いつか晴れた日に | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

1995年 イギリス、アメリカ

アン・リー 監督

原題: Sense And Sensibility

 

 

やっとBack to ジェイン・オースティン祭り(笑)。「Emma/エマ」の次はこれっきゃない。原作書のタイトルは原題の通り『分別と多感(Sense And Sensibility』です。欧米でSense And...と言えば一発で「ハイハイハイ、ジェイン・オースティンね」ってわかるけれど日本人にはそこまで浸透していないからという配慮で全然違う邦題をつけたんでしょうね。原作も勿論愛していますが、大好きなキャスト揃いで私にとっては宝物のような映画のひとつ(*‘ω‘ *)。

 

 

イングランド南東部のサセックス州にあるノーランド・パークの所有者ヘンリー・ダッシュウッドが愛する家族-後妻と3人の娘達を残してこの世を去ります。当時のイングランドでは土地家屋などの財産を女性が相続することは出来なかった為、彼女たちの代わりに相続することになった先妻の息子ダッシュウッド氏(トム・ウィルキンソン)はヘンリーの今わの際の遺言により、残された女性たちへの援助を約束したにも関わらず、強欲な妻ファニー(ハリエット・ウォルター)の強い反対で反古にさせられ、母と娘達の4人は住み慣れた屋敷を引き払い、母の従兄妹のミルトン卿(ロバート・ハーディ)のコテージに身を寄せてごくわずかな年金で暮らしていかねばならなくなりました。

 

お屋敷暮らしから一気に無一文の身の上に。この当時のアルアル話。「Emma/エマ」に登場した不幸で貧しい境遇のミス・ベイツがオールド・ミスになってしまったのも父親が早くに亡くなり財産を引継ぐべき男児がいなかった為に財産を失い嫁ぐための持参金を持たない境遇になった為。ダッシュウッド氏の年若い3人の娘達も、同じ状況に(T_T)。なんて理不尽な法律なんでしょう。後は、持参金よりも娘たちの美貌や気質を心底気に入って愛してくれるお金持ちの玉の輿に乗るという、宝くじに当選するくらいの?かすかな希望に託すのみ・・・。

 

 

そんなミス・ダッシュウッドたち。思慮深い長女エリノア(エマ・トンプソン)、自由奔放な次女マリアンヌ(ケイト・ウィンスレット)、おしゃまなお転婆の末っ子マーガレット(エミリー・フランソワ)。それぞれ個性の異なる、気立てのよい美人ちゃんたち(´ω`*)。大好きなエマ・トンプソン♪この後どっしり貫禄系、強い女、なイメージが強まっていくケイト・ウィンスレットも、まだ若くて可憐ですよー。引っ越し先の家主のミドルトン卿もその義母 ジェニングス夫人(エリザベス・スプリッグス)の明るく社交的(で、ちょっと図々しくておせっかい^^;)な性格に巻き込まれ新しい土地であっという間に地域の社交に巻き込まれていく母娘たち。当然、色々な出会いが、事件が、あるわけです。

 

 

話は少し戻って、母娘達がまだノーランド・パークで新しい引っ越し先を探している時。追い出しに乗り込んできた先妻の息子ジョンと妻ファニー、そしてファニーが呼び寄せた弟エドワードと一緒に領地内ですごく数日間がありました。ちなみに3姉妹のうち一番末っ子のマーガレットに私は自分の子供時代を重ねます。おしゃまさんで地図帳が大好きでツリーハウスを持っていて、将来の夢は海賊になって世界中を旅行して廻ること。自分と似てるのはお転婆っていうのと地図帳が好きってことくらいで、後の要素はそんな子供時代を過ごしたかったというほとんど願望ですけれどね^^;。おしゃまさんにもなりたかった(笑)。あらっ、そんなマーガレットのチャンバラのお相手↑は・・・?

 

 

出たっ、イギリス貴公子の代名詞的存在(笑)、我らがヒュー様!若いですよ、爽やかですよ~。あの意地悪な女狐ファニーの2人の弟のうちお兄さんの方、エドワードはフェラーズ家(ファニーの実家)の希望の星。きっとファニーそっくりに違いない母親はハンサムで優秀な息子に是非とも弁護士とか医者とかとにかく立派な職業で成功して持参金たっぷりのご令嬢をたらしこんでもらって一家をもっと繁栄さえて欲しいと願ってますが、本人は野心とは程遠い、心優しい青年。本当は神父様になってイギリスの片田舎に小さな教区を持って穏やかに暮らすのが夢。難しい年頃のマーガレットともすぐに打ち解けて仲良し♪

 

 

お互い控えめで優しく長男長女のエリノアとぴったんこカンカン( *´艸`)であっという間に意気投合のお似合いカップル。ですが、なにせどちらも大人しい2人なので、くっつきそうで一歩踏み出せない、中々のもどかしさ。でもエドワードが勇気をもっていざ、何かをエリノアに告白しようとした見事なタイミングで姉ファニーのチャチャが入り、何も言えないままタイムオーバー。またの再会を約束しつつ、エドワードはロンドンへ、エリノアは家族と一緒にノーランド・パークを立ち退くのでした。この時エドワードが告白しようとしていたのは実は・・・心が優しいがゆえに”なかったこと~”にできないまま抱え続けていたとんでもない秘密。おいおい、エドワードおっ!!Σ(゚Д゚)

 

 

一方、コテージへ引っ越してからは、マリアンヌのモテキ到来。まずは年の離れた独身で家柄正しいブランドン大佐(アラン・リックマン)がピアノ弾きながら歌うマリアンヌの姿を見て電撃一目惚れ。アラン・リックマンも大好きな俳優さん(*‘ω‘ *)。格好いいですよー素敵ですよー。マリアンヌにベタ惚れでそれを指摘されても否定せず、でもマリアンヌに気持ちを強要せずあくまでも思いやり深く紳士的に一定の距離を保って何かと気遣い。この映画の独身男性の中ではダントツの素敵さです。そりゃ、ヒュー様、いやエドワードは勿論素敵なんですけどねぇ・・・夫とするには何かと頼りなさすぎるしただ優しいだけってのもねぇ・・・それに、ブランドン大佐の方は財産もあるし、意地悪してくる姑もすでにいないし。超優良物件。しかし残念なことにマリアンヌは「あんな年寄り・・・いやらしいわねっ」と失礼極まりないし全然ワカッテナイ。

 

 

シェイクスピアの誌や恋愛小説に夢中で、ドラマのような恋愛に憧れてやまないマリアンヌは、まさに少女マンガのような出会いをもうひとつ。悪天候で散歩中に足をくじいて動けなかったところを助けてくれたハンサムなヒーロー、その名はジョン・ウィロビー(グレッグ・ワイズ)。ブランドンと違って若いしハンサムだし活発だし甘ったるいこといっぱい話すし恋愛の誌を朗読しちゃうし、楽しいことしか頭になくて毎日マリアンヌを遊びに誘ってくれる。あけすけで奔放な性格のマリアンヌも恥じらいもせず、大っぴらにきゃあきゃあ大はしゃぎ。周囲の大人がはしたない・・・と顔をしかめても気にせず、へっちゃら。公然の浮かれカップル状態。ところがこのウィロビーも、かなりの食わせ物でして。てっきりプロポーズしtくるのかと思いきや、いきなりマリアンヌの元から去ってしまいます。おいおい、そこの軽薄男っ( `ー´)ノ。

 

 

まーなんだかんだ色々ありましてね。気分転換に♪って、 ジェニングス夫人のお誘いで、夫人の娘とその夫のパーマー氏(ヒュー・ローリー)と一緒にロンドンにしばらく滞在するエリノアとマリアンヌでしたが、それぞれに自分が愛している人、そして愛されていると思っていた男性、要するにエドワードとウィロビーの裏切りを知ってしまうことになり、ひどく傷つき打ちのめされます。特に感情を表に出すマリアンヌは、じっと耐えるエリノアよりも落ち込み具合が派手で分りやすい。この映画最初に見た時は本当にマリアンヌにイライラしたものです(苦笑)。ま、若さゆえ、未熟さゆえの過ちはありますわな。イライラを一旦置いてみれば、マリアンヌも姉想いで愛情深い、優しく明るい良い娘さんです、うん。

 

 

ところで・・・この映画の登場人物の中で何気にいっとうお気に入りなのが、こちらの紳士。ジェニングス夫人の義理の息子パーマー氏。いつもこんなしかめっつらで、気難しくて不機嫌。きゃあきゃあいつも騒々しい妻と義母の低俗さにウンザリ、ムッツリ。なんですが、実はこの人とってもよく気が付くし思いやりがある立派な紳士。いざという大切な時に誰よりも適切な一言をさりげなく発言して見せたり、エリノアとマリアンヌの事も誰よりも気遣って助けてあげる、むっちゃ素敵な良い人!あんなに妻を疎んじてる風なのにちゃっかりしっかり生まれたばかりの赤ちゃんもいるしね( *´艸`)。もしこれからこの映画を見る機会があれば是非にっご注目ください(≧▽≦)。

 

 

でもまぁ、パーマー氏は既婚者ですから(笑)・・・やはり最優良物件はブランドンであることは揺るぎません。ひどい仕打ちを受けたマリアンヌを気遣って(本当は自分も同じくらい傷ついているのですが)エリノアは予定を早めてマリアンヌを家に連れて帰ろうとするのですが、その途中、マリアンヌは感染熱にかかってしまい、生死をさまようほどの重体に。そんなマリアンヌを見ていられない程心配し、何か役に立とうと奔放するブランドンの姿に心奪われない人間はいまい。無事に危険な状態を乗り越えたマリアンヌは、病気と一緒に初恋という熱からも徐々に回復し、病後も献身的に面倒を見てくれるブランドンの良さにやっと気が付き始めます。そんな、やっと穏やかな日々を取り戻したかのようなダッシュウッド家に、ある日思いがけない来客が・・・。

 

さて、ひとつ部分ネタバレをしておくと、この映画、ラストシーンは「Emma/エマ」と同じく結婚式です。が、誰と誰の?そして、どんな障害を乗り得てどうやって結ばれることになるのか?結構重要な登場人物やエピソードも敢えて書いていませんので、原作の内容を知らない方はまだ十分新鮮にストーリーを楽しめると思います(´ω`*)。

 

やっぱり幸せ、楽しい、ジェイン・オースティン祭り。有名で愛されている古典だから脚本も監督もキャストもしっかり実力揃いだからそうそう間違いは起らないし、何より当時のイギリスを再現した風景の全てが美しくて、画面を眺めているだけでも楽しめます^^。