今週に入って、
九州、四国、中国、近畿、東海、
関東甲信と、梅雨入りしました
まだ5月ですから、早いですよね
梅雨も、夏も苦手なので、
ちょっとゆううつです。。。
皆さんはいかがですか?
さて、
突然ですが、
てんかんについて調べてみましょう
てんかんと言えば、
気を失って全身が固くなり、
それから、けいれんする「大発作」
が知られていますが
実際には、
発作中も意識が保たれるものや、
けいれんを伴わないものなど
いろいろな種類があります
てんかんの定義を
世界保健機関編の「てんかん辞典」で
みてみますと、、
「種々の成因によってもたらされる
慢性の脳疾患であって、大脳ニューロンの
過剰な発射に由来する反復性の発作
(てんかん発作)を特徴とし、それに
さまざまな臨床症状及び検査所見が
ともなう。」
とのこと。
「過剰な発射」の「発射」は、
発火と同じで、興奮性の活動のことです
脳が異常に興奮してしまうのですね
てんかんの診断に、脳波が使われますが
非常に激しい脳活動がみられます
発症率は、1%
100人に1人
ついでに、統合失調症も1%
てんかんのお薬は3種類
1) ナトリウム(Na)チャネルを抑えるもの
2) カルシウム(Ca)チャネルを抑えるもの
3) GABAの抑制作用を増強させるもの
てんかんは、脳、つまりニューロンの
異常興奮ですから、興奮させないように
しないといけません
ニューロンの中を興奮が伝わる
というのは、
ニューロンの膜にある
NaチャネルからNaが入ってくるから
ですから、
Naが入って来ないようにしましょう
というのが、1)のお薬
Naチャネルの話は↓をご覧ください
脳の電気信号?その小体は。。。(2)
ついでに、その前のも↓
脳の電気信号?その小体は。。。(1)
ニューロンからニューロンに興奮が
伝わるのは、ニューロンの軸索末端
にあるCaチャネルからCaが入ってきて
神経伝達物質を放出させるから
ですから、
Caが入って来ないようにしましょう
というのが、2)のお薬
Caチャネルの話は↓をご覧ください
脳の電気信号?その小体は。。。(3)
ニューロンからニューロンに情報を
伝えるときには、
相手も興奮させるだけでなく、
相手を抑制させる、なだめる
つまり、興奮しにくくするやり方もあって
それ専用の神経伝達物質があります
それが抑制性神経伝達物質のGABA
なので、その作用を強くしてあげましょう
というのが、3)のお薬
お薬で症状はかなり抑えられますが、
根本的な治療ではありません
最近、
てんかんの新しい治療法についての論文
が発表されました
Hunt et al. (2013)
"GABA progenitors grafted into the adult epileptic brain control seizures and abnormal behavior"
Nature Neuroscience 16, 692–697

GABAを放出するニューロンは
情報の送り先ニューロンを抑制するので、
抑制性ニューロンといいます
なだめ役のニューロンです
てんかんの原因の一つとして
そのなだめ役ニューロンが
うまく働いていないということが
考えられています
なので、
そのなだめ役ニューロンを
外から入れてやろうというのです
ところで、
身体の細胞は、場所によって
分裂して増えるかどうかが違います
例えば、
ニューロン(神経細胞)や心筋細胞は
分裂して増えませんので、死滅すると
再生されません
肝臓の細胞は、必要に応じて増えます
肝臓を切除した後にある程度元に戻るのは
そのためです
小腸の上皮細胞や皮膚の表皮細胞は
常に増え続けて、役目が終わった細胞は
剥がれて捨てられていきます
そうなのです
ニューロンは再生しないので
脳梗塞などでニューロンが大量に
死んでしまうと、そのニューロンが
担当していた仕事
(右手を動かすとか、話すとか)
ができなくなるのです
その死んでしまったニューロンの
代役を外から入れようというのが
この研究の手法です
入れると言っても、簡単ではありません
ニューロンのネットワークは複雑ですので
その配線まで人為的にするのは不可能
で、どうするかと言いますと
神経の幹細胞を入れます
幹細胞とは、
機能が決まる前の細胞で
神経に限らず、いろいろあります
神経の幹細胞を入れてやると
入れたところでニューロンになるので
その過程でニューロンのネットワークも
形成されていくと考えられます
実験では、マウスが使われていますが
てんかん発作を起こしていたマウスに
抑制性ニューロンの幹細胞を入れると、
なんと、
それがちゃんと抑制性ニューロンになり
発作も少なくなったのです!
なだめ役ニューロンを補うことで、
てんかんを治せるかもしれない
これまでの薬とは全く違う、
てんかんの根本的な治療に
なるかもしれません
ヒトへの応用にはまだまだ時間が
かかりそうですが、素晴らしい研究成果
だと思います
あ、
また難しいまま終わってしまったかも
(おしまい)
お読みいただきまして、ありがとうございました。
コメントもお待ちしています。お気軽にどうぞ~!
応援していただける方は、↓クリックをお願いします!
私の順位もわかります。。

自然科学 ブログランキングへ

にほんブログ村