テノールの同僚に言われた。
ゆかりは「静かなる戦士」だね、と。
その言葉が気に入っている。
その場では侍の国から来たからね、と茶化しながら答えたけれど、日本の国民性が、こんなところに出るなんて不思議な感じはするけれど。
確かにな、となんだか自分自身でしっくりきている。
意味を聞くと、秘めた情熱と言うか、外見はそうは見えないのに、中はグツグツ燃えたぎっているというか…と言われて、なるほどな、と思った。
昔は自分が主役だから、とか自分がソプラノでメロディーラインだからみんなを引っ張らなくちゃ、とか思っていた気がするし、小さい自分をいかに大きく見せるかに、やっきになっていた気がする
今は人に委ねる。周りを信頼する。
いい意味で自分は歯車の一つ、パズルのピースの1つだと自覚する。
その一つのピースという役割を、きちんと果たす。
ただそれだけを思っている。
周りの和音の中に自分が溶け込む。
みんなを信じて自分の全てを委ねる。
そうやって出た声は気持ち的にもすごく楽だし、苦しくなくて、みんなに美しいと言ってもらえる。
私はテノールに憧れがあるし、テノールに生まれたかったとずっと思っているし、来世はテノールがいいって思っていたけれど。
彼らの勇敢さとか勇気を与えてくれることとか、立ち向かう姿勢とか、戦いに身を置く勇敢さ(ある意味での暴力性)とか、そういうものにすごく惹かれる。
戦いに立ち向かう、その勇敢な姿がとてもかっこいいと思う。
ソプラノの同僚がいつも話すことがある。
テノールとソプラノの役割は違う、と。
ソプラノは勇敢さでテノールに立ち向かうんではなくて、全く別の方向の美しさがある、と。
それは頭を優しく撫で続けるような、柔らかくて優しい、甘い、そんな音色でみんなをうっとりと魅了させることができると。
ソプラノの役割はどこまでも柔らかく、優しく、美しい。
そう話す彼女の歌声は、天使の歌声だと思うほど美しく、柔らかく、自由。
昔の師匠はテノールだったけれど、多分ソプラノに憧れがあったんだと思う。
カウンターテノールをやったり、レッスン中にソプラノの音域で歌ったり、 とにかく裏声とか頭声とか、美しさが好きな人だった。
ないからこそ欲しいと思うのか。
他人が持っていない、自分の美しさに気づく。
それを誇り、そこを伸ばす。
話は変わるけれど、私は昔は辰年だと思っていたけれど、1月4日生まれなので正確にはうさぎ年らしい。
なんだか龍に憧れるうさぎだったのかもしれないと思う。
龍には龍の、うさぎにはうさぎの良さがあるように。
ソプラノとしての素晴らしさを誇り、そのピースを埋め、皆で絵を完成させる。
今はそんな気持ちで歌っている。
P.S.
尊敬するおばあちゃんも、大好きな母もうさぎ年だというのだから、なんだかそれだけで自分を好きになれる気がした。
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P.S.
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