オーチャードブラス!第2回 (Bunkamura オーチャードホール) | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

オーチャードブラス!第二回

藤重佳久&オーチャードブラス!

スペシャルウインドオーケストラ

 

指揮: 藤重佳久

司会: 鈴木真由香

 

プログラム:

〈第一部〉

オーチャードブラス!(鈴木英史 作曲)

吹奏楽のための協奏曲 (高昌帥 作曲)

組曲「火の鳥」1919年版 (I.ストラヴィンスキー作曲/R.アールズ編曲/F.フェネル校訂)

〈第二部〉

チュニジアの夜 (D.ガレスピー&F.パパレル作曲/M.Pモスマン編曲)

サマータイム (G.ガーシュウィン作曲/D.リベロ編曲)

コンサートバンドとジャズアンサンブルのためのラプソディ (P.ウィリアムズ作編曲/S.ネスティコ編集)

 

 

午前中オットー・ネーベル展を満喫して、午後は吹奏楽のコンサート♪しっかり吹奏楽の演奏を聞いたのは随分と久しぶりでした。学校の部活動の一環なんでしょうか、何種類かの制服を着た中高生のグループもチラホラと。私服でも、親御さんと一緒に聴きに来ているお子さんも多くいらっしゃって、楽器の預かり所まで設置されていました。現役でブラスバンドをやっている若者には珠玉のコンサートです。私も、自分も楽器をやっていた頃を懐かしく思い出しました(´艸`*)。

 

指揮者の藤重佳久さんは、武蔵野音楽大出身で、高校の吹奏楽部の指導に取り組み全日本吹奏楽コンクールや全日本マーチングコンテストでおびただしい数で9回の銀賞以外は全て金賞受賞のスーパーハイパー指導者。海外のマーチングバンド世界大会でもワールドチャンピオン獲得というとんでもなくすごい人。加えて軽妙なおしゃべりでテレビやラジオなどにも多数出演し、多くの人の指示を得てらっしゃるご様子。

 

そんな藤重さんを筆頭に、この企画のために特別に集合した、普段は別々の交響楽団やフリーで演奏しているプロの演奏家たちと、東京藝大他の大学院の優秀な研究生たちで結成された1日限りの特別なブラスバンドです。そんな選り抜きバンドが挑戦するのは、トップレベルのプロでも舌を巻く大曲、超難曲のオンパレード。すごいなー、とその迫力に圧倒されました。これだけの大勢のメンバーが、それぞれ所属もバラバラで普段の活動もあるのにどうやって練習の時間を捻出したんだろう・・・と思っていたら、なんと本番の前日と前々日の2日間が全員初顔合わせ、たったの、そして唯一の練習時間とのことΣ(゚Д゚)。それぞれが個別にマスターしておくとはいえ、これだけの難曲をたった2日間の練習で完成させてしまうなんて・・・やっぱりプロのレベルってすごいものですね。ひゃー。

 

第二部の2曲目と3曲目の間で、結構大幅な舞台設置の変更が必要だったので設営の間、鈴木真由香さんの司会による藤重さんとオープニング曲の作曲者、鈴木英史さんと今回のバンドメンバーの1人、NHK交響楽団の首席奏者(トロンボーン)の新田幹男さんの3人によるトークショーがあったのですが、興味深いお話が沢山聞けて楽しかったです。特にトロンボーンの新田さん。スっとした佇まいからは意外なほど、中身はガッチリ関西人でそのギャップがツボでした(´艸`*)。「火の鳥」を「焼き鳥、って呼んでんですけどね、普段」とか、最近の楽曲についての発言とか・・・軽快で明晰、かつオモロイ。そこに藤重さんの天然ボケ?かのようなノンビリした突拍子もないナナメツッコミが差し挟まれたり・・・(笑)。楽しかったです^^。

 

2曲めの「吹奏楽のための協奏曲」は初めて聞きましたが、とても重厚で複雑で壮大な交響楽。なんとアルト・フルート、ソプラノ・サクソフォン、コルネット、コントラバス・クラリネットなど私も実際に演奏する場面で1度しか観たことがないような珍しい楽器まで含めて、吹奏楽で使用されるほぼすべての楽器によるビッグ編成、さらにほとんどの楽器にソロもしくはそれに準ずるハイライトがあり、かつファンファーレ風から朝鮮半島の伝統音楽をモチーフにしたり、祝祭のための音楽だったり、テンポもコロコロ変わって本当に大変そう|д゚)。吹奏楽ってオーケストラと違って、たいてい5~10分程度の曲をやることが殆どなので、20分越えの大曲を立て続けに2曲も聴く経験はなかなかありません。聴きごたえのある演奏会でした!

 

後半最初の2曲はジャズ・ビッグ・バンドのスタイルで。まだ真昼間ですが急に夜の雰囲気に。どちらも大好きな曲なので嬉しかったです♪「チュニジアの夜」はヨーロッパ文化とアラブ文化が交錯するエキゾチックな北アフリカの乾いた土地に熱風が吹き抜ける夜の風景が目に浮かぶよう。自分の顔に実際に風を感じたような気分になります(´ω`*)。

 

「サマータイム」もビリー・ホリディが歌いジャズのスタンダード・ナンバーになった有名な曲。多分、ビリー・ホリディが歌っているバージョンを昔何故だか何度も繰り返し聞いていたことがあって(その当時お気に入りだったレコードの一曲だったんですが、いったいどんなレコードだったのか・・・そしてどうしてそれを持っていたのか、どうしても思い出せないのが悔しい)、元は子守歌だというのも知っていましたが、その内容までは知りませんでした。漁師の妻クララが泣き止まない子供をあやしながら「父さん金持ち、母さん美人、だからお願い泣かないで」と言い聞かせる歌らしいです。それにしても、本当に独特で情緒的な曲ですよねー。子守歌だと知った時には全然ピンとこなくて驚きました。

 

最後の曲は、アメリカ空軍バンドのために書かれた曲だそうです。ジャズ・ビッグ・バンドとブラスバンドの掛け合いは、ダンス・バトルのようでもあります。楽しく華やかな曲でした。久しぶりに吹奏楽を聴いて、バラエティに富んだプログラムを堪能して、昔、自分も楽器やっていた頃は毎日いつも側に色々な音楽があったなぁ・・・と思い出しました。懐かしくて、ちょっと寂しい。というか恋しい?郷愁^^。

 

個人的には、ジャジーなムードの第二部の方がより楽しかったです♪ジャズって全然詳しくないのだけれど、嫌いじゃない。いやまて、これはひょっとして結構好きなんじゃないの、自分もしかして。と思いました。うーん。ジャズ・・・ちょっと勉強してみたらハマりそう。「ラ・ラ・ランド」をまた観たくなりました^^。

 

さて。目と耳と心に栄養を満タンにしたら、次は胃袋にも少し(笑)。美術展とコンサートをハシゴして少し疲れたし、乾燥したホールにいて喉も乾きましたので、ちょっとひと休みしてお茶しましょ♪

 

 
ん。お茶?(笑) 何か?(笑) まだ食事するほどお腹は空いていないけれど、コバラにオヤツは欲しいくらい。まだ明るいけれど、さぁ今から暮れなずむ時間が始まりますよ、という予感が漂う空の下、先ほどのジャズの余韻に浸りながら頂くオヤツはオットー・ネーベル展とのコラボメニュー、ネーベルが亡命して半生を過ごしたスイスにちなんだ テット・ドゥ・モアン、グリュイエール、ヴァシュラン・モンドールの3種類のスイスのフロマージュの盛り合わせと白ワインです(´艸`*)。大変美味でした♪好きなフロマージュばかり。ドライ・レーズンも、中に種がある珍しいタイプで、食感が楽しくて美味しかったです。パンも勿論、言うに及ばず。本を読みながらのんびり、ゆっくり堪能しました♪
 
 
そういえば、もういつの間にかクリスマス・ツリーの季節でしたね。何も気が付かず、ツリーの一番近くのテーブルに座ったのですが、腰を下ろしたそのすぐ後にパっと明るさが増して背中がほのかに暖かくなったので振り向いたらツリーが点灯した瞬間でした。なんだかちょっと得した気分で、珍しく浮かれてツリーの写真も撮ってみました( *´艸`)。