プレイヤー (Bunkamuraシアターコクーン) | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。


シアターコクーン・オンレパートリー2017
「プレイヤー」



作:前川知大 演出:長塚圭史
[キャスト]
藤原竜也、仲村トオル、成海璃子、シルビア・グラブ、峯村リエ、高橋 努、安井順平、村川絵梨、長井短、大鶴佐助、本折最強さとし、櫻井章喜、木場勝己、真飛 聖


観てきました~。ドラマ「リバース」に映画「22年目の告白」にと何かと藤原竜也づいていたタイミングで「先行抽選のお知らせ」なんてメルマガ送ってくるんだもの、思わずチケット申し込んじゃったじゃないかー。そうでなくとも好みの豪華キャスト揃いで気になっていたんです(>_<)。

劇中劇と、それを演じる役者たちの世界が徐々に交錯していく、スリリングで複雑で不思議な物語。死者との会話や魂の不滅性など、スピリチュアルやオカルトのスパイスもほんのり、ミステリー要素もほんのり、で夏の公演にピッタリかも。ものすごくよく出来た脚本で、気が付くとどんどん舞台の上で展開されていく世界に没頭していきました。緊張感が続くばかりでなく、所々にクスッとなる息抜きスポットもありでバランスよく長さを感じさせない興味深い舞台でした(*‘ω‘ *)。

ある地方都市の劇場で次の公演の舞台稽古が行われています。戯曲名は『Player(プレイヤー)』で、地元出身の劇作家によるもの。その劇作家は劇場プロデューサーに就任した女性の古い友人で、『Player』の台本の完成前に突然死してしまった為、彼への追悼の思いもあっての選択。未完成台本の欠けている部分は演出家(真飛 聖)と俳優たちとのアドリブや現場でのディスカッションで埋めていく手法を取ることに。

劇中劇『Player』では、 天野真という女性が謎の失踪をするところから始まります。真の弟の依頼で知り合いの刑事、桜井(藤原竜也)に捜査を依頼しますがやがて人里離れた山荘で遺体が発見されます。桜井が真の死の真相を追っていくうちに、臨床心理士の資格をもち環境問題のNPO代表と瞑想ワークショップ主催者という2つの顔を持つ時枝(仲村トオル)の存在に突き当ります。真のお通夜に集まった桜井、時枝を含む関係者たちが真について話をしていると、突然ひとりの人間の口から生前の真が話していた言葉が発せられますが本人はその瞬間の記憶がありません。同じような現象がその場に居合わせた人たちの間で交互に起り・・・。

映画「2001年宇宙の旅」にも描かれているように、人間の【魂】が進化の段階を進めていくとやがて肉体を必要としない存在となるといった思想は数多く存在しますが、真が信じていたのは「但し魂は永遠ではない。肉体から解き放たれた瞬間から消化されてゆき、やがて消えてなくなってしまう」という考え方だったようです。但し、自分と記憶を共有する近しい存在がいて自分のことを思い出す限りはそれをチャンネルとしてこの世に存在し続けることができるらしいのです。

その現世との憑代となり自分の言葉を再生できる存在を真は「プレイヤー」と呼んでいた、お通夜に呼ばれた数人は真に選ばれたプレイヤー達だったのではないか・・・これこそが膨れ続ける地球の人工過密問題の真の解決策、死者と生者の新しい共存世界の創造の第一歩だとカルトめいた議論をぶつ時枝の尻尾をつかもうと、彼らと一緒に時枝の瞑想セミナーへ参加する桜井でしたが、自分も奇異な経験を重ねるうちに徐々に思考が混乱してゆきます。

死者の言葉を再生するプレイヤーという劇中劇の中の存在、それを演じる役者(プレイヤー)、を舞台の上で演じるキャスト(プレイヤー)たち、そして台本を通して劇中劇の人物を演じるということは、すなわち突然死をした劇作家自信の言葉を再生することでもあり、公演されればされるほど、作家のプレイヤーが増殖していくことでもあり・・・と、二重三重に「プレイヤー」の概念が交錯して重なり合って、徐々に現実と劇中劇との境界があいまいになっていきます|д゚)。



いやー、興味深く不思議で面白い舞台でした。さすが実力派のキャスト揃いだから真に迫って、観ている方も実際今、どの次元の世界を観ているのかどんどんわからなくなっていきます。藤原竜也さんは安定の存在感だし、木場勝己さんも相変わらずのいぶし銀。そこに居るだけで実在性と重力を醸造します。そういえば藤原竜也さんと木場勝己さんは、「鱈々」でも共演していました。何となく安心感のようなものを感じたのはそのせい?^^

仲村トオルさん演じる時枝の瞑想セミナーの助手で、真の元同僚だった若い女性を演じる成海璃子ちゃんも、テレビよりも美人さんで上手かったです(*'ω'*)。それにしても仲村トオルさん、藤原竜也さんがあれ、ちっちゃかったっけ?と錯覚するほど背が高いわ、手足がながいわ、ほっそりしてるわΣ(・ω・ノ)ノ! やっぱり映像ビジネスでも活躍する芸能人って基本的な何もかもが一般人と違うのね(;´∀`)。



意外ポイントとしては、ネガティブキャラのモデルとしてバラエティ番組で何度か見かけたことのある長井短ちゃんが舞台の裏方スタッフとしてちょい役で出演していました。演技というより、バラエティで拝見する本人キャラそのまんま?というほど自然な存在感を醸しながらも絶妙の美味しいオチを担当して中々頑張っていました。何だか好感度アップ^^。



そして、大好きなシルビア・グラフさん~。この舞台を観たかった同期の90%は藤原竜也さんとシルビア・グラフさんの共演というポイントにあるといっても過言ありません(笑)。相変わらず、美しく清々しい素敵な佇まいでした(*‘ω‘ *)。桜井の後輩刑事で、真のプレイヤーの1人として時枝の瞑想セミナーに参加している婚約者を救い出そうとする役を演じていた高橋務さんも、よいバランスでした。というか、出演者全員、役の大小関らず1人1人がしっかりキャラクター出来ていて、すごくよくまとまっていました。そういう意味でも、見応えのある舞台でした。

※画像は全てお借りしました。