ムサシ (Bunkamuraシアターコクーン) | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

作: 井上ひさし(吉川英治著『宮本武蔵』より)
演出: 蜷川幸雄
音楽: 宮川彬良

能指導: 本田芳樹
狂言指導: 野村萬斎

 

出演:

藤原竜也(宮本武蔵)、溝端淳平(佐々木小次郎)、鈴木杏(筆屋乙女)、六平直政(沢庵宗彭)、吉田鋼太郎(柳生宗矩)、白石加代子(木屋まい)、大石継太(平心)、塚本幸男(忠助)、飯田邦博(浅川甚兵衛)、堀 文明(浅川官兵衛)、井面猛志(只野有膳)

 

 

DVDで予習もバッチリに、蜷川幸雄さん三回忌追悼記念公演として再演された「ムサシ」の舞台を観てきました!うっかりしていたら一瞬で完売したプラチナチケット。みなさん、すごいですなぁ。運良く再発売で、舞台全体は見えない最上階のバルコニー席だけれど確保できたのでした。ホッ。視界はイマイチでしたがDVDでの予習していたので、しっかり楽しめました♪DVDでの2009年バージョンではオグシュンが演じていた佐々木小次郎は、溝端淳平さんに。

 

主演の藤原竜也さんは今年がデビュー20周年という節目の年でもあり、なおかつお芝居の中の宮本武蔵と同じ35歳に。 なんでも2014年の上演時に、藤原竜也さんが劇中の武蔵と同じ35歳になったらまた同じメンバーで「ムサシ」をやろうと約束しあったそうで、今回、蜷川さんの三回忌というタイミングに当時のキャストが一人残らず約束通り集まっての実現となったそうです。なんだか運命的です(*'ω'*)。ちなみに2009年バージョンDVDでの予習の様子はコチラ↓をどうぞ。


 

内容も、ある程度のオチもわかっていてもやっぱり全力で抱腹絶倒!4時間近くを飽きさせない極上のエンタメながら、生命の尊厳と世界平和という重いテーマもしっかり。さすが井上ひさしの脚本~。そして一流の役者さんたち~。と再び唸るのでした。もう、皆さんの息のあったアドリブ、楽し過ぎ!( *´艸`)

 

あらすじについては、予習編↑に書いたので割愛します。DVDとまったく同じ舞台セットに一人で「おぉ。」(笑)。舞台となる宝蓮寺は立派な竹林を背後に控えているという設定で、実際の舞台上にも背の高い竹が並び立ち、時々ユラユラ揺れてサラサラと葉の音が、幽玄な雰囲気を一層盛り上げます。DVDでも時折揺れる竹林の演出は印象的でしたが、実際にみるとさらに素晴らしい。そして、公演プログラムを読んでそれらが全て本物の生木であることを知ってさらにビックリ。

 

言われてみれば、あの自然なしなり具合、竹笹の葉擦れの音は本物じゃないと出せないけれど・・・あれだけの数の、あんなに立派な竹を揃えて、扱って、運搬して、保管するのはさぞかし大変そうです。実際、海外公演の時は植物検疫にひっかかりそうになってあわや公演に間に合わないかも、なんていうトラブルもあったとか。人に感動を与える舞台というのは、本当に隅々まで配慮されているんですよねぇ、と改めて感動した次第。

 

そして生前の蜷川幸雄さんのインタビュー記事を読むと、この「ムサシ」という舞台、舞台装置や演出に能や狂言の要素がたっぷり散りばめられているだけでなく、物語の仕立てそのものが実は「夢幻能」のそれに倣っているとのこと。劇中で白石加代子さんが踊る舞狂言「蛸」も、実は夢幻能のひとつの形です。あぁー、なるほど、そうか!と遅まきながら納得。かなりネタバレに関るので、「夢幻能」について気になる方はどうぞ適宜ググってみてください。ま、シャイクスピア劇だって名作ミュージカルだって、筋を全部知っていても楽しめるものなので、「ムサシ」についても全部ネタバレしたところで、その楽しさは損なわれないんですけれど。・・・と、生前の蜷川さんも堂々とおっしゃってました(笑)。

 

そして、DVD鑑賞時には何となくスルーしたけれど舞台では思わずビビっと反応してしまった点がひとつ。それは、劇中の会話から、「ムサシ」の物語当時の時代設定が後水尾天皇の時代であることが判明した瞬間です。なにっ、後水尾天皇と今おっしゃいましたか?!そうです、サントリー美術館の「寛永の雅」展を観た後だったので、思わず反応したのです。寛永年間は、後水尾天皇が後水尾院となって文化、芸術を後押し。つまりそれよりも前の慶長17年(1612年)の物語なのです。

 

因みに慶長の次は元和、そして寛永と、後水尾天皇(院)は3つの元号に渡って勢力をふるったんですね。・・・と、思いがけず日本史苦手な私も新しい知識をインプットできました(´ω`*)。美術展も舞台も、やはり吸収したことは無駄にはならず互いに関連しあって蓄積していく、こういう醍醐味がたまりません( *´艸`)。

 

カーテンコールも終わり会場が明るくなって終演のアナウンスが流れても殆どの人が帰ろうとせず、鳴り止まない拍手。私も何も考えず、ごく自然に拍手し続けていました。おそらく楽屋に戻っていたろう役者さん達も、慌ててパラパラと舞台に再集合してくれて、客席はスタンディングオベーション。2度目の終演アナウンスでようやく夢から醒めたのでした。頑張ってチケット取ってよかった!観に来られて本当によかった!まだ体調不良気味だった週末の、とても良いリフレッシュになりました♪

 

 

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