ロケットマン | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

2019年 イギリス

監督: デクスター・フレッチャー

原題: Rocketman

 

 

~ エルトン最高!♡になる映画 ~

 

めっちゃ久しぶり!なんとほぼ1年ぶり!に映画館で映画を観ましたー。ふと時間ができたので、そうだ映画観よう。上映スケジュールのタイミングで選んだのは『ロケットマン』。エルトン・ジョンの半生を描いたミュージカル映画。とりあえず(詳しくはないけれど)音楽は間違いないのだから、それだけでも楽しめるはず♪エルトンを演じるのはタロン・エガートン(最近は出身地ウェールズでの読み方のエジャトン表記になることも多いらしいけれど)。

 

 

キングスマン』1作目のナイーブな少年は今いずこ。タロン・エガートンがあっちゅう間に中年おっさんになっててびっくり(もちろん役作りもあるけれど)。しかし演技うまっ。そして歌ウマでさらにびっくり。早い話が、かなりハマっていたと思います、わたくし(´_ゝ`)。

 

そして映画の作り方、出だしがかなりいい感じでワクワク感を盛り上げてくれます。あ、そういえば私としたことが諸事情でいまだに未鑑賞なままですが『ボヘミアン・ラプソディー』と同じ監督ということでも話題ですね。出だしの掴みがとてもインパクトあって良い感じなので、その分、その後は割と淡々とこれといった盛り上がりに欠けたまま、よく言えば優等生な感じで終わったかなぁと見終わった直後は感じてしまったのですが、おそらくそれは、不運にも両隣りで鑑賞していた他人の方のマナーが悪くてどうしても気が散ってしまったからではないかと思いました。大勢の他人と時間と空間を共有しているんだって意識を忘れないようにしたいですよね。好き勝手に自由にふるまうならこの恵まれた時代、自分ちのリビングでノビノビ鑑賞されたし。

 

 

愛情に思うように恵まれなかった子供時代、音楽へのあこがれ、思いがけない成功、スターダムの渦と必ず現れるやさしい顔の狼。スターになったエルトンの全てを支配する最初の恋人ジョン・リード(リチャード・マッデン)の分かりやすくいかにもな優男っぷりもお見事。スターの人知れぬ苦労、満たされない心、押し寄せる欲望、身を亡ぼす誘惑、墜落・・・ひと通り、お決まりコース。でも、そのパターンを実際に体験し、サバイブできる人間は本当に本当にごく稀有な存在。だからスター。だからエルトン。だから語り継がれる。

 

 

後から振り返ってみると、想定内のストーリー展開ではあっても(だって実在の人物の過去に取材してるんだしね)、ちょっとした気持ちの擦れ違いがどんどん大きくなっていく(私たちの日常にも起こりえる不変の)切なさや、人間の絆の強さ、逆に手放しきれない未練、そいういう人間の心の機微やドラマがちゃんとしっかり盛り込まれてさりげなく表現されている。やりおりますな!

 

エルトンが望むような愛情は見せてあげられなかった母親(ブライス・ダラス・ハワード)、でも愛情がなかったわけではない。だからといっていつもエルトンのことを考えていたかというと多分そうでもない。エルトンが彼女に言い放つように「自分勝手な女」、それは多分シンプルに彼女を言い当てているけれど、やっぱりそれだけではないと思う。夫と妻、子供と親、母親と息子、父親と息子。ある一面だけを見れば、なんてむごいことを・・・と思うけれど、人間同士ってましてや家族ってやっぱりとっても複雑。おばあちゃんの存在はある意味救いではあるけれど、女性が社会的パワーを持ちにくかった時代、やはり色々限界はある。でもまぁ、二度目のお父さんは意外といいやつ?で夫婦仲良しが続いている感じなのは、ちょっと良かった。他人の感想ですけれど・・・。

 

 

文句なしに最高!だったのはエルトンのバディ(作詞担当)で親友バーニー(ジェイミー・ベル)の存在。現実の2人も、50年以上ずっと一緒に仕事をしていて一度も喧嘩がないとのこと。でもそれは、喧嘩しないように当たり障りないように気を使って距離を保っているからではない。常に本気で真正面からぶつかり合っていて、意見が合わないことも相手を傷つけてしまうこともきっとたくさんあって、それでも絶対的な相手へのリスペクトと愛情があるから、もどかしい気持ちになることはあっても相手への根本的な信頼はなくさないから、それがお互いちゃんとわかっているから、だから例え離れている時間があっても関係が壊れない。多分そういうこと。とても羨ましい。二人を最初に見出したレイ(チャーリー・ロウ)もいいヤツ(´_ゝ`)。

 

バーニーさんのお顔、どこかで見た覚えがあるような・・・と思ったら『タンタンの冒険』のタンタン役の人でした。いや、映画まだ観ていないのですが。私が直近で拝見したのは多分ピーター・ジャクソン版『キング・コング』でのジミー少年。いやまぁすでに10年以上前の映画ですけれど。去年観たジミー少年があっちゅう間に・・・なんだか次に気が付いた時には自分もうだいぶ老人になっていそうでなんだかなぁ(苦笑)。ともかくも、バーニーとエルトン、最高バディ♡ エルトンが同性愛への自覚を強めつつあってバーニーもなんとなくそれを感じ取っていて、さらにエルトンがほんのりバーニーにトキメキを感じてドキドキな場面で、バーニーのストレートな断定形「お前を愛している。」からのワンシーン、大好きです( *´艸`)。録画かDVDだったら何度も巻き戻し再生しちゃう場面(笑)。

 

 

エルトンのことあまり知らなくても、どの曲も知ってる!でめちゃ楽しめる。エルトン・ジョンってものすごいスーパースターなんだな、と温故知新。エルトンの曲がとにかく山ほど流れていて自然と耳にしていた子供時代には英語なんてよく知らなかったので、この映画で改めて、こういう歌詞だったんだ!と知った曲もたくさん。歌詞を知ると、また全然違った曲に聞こえてきます。そして、劇中での曲の挿入のしかた、演出がまーたたまらなくお上手!ライブシーンも圧巻。すごい演出の連続ですが、この↑宙吊りパフォーマンスなんかも実際のエルトンのライブの再現なんですよね。リアルタイムで夢中だった人たちは私たち以上に楽しいんだろうなぁ。いいなぁ^^。

 

ライブ衣装やプライベートショットでのスタイリングも、その再現力がものすごくハイクオリティでびっくり。エンドロールで、当時の映像や記事、スナップショットのエルトンとエガートンエルトンとの比較画像がたくさん出てくるので、これから鑑賞する人は最後までどうぞお楽しみに。子供時代のエルトンを演じた子役も可愛いし、それがまた子供時代の本人画像とそっくりで感心。そういうのを眺めて、抜群のタイミングで流れる音楽を楽しむだけでも素晴らしいエンターテインメント。

 

曲といえば。とってもとっても有名な《Your Song》、映画の中で初めてその曲が出来るシーンも中々ゾクっとする名シーンだし、本当に色んな映画、ドラマ、その他あちこちで採用され続けているし、エルトンを知らなくても《Your Song》は知っている人は山ほどいると思うのですが。ふと、そういえばこの曲がとても印象的に使われている映画があったな・・・そして私の大好きなシーンだったような・・・と思って・・・思い出しました。大好きな映画『ムーラン・ルージュ』です。貧乏詩人のユアン・マクレガー(この映画のユアンがとにかく大好き)が、高根の花のニコール・キッドマンに愛を捧げるシーン。何度も繰り返して観ちゃうやつ(笑)。

 

 

ユアンの歌う♪I hope you don't mind. I hope you don't mind♪から続く、♪How wonderful life is♪のくだり大好物( *´艸`)。

 

そして。タロン・エガートンとエルトン・ジョンといえば。もちろん忘れ難し。『キングスマン:ゴールデン・サークル』での共演。あの映画の、見事にふりきったエルトンの(しかも芯から楽しんでそう♪)存在感がめっちゃインパクトあって、よくわかんないけどなんかエルトン、いいぞーって思ったけれど、この映画を見るとますますエルトン最高!色々乗り越えて、生き延びて、やっと手に入れたものを本当に大切にできている今があるからこその振り切り。エルトンすごい!すっかりエルトンが好きになっちゃいました^^。

 

※番外編の「音楽関連の映画まとめ」にも追加しました。よろしければ合わせてご覧ください。

https://ameblo.jp/pmds90l80/entry-12386808565.html