ALWAYS 三丁目の夕日 | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

2005年 日本
監督: .山崎貴


WOWOWにて録画鑑賞。なんと、初めてです^^;。これだけ有名で、皆が皆大好きだと評判の作品なのに、なぜ~(笑)。まぁ、たまたまタイミングを逃していたことと、吉岡秀隆が今ひとつ好きじゃなかったから、というのもありますが・・・観たいなぁと思っていてようやく叶いました^^。



東京タワーが建設中!もうあまり説明不要な映画かと思いますが、昭和33年(1958年)の東京タワーが良く見える都内の下町(風景、東京タワーとの距離感から愛宕~芝の辺りの設定ですよね^^)を舞台に、その市井の人々の日常を高度経済成長真っ只中の昭和ニッポンの風景のノスタルジーと共に描くハートウォーミングな群像劇。当時を知っている人の心の琴線に触れまくりですよね。思いっきり生まれる前の風景ですが、それでも懐かしさを覚えるのは昭和生まれのDNAが反応するからでしょうか( *´艸`)。



メインキャラの1人。田舎から学校卒業と同時に集団就職で東京へやってきた星野六子(堀北真希)。まだ記憶に新しい朝ドラ「ひよっこ」での有村架純ちゃんの役と重なります。まだあか抜けない可愛らしさを演出の堀北真希さん。この後どんどん売れっ子女優さんに成長して、電撃結婚、今では芸能界を引退してお母さん。月日の流れの速さをいやおうなく実感させられます~。東京の自動車メーカーへの就職が決まって、立派なビルヂングの大きな会社で、そこの社長秘書に抜擢されたりして!なんて、同級生たちと上野へ向かう汽車の中では東京での新しい生活に胸躍り夢が広がります。が・・・実際には小さな町の自動車修理工場でもろくも夢破れガッカリ。でも、一生懸命新しい世界に馴染もうと奮闘する姿がいじらしくてオジサンオバサン、応援したくなっちゃいます( *´艸`)。



誰かの家にテレビジョンがやってきたら地域を挙げての大騒ぎ♪冷蔵庫、洗濯機、テレビジョンの新しい時代の家電製品が「三種の神器」と言われていた頃のお話。六子の就職先の鈴木オートは、社長・父則文(堤真一)と妻・トモエ(薬師丸ひろ子)、一人息子の小学生・一平(小清水一揮)。星一徹バリの短気で乱暴者、でも意外と素直で人情に厚いお父さん、優しく物わかりのよいお母さん、元気いっぱいハツラツやんちゃな小学生、と理想的?な昭和の一般家庭の構図。則文の短気っぷりにオロオロしながらも、鈴木一家に暖かく迎えられて最初はガッカリしていた六子も、ここにこられて良かった~と思い始めることうけあい。



地元には評判の美人もいなくちゃね( *´艸`)。若くて美人のヒロミ(小雪)は、小さな居酒屋を切り盛り。美貌とキップの良さで、ヒロミの店は商店街のオヤジたちのオアシス。則文もちゃっかり常連さん(笑)。ところがある日、昔の職場の知り合いの女性の子供が身寄りを無くして困っている、と引き合わされます。そうはいわれても、母親と昔の知り合いだっていうだけで・・・お店だって始めたばかりだし・・・。



白羽の矢が立ったのが、鈴木オートの目の前の駄菓子屋のオヤジ、茶川竜之介(吉岡秀隆)。ヒロミにいいように乗せられて、母親に捨てられた淳之介(須賀健太)の面倒を見ることに。竜之介の実家は長野の裕福な家で東大出の秀才ですが、芥川賞作家を目指して就職もせず実家からも勘当状態。書き上げた小説は応募する片端から落選ばかりで、日銭稼ぎに少年向けの冒険小説を書いてしのいでいましたが、なんとその冒険小説の大ファンだった淳之介。最初は淳之介を厄介者扱いしかできない竜之介でしたが、徐々に友情のような親愛さが芽生えてきます。

竜之介に押し付けたものの気になるヒロミもちょいちょい顔を出してご飯の支度を手伝ったりしていくうちに、なんだか疑似家族のように?このまま、本当の家族になれれば・・・と願うようになる竜之介でしたが。竜之介のヒロミへのプロポーズと、それを受け止めるヒロミの物語は切ない純愛物語。そして、竜之介と淳之介にも、別れの時が近づいています。

脇を固める登場人物たち一人一人のキャラも味があって、皆がそれぞれに戦争の古傷と、新しい時代への活力と、力強い希望を抱えているのがいいです。今はその存在も殆ど風景から消えたたばこ屋のオバサンにもたいまさこさんとか、三浦友和さんが演じる町医者の宅間先生の抱える傷とか、竜之介と一平の少年なりの男同士の友情と秘密の共有もノスタルジーに欠かせないアクセント。ちょっと情けなくていい人と、嫌味でいやな人と、どっちを演じてもハマる小日向文世さん、今回は嫌味な方で(笑)。

なるほど、これは人気なのも納得~。昭和生まれは誰もが心にある原風景にアクセスしてくる映画ですよねぇ。この時代の、このキャストで、完璧なほどドハマリ。なんとなく懐かしく、頬みたくなるテーマ曲も耳に心地よい余韻を残します^^。