キングスマン | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

 

2014年 イギリス

マシュー・ヴォーン 監督

原題: KINGSMAN: The Secret Service

 

これ、ずーっと観たくて。じっくり見られる日がやってくる

のを待っていました^^。『キック・アス』の監督、コリン・ファース

主演のスパイ映画。ってもうそれだけでも面白そうですもん。

 

ロンドンの高級テーラー店「キングスマン」は、実は秘密諜報

組織キングスマンの本拠地であり、紳士の為のスーツに身を

包んだエリート諜報員たちが暗躍しています。

ある日、メンバーの1人が何者かに暗殺された為、新メンバー

を採用することになりキングスマンのエース、ハリー(コリン・

ファース)は17年前に失った親友でもありキングスマンでも

あった男性の忘れ形見、エグジー(タロン・エガートン)をスカウト

します。一方で、アメリカ人IT長者ヴァレンタイン(サミュエル・L・

ジャクソン)は密かに世界を巻き込むテロを画策しており、、、。

 

というのがあらすじですが、とにかく面白いです^^。

コリン・ファースに加えてマイケル・ケインも、キングスマンを

統率するアーサー役で出演しているし、技術担当マーリーン

役にはマーク・ストロングなど、俳優陣が絶妙でツボ。

主演のタロン・エガートン君もとっても可愛いくてピッタリ。

この映画が初主演の大抜擢と聞きましたが、大役を危うげ

なくこなしていてすごいです。

そして、これはテンポがよくスタリッシュで痛快なスパイ・アクション

映画でもあると同時に、とっても真面目で真摯なパロディでもある

んです。数々の名作をオマージュしている、と言った方がいい

のかもしれませんが、とにかく小ネタ満載♪

 

例えば、キングスマンを統率している人物の名前がアーサーで、

スパイたちのコードネームがランスロットなど。要するにこれは、

キングアーサーと円卓の騎士たち!( *´艸`)

エグジーら欠員補充の候補生が受ける訓練の一環として

子犬と一緒に過ごして訓練するというのがありますが、エグジー

が選んだのがパグのPuppy。スーツ姿とパグのツーショットは、

ちょっと『メン・イン・ブラック』も彷彿とさせるし、そのパグに付けた

名前が、JBなんですがその由来は、ジェームス・ボンド、ではなく、

ジェイソン・ボーン、でもなく、ジャック・バウワー(笑)。

この部分のアーサーとエグジーの会話のシーンが好きです。

それに、技術者ポジションの役名が、大魔法使いマーリーン。

他にも、エージェントが皆黒ぶち眼鏡をかけているとか、

マティーニとか・・・おふざけでもB級でもない紳士的なパロディ

がこれでもかと散りばめられていて、いちいち楽しい。

 

そしてキングスマンは上流階級の人々のためのシークレット・

サービスですから、諜報員たちも当然ながら選ばれた家系

の選ばれたエリートたち。が、伝統。ハリーの「Manners
maketh man. (マナーが、人を、作るんだ)」も名台詞ですし

身に着けるスーツもマナーも一流紳士でなくてはならない

キングスマン。でも、ただ家柄がよければいいのか?と、家柄

主義のメンバーに疑問を感じるハリー。本物の紳士とは、家柄

を指すのではない、その魂と心がけである、ということで一石を

投じる意味もあり労働者階級のエグジーをスカウトするわけ

ですが、ハリー達が使うスノッブな英語と、エグジーやゴロつき

達の英語、それに悪役ヴァレンタインのアメリカ英語・・・と、

演技プラス英語による演じ分けもバッチリ。

 

未だに実は根強い階級社会のイギリス社会。その是非は

ともかく、イギリスの、もしくはイギリスが舞台になっている映画

の面白さは、役者たちが使う英語の種類によっておのずと

その役柄のバックグラウンドやキャラクター性がわかるという

ところだと思っています。そういえば元々労働者階級出身だった

ショーン・コネリーも、007のボンド役を演じるにあたって、徹底的

に紳士の特訓を受けたとか。そして後にはエリザベス女王から

ナイトの称号も与えられちゃうという。ダニエル・クレイグが

始めて新ボンドに起用された時ですら、あんなにいかにも労働者

階級風の役者がジェームス・ボンドだなんて・・・と猛烈な批判が

あったというから、本当に根強い階級意識、日本人にはちょっと

ピンときませんけれども、ね・・・。

 

それにしても、本当に楽しかったです『キングスマン』。

音楽も最高。マーリーンとハリーが敵の本拠地に乗り込むも

絶体絶命のピンチ、からの機転の一発!によるすごいシーン。

冷静に考えると物凄い人数の頭爆発でめちゃくちゃエグいし、

あのラウンジに集まっていた人たちって根性はえげつないけれ

ど世界有数のセレブリティ達なのがまとめてサヨナラって

大丈夫なの?(ただの富豪だけじゃなくて、世界トップレベル

の科学者とかもいたはず)と思うのですがそういうリアリティ

をまとめて消し去るすごい演出・・・美しくハデなFire Works

とオーケストラによる「威風堂々」のBGM。マジですか(笑)。

エンドロール曲の「Get Ready For It (by Take That)」もすごく

良かったし、映画のDVDとサントラCD、どっちも買ってしまいたく

なりました。

 

来年は続編も公開になる予定で、続編でのハリーについても

色々と噂が飛び交っていて気になりますが楽しみです。

 

それにしてもコリン・ファース、相変わらず素敵だけれど結構

老けたなぁと近頃思っていたら、この映画当時で54歳・・・わぉ。

そりゃあ、年取るはずですて^^;。イギリスBBC版の『高慢と偏見』

(映画ではなくスペシャルドラマだし昔はDVD手に入れるのが

大変だった&高額だった。でも大好きすぎて、友人に貸した切り

かえってこなかったのでもう一度買い直した、私の”人生で

何度も何度も見返すDVD”のひとつ^^)でのダーシー役を見て

以来の大ファンですが、すっかり世界レベルの実力かつ人気者

で嬉しい限り。もっとずっとスクリーンで会い続けられるよう、

これからも頑張って欲しいです♪