最近、少年野球では遠投をしないチームが多くなっているようです。
それはグランドが狭いとか時間がないとかといったような理由ではなく、「遠投は肩や肘を痛めやすい」「遠投ではなく塁間程度でも強いボールを投げればいい」という『遠投は必要ない』という判断のようです。
確かに遠投は塁間程度のキャッチボールより力を入れて投げますので、肩や肘にかかる負担は大きいかも知れません。そして試合でのスローイングを考えれば塁間程度を強く投げられれば十分だと思います。
しかし、遠投は野球選手にとって必要不可欠な練習だと考えています。その理由を書いていきたいと思います。
遠投で得られる効果は「肩が強くなること」です。これにつきますね。
肩が強くなるということは、野手であれば速いスローイングが可能になり、よりアウトにできる可能性が高くなりますし、盗塁やタッチアップ企図を減らす可能性もあります。
バッティングであれば飛ばせるパワーはなくても確実に野手の間を抜ける打球が打てるテクニックがあればいいですが、守備の場合はいくら上手くキャッチしてもスローイングが弱くてはどうにもならないケースがあります。
投手であれば肩の強さは球速とキレに直結します。
遠投で遠くまで投げられるということは、球速はもちろん必要ですが、ボールの回転軸と回転数も良い条件でなければなりません。
いわゆる『ピッチャーのボール』と言われるような遠投でなかなか落ちてこないボールは回転軸と回転数が良いボールということです。
ですので、練習で遠投を行うときは投手であっても野手であっても「ボールの軌道」を意識する必要があります。
高く投げ上げなくても相手に届くような回転数で、リリースから相手まで曲がらずに届く回転軸で投げるようにしなければいけません。
また、やみくもに力いっぱい投げていては投球フォームが崩れてしまい肩や肘のケガにつながります。
先に書いたように塁間程度のキャッチボールより大きな力を必要としますので、投球フォームが悪いと野球肩や野球肘などのケガは起こしやすいです。
野球肩や野球肘などのリスクを減らすために肩や肘に負担の少ない投球フォームで投げる必要があります。
それはトップの形や肘の高さなどいろいろなチェックポイントがありますが、遠投を行う上で特に注意をしていきたいのが「体重移動」です。
単に力いっぱい腕を振ってボールを投げるのではなく、軸脚からステップ脚への体重移動そしてそのエネルギーをボールに伝えて遠投を行うという意識が大切です。そのためには、軸脚でケンケンするように助走をして投げたり、ステップ脚を着いた状態から体重移動で投げたりする形が効果的ですね。
体重移動で上手く投げられれば『そんなに力を入れていないのに遠くまで投げられた』という形になります。
そういった形で遠投を行うことで、理想的な体重移動を自然に身につけることができ、ピッチングやスローイングに繋がっていきますし、肩や肘の力に頼らずに投げられるので野球肩や野球肘のリスクは少なくなります。
ウエイトトレーニングや走り込みは頑張っているのに球速が上がらない、肩が強くならないという選手は、遠投のやり方を見直してみると良いかも知れません。
ブルペンでのピッチングや近い距離でのスローイング練習では得られない効果があると思います。特に強く腕を振れない選手には有効ですね。
※フォームが悪いと野球肩や野球肘のリスクは高いので要注意です
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