認めない」「自己中心的」「ルールより情実優先」など、独特の中国人気質や文化に日本企業が悩まされたエピソードは数多い。最近では中国進出したメーカーや流通業者が撤退や生産縮小の動きを見せている。
中国での事業展開に新たなリスクが顕在化し始めている。
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もはや中国は“安価な工場”どころか、“簡単にモノが売れる巨大市場”でもなくなりつつある。しかし、こうしたリスクを避ける海外資本の撤退が本格化すれば、痛手を受けるのは他ならぬ中国自身だ。日本企業の中国進出を阻んできた様々なリスクは、中国自身のリスクへと変化し始めている。 ※SAPIO2012年9月16日号』(news-postseven)
http://www.news-postseven.com/archives/20120912_141244.html