暴力団のゴルフ場利用が、なぜ詐欺になるのかと質問を受けたことがある。
刑法をかっじた人なら知っているだろうが、刑法246条の詐欺罪は、物品を詐取する「1項詐欺」とそれ以外の利得を受ける「2項詐欺」の2種類がある。
下の記事のゴルフ場詐欺は、「2項詐欺」にあたるというのが、一般的な解釈らしい。
何を利得したかといえば、「プレーする権利」である。
対価をちゃんと支払っていても「権利をだまし取った」ことになる。
判例は、「騙した(=欺罔行為)」といえるかについて、
「相手がある事実知っていれば、取引をしなかっただろうと言える場合、その事実を偽ったとき」に、「騙した」にあたると判断している。
やや苦しい解釈だが、社会秩序を維持するために編み出された苦肉の策的手法らしい。
「暴力団お断り」と書いてある施設に黙って入れば「建造物侵入罪」にあたり、そこで料金をはらってプレイすれば、さらに「2項詐欺罪」にあたり、2罪が成立することになるだろう。
一見厳しい取り締まりのように見えるが、取り締まる側の論理にも一理ある。
そもそも暴力団といえば抗争がつきもの。
敵対する組織幹部をねらうテッポウ玉は、場所や時を選ばない。
過去、一般市民が、流れ弾にあたって死傷したり、人違いで射殺されたケースもある。
とくに、暴力団幹部はゴルフ好きが多いらしいので、取締り当局にとってゴルフ場は要注意エリアなのだろうね。
この記事を見ると、産経は、警察批判に傾いているようにも読める。
この記事に、「詐欺罪の成立について司法判断は割れている」とあるが、割れてはいない。
ケースにより、「故意」の判断を否定した裁判例もあるというだけの話。
裁判所は、原則として詐欺罪が成立する方向で一貫している。
もしかして産経は ,暴力団擁護派なのだろうか。
『山口組直参6人逮捕 それでもゴルフをしたら摘発する警察の「論理」 産経新聞 7月29日(日)13時9分配信
ゴルフは「紳士のスポーツ」と呼ばれる。近年は女性にも人気が広がり、グリーン上が華やかなことも少なくない。そんな中、山梨県内のとあるゴルフ場で、コワモテの男たちがプレーに興じていた。
日本最大の暴力団組織、山口組の直系組長6人だ。
・・・・・・・・・・・・・
詐欺罪の成立について司法判断は割れているが、ある捜査関係者は「利用禁止を知らなかったではすまされない」と強気だ。
■200人態勢、異例の大規模捜査
7月10日早朝。大阪府警は、静岡県警と合同で直参らの逮捕に着手した。詐欺容疑の逮捕状を手に、全国に飛んだ捜査員は約200人。異例の大規模捜査だった。関係先が広範囲にわたるためだが、「直参」と呼ばれる山口組の直系組長6人を一網打尽にするという、捜査当局の意欲の表れでもあった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しかし、6人のうち鷺田容疑者は「まさか事件になって逮捕されるとは思いませんでした。今は、これ以上、お話しすることはありません」と容疑を否認。ほかの直参5人は、いずれも黙秘しているという。
■ゴルフはやめられない?
警察当局は近年、山口組の取り締まりを強化している。22年11月に、ナンバー2である若頭の高山清司被告(64)=恐喝罪で公判中=が逮捕されて以降、全国に80人いる直参の逮捕者は20人を超えている。府警も今年に入り、今回の事件の前までに6人の直参を逮捕していた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
府警は「これだけ一斉に逮捕されたら、『暴力団組員はゴルフができない』ということが広く認識されたはず」と事件の意義を強調する。
■詐欺罪は成立するか
ただ、こうした捜査当局の意気込みとは異なり、「ゴルフ詐欺」をめぐる詐欺罪の成立は司法判断が割れている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうした判例を踏まえ、府警は今回の事件について「舞台となったゴルフ場は『暴力団や関係者らの利用をお断りします』と書かれた看板やステッカーを、クラブハウスの入り口やロッカールームに目立つように掲げていた。利用禁止を知らなかったとはいえないはずだ」と詐欺罪の成立に自信をみせる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
捜査関係者は「暴力団組員、特に幹部がボディーガード役の配下の組員を引き連れてゴルフ場を利用すれば、一般客は恐怖感を抱くしゴルフ場の信用は低下する。『たかがゴルフをしただけ』ではすまされない問題だ」としている。』(yahoo news)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120729-00000530-san-pol