野球肘のリハビリというと、痛めた肘に対する治療をイメージする方が多いと思います。

 

もちろん、炎症を抑えたり、可動域を改善したり、痛みを取り除いたりすることはとても大切です。

しかし、それだけでは競技復帰後に再び痛みが出てしまうケースも少なくありません。

 

野球肘は「肘だけ」の問題ではなく、全身の使い方が大きく関係しているからです。

 

今回は、野球肘のリハビリで私が特に重要だと考えている3つのチェックポイントをご紹介します。

 

野球肘にはさまざまなタイプがあります

野球肘は大きく分けると、

・内側型(靱帯や筋肉の炎症・損傷など)

・外側型(離断性骨軟骨炎:OCD)

・後方型(疲労骨折やインピンジメントなど)

の3つに分類されます。

痛めている場所や原因はそれぞれ異なりますが、共通しているのは「投球動作で肘に負担が集中している」ということです。

そのため、肘だけを治療しても、負担がかかる原因が残っていれば再発する可能性があります。

 

チェックポイント① 股関節の柔軟性

まず確認したいのが股関節です。

投球動作は下半身から始まります。

股関節の柔軟性が不足すると、体重移動や骨盤の回旋がうまく行えず、本来は下半身で生み出すべき力を腕で補うことになります。

その結果、肘への負担が増えてしまいます。

前屈や開脚などの柔軟性を確認するだけでも、多くのヒントが見つかります。

 

チェックポイント② 胸郭・肩甲骨の機能

次に大切なのが胸郭と肩甲骨です。

肩甲骨は腕を動かすための土台であり、その肩甲骨を支えているのが胸郭です。

この動きが悪くなると、肩だけで腕を振る「手投げ」になりやすく、肩や肘への負担が大きくなります。

ブリッジや体幹の回旋などを確認し、胸郭や肩甲骨がしっかり動いているかを評価します。

柔軟性だけでなく、「正しく動かせるか」が重要なポイントです。

 

チェックポイント③ ピッチングフォーム

最後はピッチングフォームです。

フォームは肘への負担を大きく左右します。

 

特に確認したいのは、

・トップの位置とタイミング

・骨盤と胸郭の回旋タイミング

・腕だけに頼ったフォームになっていないか

といったポイントです。

 

フォームだけを修正しようとしてもうまくいかないことがあります。

その場合は、股関節や胸郭の機能が不足していて、そのフォームを実現できる身体になっていないことも少なくありません。

フォームと身体機能は切り離して考えることはできません。

 

再発を防ぐために

野球肘は、痛みがなくなれば終わりではありません。

なぜ肘に負担がかかったのかを見つけ、その原因を改善することが再発予防には欠かせません。

股関節、胸郭・肩甲骨、そしてピッチングフォーム。

この3つを一緒に評価しながらリハビリを進めることで、肘への負担を減らし、安心して競技へ復帰できる身体づくりにつながります。

 

まとめ

野球肘は「肘だけ」の問題ではありません。

局所の治療はもちろん大切ですが、それと同じくらい全身を評価することが重要です。

 

PlusTRAINERSでは、

・股関節の柔軟性

・胸郭・肩甲骨の機能

・ピッチングフォーム

 

この3つを重視しながら、早期復帰と再発予防、そしてパフォーマンスアップを目指したサポートを行っています。

野球肘でお悩みの方や、お子さんのリハビリについて気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

プラストレーナーズ
伊藤孝信

 

 

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サッカーW杯を見ていて、改めて感じたことがあります。

それは、日本サッカーのフィジカルは、この20年で間違いなく世界トップレベルに近づいているということです。

以前の日本代表は、世界の強豪国と対戦すると「当たり負け」が目立ちました。身体の大きさや筋力の差を感じる場面も多く、「フィジカルで負けた」という言葉を耳にすることも珍しくありませんでした。

 

しかし、今は違います。

海外リーグでプレーする選手が増え、トレーニングや栄養学も大きく進歩しました。90分間走り続ける運動量もあり、コンタクトプレーでも簡単には倒れません。

ブラジル戦を見ても、「身体の大きさ」で圧倒されている印象はありませんでした。

だからこそ、今回感じた世界との差は別のところにありました。

 

世界との差は「動きの質」

試合後によく聞く「個の力が足りない」という言葉。

しかし、この言葉は少し曖昧です。

 

ドリブルなのか。
シュートなのか。
判断力なのか。

 

トレーナーとして試合を見ていて感じたのは、「動きの質」にまだ差があるということです。

 

例えば、一歩目の速さ。

 

単純な50m走のタイムではありません。

相手より一瞬早く反応し、一歩目を踏み出せるか。

ボールを奪えるか。
相手を抜けるか。

 

勝負を分けるのは、ほんの数センチ、ほんの数百分の一秒です。

 

また、世界トップレベルの選手は、予備動作が非常に小さい。

パスもシュートも、大きく脚を振りかぶらなくても鋭いボールを蹴ることができます。

 

ディフェンスから見れば、準備する時間がありません。

だからパスは通る。
シュートは決まる。

 

この差は、単純な脚力だけでは説明できません。

 

筋力よりも「力を出す速さ」

同じ100の力を持っている選手でも、

0.3秒かけて100の力を発揮する選手と、
0.1秒で100まで到達する選手では、

競技中のパフォーマンスはまったく違います。

 

スポーツでは、

「どれだけ大きな力を出せるか」

だけではなく、

「どれだけ速く力を出せるか」

が重要になります。

 

これは筋肉だけの話ではありません。

 

神経系。
筋肉の収縮速度。
腱の弾性。
全身の連動。

 

こうした要素が組み合われて、「動きの質」が決まります。

 

これからのフィジカルトレーニングでは、筋肉を大きくすることだけを目標にする時代ではなくなっています。

 

素早く力を発揮すること。

予備動作を小さくすること。

全身を効率よく連動させること。

 

こうした能力を高めることが、これまで以上に重要になっていくはずです。

 

世界トップ選手の身体を見て気づいたこと

W杯を見ていると、もう一つ気になることがあります。

ゴールパフォーマンスや、ユニフォームで汗を拭く場面で腹部が見えることがあります。

 

そこで毎回目につくのが腹斜筋です。

もちろん腹直筋、いわゆるシックスパックも発達しています。

しかし、本当に目を引くのは身体の横にある腹斜筋です。

 

厚みが違います。

 

ジュニア世代では、体脂肪が少なくシックスパックが見えている選手は少なくありません。

一方で、腹斜筋の厚みはまだ十分ではないことが多くあります。

 

美容であれば、細いウエストやくびれは魅力になります。

 

しかし、競技力という視点では話が変わります。

少し極端な表現になりますが、スポーツに「くびれ」は必要ありません。

 

必要なのは、強く使える体幹です。

 

腹斜筋は「ひねる筋肉」ではない

腹斜筋というと、「身体をひねる筋肉」というイメージを持たれがちです。

もちろん、その役割もあります。

 

しかし、スポーツではそれだけではありません。

腹斜筋は、身体をひねる筋肉であると同時に、「ひねられないように止める筋肉」でもあります。

 

回旋を生み出す。

回旋を止める。

身体を安定させる。

 

この両方の役割を担っています。

 

サッカーで考えても、

キック。

切り返し。

ストップ&ゴー。

相手を背負うプレー。

フィジカルコンタクト。

一瞬で身体を入れ替える場面。

 

どの動作にも腹斜筋は深く関わっています。

 

トップレベルの選手ほど、身体の中心がぶれません。

 

だから強く踏み込める。

だからコンタクトでも崩れない。

だから次の一歩が速い。

 

世界との差を埋めるヒントは、こうした身体の使い方にも隠されているように感じます。

 

「ウザい選手」は身体が強い

本田圭佑さんが解説の中で「ウザい選手」という表現を使っていました。

私は、この言葉はとても本質を表していると感じました。

 

相手から見てウザい選手とは、テクニックがある選手だけではありません。

寄せても倒れない。

身体を入れてもボールを失わない。

少し当たったくらいではブレない。

切り返しの一歩が鋭い。

攻守にわたって粘り強くプレーできる。

 

こうした選手は、対戦相手からすると非常に厄介です。

そして、その土台にあるのは体幹の強さであり、腹斜筋を中心とした身体の安定性だと考えています。

 

「イケイケどんどん」で前へ出られる選手も同じです。

前へ仕掛ける勇気だけではなく、その動きを支える身体があります。

 

身体がブレないから踏み込める。

コンタクトに耐えられるから仕掛けられる。

力を逃がさないから次の動作が速い。

 

メンタルが強いように見えるプレーも、身体の強さに支えられている部分は少なくありません。

 

「筋トレをしていない」は参考にならない

今回、佐野海舟選手がウエイトトレーニングをほとんど行っていないという記事が話題になりました。

もし記事の内容が事実であれば、とても興味深い話です。

 

ただ、ここで勘違いしてはいけないことがあります。

「ウエイトトレーニングをしていない」と「身体を鍛えていない」は全く違います。

 

サッカーは非常に負荷の高い競技です。

スプリント。

方向転換。

ジャンプ。

コンタクト。

急停止。

 

これらを世界最高レベルの強度で毎日のように繰り返しています。

それだけで十分なトレーニング刺激になる選手もいます。

 

さらに、人には大きな個人差があります。

同じ刺激を受けても、筋肉がつきやすい人もいれば、つきにくい人もいます。

 

競技練習だけで身体が大きく変わる選手もいれば、計画的に筋力トレーニングを行わなければ十分な身体を作れない選手もいます。

おそらく佐野選手は、前者に近いタイプなのでしょう。

競技練習そのものが、高強度の筋力トレーニングと同じような刺激になっている可能性があります。

 

だからといって、

「トップ選手が筋トレをしていない。」

「だから筋トレは必要ない。」

という結論にはなりません。

 

これは、例外を一般論にしてしまう典型的な考え方です。

 

多くの選手には筋力トレーニングが必要

育成年代の選手を見ていると、多くの選手は競技練習だけでは十分な筋力を獲得できていません。

 

当たり負けする。

一歩目で置いていかれる。

コンタクトで身体が流される。

ケガを繰り返す。

 

こうした課題を抱えている選手は少なくありません。

だからこそ、筋力トレーニングには大きな意味があります。

ただし、筋肉を大きくすることだけが目的ではありません。

 

速く力を発揮すること。

身体を効率よく連動させること。

必要な場面で安定した力を発揮できること。

 

競技につながる身体を作ることが重要です。

トレーニングは、「やるか、やらないか」ではありません。

 

その選手に何が必要なのか。

その選手に合っているのか。

その結果、競技力が向上するのか。

 

そこを見極めることが大切です。

 

世界との差は、まだ埋められる

日本サッカーは確実に世界との差を縮めています。

 

身体の大きさ。

走力。

筋力。

 

これらの差は以前ほど大きくありません。

だからこそ、これから重要になるのは、より専門的な部分です。

 

力を素早く発揮する能力。

全身を連動させる能力。

コンタクトでも崩れない身体。

予備動作の少ない動き。

そして、それらを支える体幹機能。

 

こうした積み重ねが、一歩目の速さやプレーの質を変えていきます。

トップ選手を見ていると、身体には必ず理由があります。

 

筋肉の付き方。

身体の厚み。

動き方。

 

どれも偶然ではありません。

だからこそ、育成年代の選手には、ただ筋肉をつけることではなく、「競技で使える身体」を目指してほしいと思います。

トップ選手の一場面だけを切り取って真似をするのではなく、その背景にある身体づくりまで考えることが、将来の大きな差につながるはずです。

 

 

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小中学生の選手で「下半身が使えていない」「股関節の使い方が悪い」と言われるケースは少なくありません。

多くのスポーツで動きの主導になるのは下半身です。
ここがうまく使えないとパフォーマンスが出ないだけでなく、腰や肩、肘など上半身のケガにもつながりやすくなります。

フォームの問題のように見えることも多いですが、実際には身体の条件が影響しているケースも少なくありません。

股関節がうまく使えない原因を考えると、いくつかのパターンがあります。

まず一つ目は動作スキルの問題です。
身体の使い方そのものが分からず、どう動かせばいいのかイメージできていない状態です。この場合はドリルや反復練習を通して感覚をつかんでいくことで改善していくことが多いです。

二つ目は筋力の問題です。
動きのイメージはあっても、それを実現するだけの筋力が足りないケースです。股関節をうまく使うためには、お尻や体幹などの筋力が必要になります。イメージ通りに動こうとしても、その動きを支える力がなければ身体はその形を作ることができません。

三つ目は柔軟性の問題です。
関節の可動域が足りないと、いくら良い動きのイメージを持っていても実際の動作として表現することができません。股関節周りやハムストリング、内転筋などの柔軟性が不足していると、下半身主導の動きは作りにくくなります。

そして四つ目は体重・体脂肪の問題です。
特に小学生の選手では、体重・体脂肪量に対して筋力が不足しているケースも見られます。体重が重くなると相対的に筋力不足の状態になり、身体を支えきれずに下半身がうまく使えない動きになってしまうことがあります。

指導の現場では「股関節を使いなさい」「下半身主導で動きなさい」といった動きの修正が求められることが多いのですが、実際には筋力や柔軟性、体重など身体の条件が原因になっているケースも多く見られます。

動きの問題のように見えて、実は身体の準備が整っていないだけということも少なくありません。フォームを修正する前に、まずは身体の状態を確認してみることも大切だと思います。

 

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