パッセンジャー | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

2016年 アメリカ
モルテン・ティルドゥム 監督
原題: Passengers


日本での劇場公開前から気になっていたんだけれど、ちょうど激務が続いたり体調崩したり用事があったりで全然映画館に行けなかったので・・・ようやく観に行けましたぁ。間に合ったー。

2001年宇宙の旅」とか元祖「ターミネーター」とか20世紀に作られたSF映画を久しぶりに観た後だと、流石に大スクリーンに映し出される最新SF映画の映像世界の美しさと緻密さに圧倒されます。逆に、「映像がすごいねー」だけでは満足させられない、最新の映像技術は大前提で、その上でさらに脚本や演技の素晴らしさ、物語の機微や予想外の展開を要求されるんだから本当に大変だなぁと思う今日この頃。


120年かけて移住先の惑星コロニーへ向かう大型宇宙船アヴァロン号。数百人のクルーと5,000人の乗客(移住者)は、冬眠ポッドの中で目的地到着の4ヵ月前に目が覚めるまで眠りについています。広くて静かで、人影のないコンピューターが制御するアヴァロン号。ところが、あり得ないはずのポッドのエラーで誤って到着前に乗客の1人、エンジニアのジム(クリス・プラット)だけが冬眠から覚めてしまいます。

目的地までは、まだあと90年。他に目覚めた者は1人もおらず、バーカウンターのアンドロイド、アーサー(マイケル・シーン)以外会話できる相手もいなくて宇宙空間でたった1人。冬眠状態に戻ることも叶わず、どう考えても他の乗客が目覚める前に自分の寿命は尽きてしまう絶望的な孤独。それでもなんとか前向きに状況を楽しもうと、無人なのをいいことにスイート・キャビンを勝手に使ったりアミューズメント・エリアも待たずに遊び放題、映画も見放題。食堂でのゴールド・クラス用の食事だけはどうしても手にはいらない(コーヒーもブラックのレギュラーしか提供されない、あからさまな格差^^;)けれど、ぐうたらしても髭ぼうぼうになってもスッポンポンで歩き回っても誰にも文句言われない。

だけれども、人間って結局1人では生きられない動物なんでしょうね・・・はしゃいだフリできるのだってどんなに頑張っても1-2ヵ月が限度でしょう。その気になれば家族と会話もできて世話もしてもらえてネットでいくらでも世間と繋がっていられる都会のニートの青年だって、閉じこもりで実社会との関わりがない状況は相当しんどいもの。ましてや逃げ場のない宇宙で本物の孤独、6,000ドル以上払ってメール送っても相手に届くのは19年後って・・・発狂するか、自殺するかして当たり前。


そして約1年後。もう1人の乗客が目覚めます。眠りから覚めたのは、オーロラという名の美しい女性作家。1年前のジムと同じショックと絶望を味わうオーロラ(ジェニファー・ローレンス)。どうしてこんなことに・・・。そして自然の摂理、たった2人きりの宇宙空間で、徐々に心を通わせあい、愛し合うようになる2人。


映画を観た誰もが思うに違いない、100%アルアル。一番最初に目覚めたのがクリス・プラット演じるジムで本当によかったよね!(笑) ハンサムだしロマンチストだし強いし格好いいし知性もあってしかもエンジニア。絶望的な状況の中で生き延びるためのスキルを持ったヒーロー。これが、役に立たないド変態のブ男だったりしたら、オーロラあまりにも悲惨。グロいホラー映画になっちゃう(>_<)。


完璧な紳士のバーテンダー、アーサーとお酒と、美男美女の幸せカップル・・・名実ともに、見渡す限りすべてが2人だけの世界。孤独と絶望の中で見つけた最高の幸せ。でも、自分が目覚めた理由を知ったオーロラは幸せから地獄のどん底へ。そりゃそーだ。許せないよねぇ。。。

ジムはやっぱり根っからいい人なんだなぁ、と思ったのはあのシーンでつい自分が席を立ってしまうこと。ジムが悪人だったら、あの場で自分ではなくオーロラを化粧室にいかせて(マスカラが頬についてるよ、とかなんとか嘘ついて)その間にアーサーに「オーロラには、秘密はないということにしておいてくれ」と訂正しておけば事なきを得たのに。ま、それでも後でバレるポイントは他にもやってきますが・・・。


2人だけの宇宙船の中で絶縁状態が続く2人でしたが、そこに新しい事件が。ちょいちょい、宇宙船内の機会トラブルや事故が頻発するようになって、さらにもう1人、機関士長(だったかな)のガイ(ローレンス・フィッシュバーン)が目覚めます。ジムでよかったね、に引き続き、ポッド故障したのがたまたまエンジニアのトップのガイでよかったよね!の巻。モーフィアス!いや、フィッシュバーンやっぱり貫禄、かっくいー。登場時間が少ないのが勿体ないくらい。

フィッシュバーンのどこにでも入れる魔法のIDのお陰で、ジムがどんなにセキュリティ破壊しようとしても入れなかった機関エリアにも入れるようになって、アヴァロン号の不具合の原因も判明しますが、5,000人の乗客(+数百人のクルー)の命も守るために、自らの命を掛けてイチかバチかの試練に向かわなければならなくなるジム。クライマックスに向けて盛り上がります。

ところで、終劇後のエンドクレジットにアンディ・ガルシアの名前をみてビックリ。え、どこにいた?!あんなに登場人物の少ない映画で見逃すとも考えにくいし・・・まさか?と思って検索したら案の定のまさか。


本当に顔が見えるのはほんの一瞬だけの、アヴァロン号船長さんでした。まさかたったあれだけのカットでこんなビッグ・ネーム起用すると思わないし、誰だろう?と認識する間もないくらいの一瞬・・・気が付かないってば。あんな一瞬でもエンドクレジットに堂々と名前が載る。なのにあの一瞬だけ・・・贅沢なんだか勿体ないんだかなんだか・・・^^;。あれでギャラは発生したのかしら?いかほど?とか、つい下世話な好奇心が・・・(苦笑)。

権力も財産も持っていないけれども、フロンティアでの新しい人生と生活の構築を夢見るエンジニアのジムと、財産も名声も恵まれた生まれ育ちながらいつも何かに満足しきれなかったオーロラ。そんな2人の、現代(未来)版おとぎ話です。美しくて夢があってハラハラしたあとワクワクもあって、楽しめました^^。

それにしてもジェニファー・ローレンス、大人になりましたね~。美女って言葉が不自然じゃない美人さんに。セクシー過ぎない爽やかさが残っているのがいいですね。プールで泳ぐシーンの白い水着も素敵でした。クリス・プラットも素敵すぎ(≧◇≦)。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の公開ももうすぐ、楽しみです♪