ラ・ラ・ランド | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

2016年 アメリカ

デイミアン・チャゼル 監督

原題: La La Land

 

 

日本公開をいまかいまかとずっと心待ちにしていて、封切日からは毎日今にも観に行きたくてウズウズして、でもなかなか時間が取れなくて、辛抱たまらなくて後の数日大残業の覚悟で無理矢理調整してやっと観られました!もう一月くらいジリジリと待った気分でしたが、冷静に確認したらまだ封切から一週間も経っていなかった^^;。そんなに期待膨らみすぎたら少し肩すかしくらわないか・・・くらいませんでした!ヽ(^o^)丿もうサイコーウ!と叫びたくなるほどゾッコン映画でした。ストーリー、音楽、振付、キャスト、何もかもが素晴らしかったです。

 

夢追い人たちの街、ロサンゼルス。女優を目指すミア(エマ・ストーン)と、ジャズ・ピアニストとしての成功を夢見るセブ(ライアン・ゴズリング)。お互いBad Emotionな時の出会いは、最悪だけれども印象的。その後何度も偶然出会って、最初は憎まれ口を聞いてばかりの二人は自然な流れで恋人同士に。お互いの夢を支え合い幸せな二人の時間は、でも徐々に厳しい現実や不安に侵食されていきます。夢の挫折とすれ違いばかりの恋に傷つき、失意の中一旦別れる二人ですが、どん底の中で思いがけないチャンスが巡ってきて・・・。

 

もうこれ以上は、本当に沢山のブロガーさん達が素敵な感想やレビューをすでに書かれていますし、世間でもメディアでもみんなが話題にして語りつくされているので今更私が誰かにご紹介するほどの余地も残っていません。そもそも、いつまでも夢覚めやらぬ興奮が続いていて、とにかく「素敵」「すばらしい」「楽しい」「大好き」以外の言葉が出てこないアホ状態ですので(^^ゞ・・・後は本当に、自分の備忘メモを残す程度で失礼します。(その割には長いです^^;)

 

事前に他の方のブログをあちこちお邪魔して、この映画はシネマスコープサイズで作られていて横長の画面だからできるだけ大きなスクリーンで観た方がよいとの情報を得ていたので、アドバイスに従って各シネコンで特大スクリーンでの上映時間を比較検討してから座席予約。普段は乗り物でも劇場でも、楽だし便利なので通路側を選ぶのですが今回はもう空いている席が少なかったこともありますが、ど真ん中のプレミアムシートを奮発。これが大正解。視界いっぱいに広がるスクリーンとドルビー音響で、映画の世界にどっぷり陶酔できました。

 

まずは何といっても主演二人の歌とピアノとダンスと演技!二人とも歌とピアノは吹き替えなしで全部自分でこなしています。エマのハスキーな上手すぎない歌声、切なくてすごくよかった。二人ともミュージカル出身ではないし、ライアンはピアノなんてまったくの素人だったのに三か月で猛特訓。猛特訓して、あんだけ弾けるようになるってどんだけの才能と努力!ダンスもよかったですね~。とにかく可愛らしくて、本当に夢の世界のカップルのような二人でした。

 

それにチャゼル監督。若干32歳で、可愛い顔立ちのハンサムで、ハーバード卒で、元はミュージシャン希望だったのが挫折して、挫折からのセカンド・チョイスでこれだけの才能と実績!きらびやかすぎて目がくらみます。お願いだから悪い雌豹につかまらないで(>_<)と親戚のオバチャン気分でハラハラしてしまう(笑)。

 

そのチャゼル氏の、アカデミー賞直前のインタビューをたまたま目にしました。本編のそこかしこに往年の名作映画へのオマージュが感じられるしどこか懐かしくて、新しくてそしてまごうことなきオリジナル世界を構築している『La La Land』ですが、監督自身が「これまで観て感銘を受けた沢山のミュージカルや映画にインスピレーションを貰った。特に日本の鈴木清順監督の作品には鮮烈に影響を受けた」と語っていました。私は勉強不足でほどんんど作品を知らないのですが、つい最近お亡くなりになられた鈴木清順さんに、この言葉が届いたらさぞかし喜ばれたのではないか、と思うと同時に日本のメディアの取材にしっかり気を遣うチャゼル監督のきめ細やかな配慮に感動。

 

途中で「あれっ。これ、日本のメロディじゃないの?なんか懐かしい響き」と思ったら、なんとセブが何度も練習していたのは我らが滝廉太郎先生による「荒城の月」のジャズアレンジ。エンドロールのクレジットには"Japanese Old Folk song"の文字が。鈴木清順云々の発言は単なるリップサービスじゃなくて、本当に日本の作品、文化、音楽も幅広く勉強してインスピレーションを感じたんだなということが実感できて感激しました。

 

この映画の素晴らしいところの一つは、予告編も含めて完璧だということ。昨今の予告編は、中身見せすぎて予告編だけでもう本編見る必要がなくなっちゃうような”やりすぎ”(または予告編に比べて本編が薄すぎるということかも)か、本編のテーマとズレた内容を(故意にか)ミスリードして煽って”全然違うじゃん”かあるいは本当にシンプルながっかり、本編の魅力がまったく伝わらない”クズ予告”が多いなか、期待度のあげ具合、予想の裏切り具合、見せない部分の隠し具合ともに絶妙。予告編で「わぁ!みたい!」となって、本編観た時に「えっどうして?」と不意を打ち、本編みおわってから予告編を思い出して「はは~あ、なるほど・・・」と唸る。そしてまたもう一度本編を振り返る・・・予告編はこうあるべきなんだな、と思わされました。

 

オープニングの渋滞のハイウェイでのダンスシーン。キャストたちの衣装だけでなく、右方向に流していくカメラに映っていく車の形と色まで全て細かく計算しているのじゃないかと思われます。最高の音楽と、ダンスでしょっぱなからもう一気に持っていかれて、そのまま最後まで惹きつけられっぱなしに。

 

ミアのルームメイトたち3人も、皆美人で歌とダンスが上手!一番右の黄色いドレスのケイトリン(ソノヤ・ミズノ)以外は役名も役者名も公式サイトに紹介されないのが勿体ないほど。真ん中のグリーンのドレスの女性が、どことなく見覚えあるんだけどな~。美人でキュートでした!

 

ヴィジュアルでも沢山使われているこのシーンも最高!ロスの百万ドルの夜景を前に、「たいしたことないよね」「そうねたいしたことない」と嘯く二人。"What a waste of nice view!!"恋人同士ならさぞかしロマンチックな景色でしょうけれど、私たちが恋に落ちるってことはないわけだし、せっかくの景色も無駄よねー、まったくだ、残念だと憎まれ口を聞きあう二人がたまらなく愛しいです。この日の昼間、プールサイドでのミアも壮絶ラブリーないじわるっ子でしたね^^。

 

とにかく素敵なロケーション、素敵な衣装、すばらしいテクニカラーの世界。振付も世界感にピッタリですごくいいよなーと思って、普段あんまりスタッフ部門の名前はチェックしないのですが気になって何気に確認してみたら、なんと、マンディ・ムーア!

 

大好きだったテレビシリーズ「So You Think You Can Dance(アメリカン・ダンス・アイドル)」でお馴染の振付師。番組での彼女の振付は素敵な作品ばかり。わぁ~、そうだったんだー。

 

ラスト間際、最後に二人が視線を交わす際のセブのこの寂しさと愛情とに溢れた表情が最高に切ないです。こんな顔されたら泣いちゃうって(笑)。エマ・ストーンは前から大好きでしたけれども、ライアン・ゴズリング、見かけるとふーん、いい役者さんだなぁと思う程度でしたがこの映画で一気にファンになってしまいました(笑)。これかれからは、キャスティングを見てその映画を観る動機づけになる俳優さんの1人に( *´艸`)。

 

「La La Land」はふわふわした、おとぎの国や現実離れした状況を意味するスラングであるのと同時に、「La」が「Los Angeles」の略にもなるので、キラキラした夢の街、夢見る人たちの集まる街という意味でロサンゼルスを表す言葉でもあるそうです(裏返しで、浮ついた人たちの集まる街、現実味のない街というマイナスイメージで揶揄する使い方もありますが、この映画のLa La Landは勿論、良い方の意味ですよね^^)。映画の舞台も、二人の夢と恋も、映画そのものも、見事に表したタイトルですよね。かなった夢とかなわなかった夢。かなえたかった夢。その想いが紡ぎ出すラストの一連のシーンは、幸せで、切なくて、素晴らしいです。何度でも観たくなる大好きな映画がひとつ増えました。20年ぶりくらい?に映画パンフレットも買いたくなりました(レイトショーだったので売店は閉店していたため、後日改めて)。サントラも欲しくなっちゃいます(>_<)。