私がこどもの洋裁教室をやりたかった理由 | 服を作っている時に考えてること

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ご飯を作るくらい気軽に自分で服を作って着ることを楽しむ人を増やすためのブログです。




こんにちは。

ふかえかなこです。


私は、布にまつわるものづくりが好きで、

どうにかして布に模様をつけたい人です。


とにかく思いつくまま、あれこれやってみているのですが、

刺繍作品を作ったり、

テキスタイルデザインを学んだり、

シルクスクリーン教室に通って布にプリントしたり、

洋裁教室を運営したりしてます。


つい最近、洋裁教室で小学生向けのクラスをスタートしました。

縁があって、リクエストをいただきスタートしたのですが、

興味を持ってくださる方が多くいらっしゃって、急に忙しくなってきました。


ですが、子供向けの洋裁教室、

実はこれは、私がやりたいな〜と考えていたことの一つなので、とても嬉しく思っています。


今日は、私がこども向けの洋裁教室をやりたかった理由について、お話しします。


私が子供の頃、住んでいた家の隣に

幼馴染の女の子のお家がありました。


九州の田舎育ちですし、当時は遊ぶにも約束なんてなし

律儀に玄関から出入りとかでもなく

お友達の家の庭先や勝手口から、ふらっと入って

「〇〇ちゃんいるー?」

そんな感じで、お互いに自由に出入りする間柄でした。


そのお家のお母さんは、

縁側に機織り機を持っていて、織った布をストールにしていました。

お父さんの方は所有している山で石膏でものづくりをしたり、庭の木に登って枇杷を食べることを笑って許してくれたり

雑誌の“天然生活“そのままのような大らかなお家でした。


私はそのお母さんから、

時々たまーに、ですが

習い事としてお家に通っては、

布を葡萄染する方法を教えてもらったり、

染めた布に刺繍してハンカチにするのを習ったりしていました。


回数としては、本当に片手で数えるくらいのことなのですが、

お家にお邪魔した時の、機織りの様子を眺めたりするのんびりとした景色と一緒に記憶に残っています。


さて。それを習ったからといって、

小学校になって習った家庭科の授業がとても得意だ!と自分で思ったことはありません。

すぐにお裁縫に目覚めて手芸部に入ったわけでもありません。

縫い物への興味としては、ごくごく普通、“並“程度でした。

ほとんど覚えてませんが、多分もっと上手で得意だった子はたくさんと思います。


たまに、近所の手芸屋さんにお小遣いを持って行って、

好きな色の糸やビーズを買ったこともありました。

でも、それをどうやって使えばいいのかもよくわからないので

ただただ、綺麗だな〜この色の組み合わせが好きだな〜と眺めているだけでした。


そこからずいぶん時は流れて、

高校生くらいになった時に、服を作れるようになりたいな、と思いました。

でも、絵を描くことも好きだったし、デザインの勉強もしたかったし、

なんとなくオシャレなものに憧れていて、その中の一つなのかな?といった感じだったので

専門の学部に進むことはなく、地元の大学に進学しました。


その後、大人になって、社会に出て働くようになってから

自分は何かを作れる人になりたいんだな、

それも、何か生活に役立つものが作りたいんだな、とはっきりと意識するようになった時がありました。


仕事帰りに本屋さんに行って、手芸のコーナーで刺繍の本を見つけて手に取った時に、

やったこともないのに、なんとなくできるイメージが湧いたので

すぐに本と必要最低限の材料を買って、作ってみました。

もともと絵を描くのも好きでしたが、絵を描いたものが糸になると、

ぐっと表情豊かになるのがとにかく面白かった。

自分にも作れるものをやっと見つけたと思いました。


ずっと、記憶のどこかに、あの葡萄染した布と刺繍の模様を刺したハンカチのことがありました。

たった一回でも、まだ小さかったのに、よく覚えてました。


そこから、とにかくいろんなものを作ってみました。

もう社会人だったし、特に専門の知識はなかったけれど

幸い、都内には働きながらでも夜間に教えてくれる教室があったので、

自分のお給料から出せる範囲の学費で教えてもらえるところを探してはちょこちょこと教わりました。

友人のお婆様(昔、洋裁教室の先生をされていた方です)にご好意で教えてもらっていたこともあります。


そうして、結婚して子供が産まれ、子供のものをあれこれ作ってみたりしているうちに

もう縫い物は、当たり前にある身近なことになっていました。


それでも、まだまだどうしてもオリジナルのものが作りたいという欲があって今は布作りやパターン作りを学んでいます。


人生何がきっかけになるかはわからないし、道はすぐに見つかるものでもないのでしょう。

生きていろんなことを経て、見つかるのはずっと先、大人になってからのこともあります。


だけど、小さい頃に出会った、ちょっとした体験、記憶というのは本当に鮮やかだと思うのです。

私の蒔いた小さな種が、誰かの、もしかしたら遠い未来に繋がると素敵だなと思います。


これが私が子ども向けの洋裁教室をやりたいな、と思ったきっかけです。