巴里のアメリカ人 | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

1951年 アメリカ人

ヴィンセント・ミネリ 監督

原題: An American in Paris

 

 

Blueray鑑賞。観たい映画がありすぎて三連休あっても時間が全然足りないぞ!気分の秋のミュージカル祭り。古き良きミュージカル映画といえばジーン・ケリー、欠かせないものはタップダンス!1951年の第24回アカデミー賞では作品賞、脚本賞を含む6部門で大賞受賞、「略奪された七人の花嫁」同様アメリカ国立フィルム登録簿にも保存されている不屈の名作ミュージカルです(*^_^*)。
 
 
パリで絵の修業をしているアメリカ人のジェリー(ジーン・ケリー)は同じアパートに住む8度目も奨学金を獲得していながら未だにコンサート経験のないピアニストのアダム(オスカー・レヴァント)と親しくなります。同じく芸術で成功する夢を抱く者同士だし、明るく人懐っこいジェリーは憎めない感じ。そして、アダムの友人で有名な歌手のアンリ(ジョルジュ・ゲタリ)ともすぐに打ち解けた間柄に。
 
 
ある日ジェリーにもついにチャンスが訪れます。道で売られていたジェリーの絵を気に入った美女ミロ(ニーナ・フォッシュ)は裕福な女性で若い芸術家のパトロンが趣味。ジェリーに援助の申し出をします。ミロのお蔭で豪華なアパートにアトリエが用意され、早速個展の予定まで決まります。状況に戸惑いながらも、そしてミロの異性としての好意を感じながらも創作活動に没頭しようとするジェリーですが、、、。
 
 
出資者確保のためにミロに連れて行かれたカフェで、ジェリーは印象的な魅力の持ち主のリズ(レスリー・キャロン)に一目ぼれします。最初はそっけない態度であしらわれますが、なんと職場まで突き止めて押しかけちゃう熱心なアプローチを繰り広げるジェリー。ストーカーなんていう言葉のないおらかな時代で、いやなによりジェリーが魅力的な男性でよかった^^;。
 
 
次第にリズもジェリーに惹かれていき、ロマンチックなムードに。でも、リズには何かジェリーに言えない秘密がある様子。また、ジェリーも美人なパトロンのミロの存在をなんとなくリズに打ち明けられずにいます。やっぱり、ミロに対してもリズに対しても若干後ろめたいものがあるのね、ジェリー。さもあらん、さもあらん(苦笑)。自分のことでいっぱいいっぱいだから、まさかアンリとジェリーが旧知の間柄で、アンリがリズにとって恩人で初恋の相手で、今は素敵な女性に成長したリズに夢中だなんて思いもしません。
 
 
リズへの思いを振り切るつもりでミロを誘って行った芸術学校の大みそかのパーティで「明日結婚式をしてハネムーンに出発する」というアンリとジェリーと遭遇します。ここで、ジェリーとリズはやっとお互いの言葉で正直な気持ちを伝えあいますが、リズはアンリを裏切ることはできないし、ジェリーもそんなリズを無理やり奪うことはできません。
 
 
ところで、飄々としてマイペースで洞察力の鋭いアダムが、私の一番お気に入りのキャラクターです。常にさりげなく存在して決して前に出てはこないのに、いつも要の存在。パーティ会場でミロはジェリーのリズへの想いに気が付きますが、そのミロにさりげなく忠告をするアダムの立ち振る舞いはお見事。おせっかいでもいじわるでもなく、思いやりのこもった言葉。でも決して自分がいい恰好しようとはしないところが素晴らしいシーン。
 
 
そんなアダムの一番お気に入りのシーンは、カフェでのこの↑シーン。一人でコーヒーを飲んでいるところにまずジェリーがやってきて順調な恋の報告をしますが、その相手がアンリの想い人リズだとわかってビックリしているところにアンリがやってきて、結婚を決めたと言い出します。お互い同じ女性の話をしているとは気が付かないジェリーとアンリに挟まれて一人で動揺して挙動不審なアンリと、そんなアンリにまったく気がつかない恋の夢遊病の2人のコントラストが滑稽で楽しい^^。
 
 
ストーリーも王道の切ないラブストーリーで素敵ですが、やっぱり一番の魅力は歌とダンス!どんなダンスも自由自在のジーン・ケリーのタップダンスも、元々バレエ・ダンサーだったレスリー・キャロンとのモダン・バレエも、本当に美しくて楽しくて素敵。ラストの長尺のダンスシーンは、まさに「ラ・ラ・ランド」の冒頭シーンと重なります。ロケも複雑なカット割りも高度なカメラ技術もなしでこの圧倒的なスケール感は今となっては奇跡に近いのではないでしょうか。
 
アメリカのミュージカル映画黄金時代を代表する一作として、永遠に輝き続けるに違いない名作。久しぶりに満喫いたしました^^。では、YouTube動画にジーン・ケリーと子供たちの挿入歌「I got rythm」と、歌はないけれどもため息もののジーン・ケリーとレスリー・キャロンによるダンス・メドレーと、これだけでも楽しくてワクワクしてくる予告編をお楽しみください♪