月曜は有休をとって燕岳に登った。
初心者向けと言われているそうだけど、私にとっては、登るのは一大決心だった。
何せ2763m。
去年、金峰山(2599m)に登るツアーに参加したときのほんとにつらい思い出がずっと頭に沁みついていた。
ツアーで一番か二番目くらいの若手だったと思うのに、私が一番遅かった。
皆より大分遅れて、たぶん私のせいで登頂時間も大幅に遅れ、あげく帰りは雨の中ヘッドランプつけて大弛峠まで下るはめになった。
雨だったから全く展望も楽しめなかったし、苦しかったのはもちろん、頂上の手前辺りから右膝に激痛が走るようになって、一歩足を持ち上げるごとに冷や汗が出た。
下りは頭痛まで加わり、膝と頭の痛みで死ぬ思いで下山した。そして下山後は他の人達に謝り通し。
申し訳ないのと自分に腹が立ったのとで、もう二度とツアーには参加すまいと決めたし、基本独りで登りたいとますます強く思うようになった。思い出深いツアー。
あれ以来高い山には登ってない。
よく行くヤビツ峠→塔ノ岳→大倉尾根も登りの高低差は700m程度。八甲田も瑞牆山荘→瑞牆山も同じくらい。
そして挫折した金峰山は高低差1000m。
今回の燕岳は中房温泉から燕岳は高低差1300m、しかも北アルプスの三大急登なんておどろおどろしい名前がついている坂、果たして自分に登れるのだろうか。
とかなり迷ったものの、少し山にも慣れてきた(ような気がする)し、せっかくだからアルプスに登ってみたい、登山雑誌の見開きで見る燕岳の美しい様子を直に見てみたい、と思い登山を決心。
体力温存のために穂高駅周辺に前泊、当日は中房温泉に宿泊する予定を立てた。
「燕山荘に泊まるのがいいよ」と先輩にお薦めされたけど、まだそこまで山にのめりこめない。。。
汗かいたのに風呂にも入らず見知らぬ他人と雑魚寝するくらいならツェルト被って野宿したほうがまし、と思って、日帰りで上り下りすることにした。
混んでいる、と聞いていたので、週末はさけわざわざ有休をとって月曜日に登ったんだけど、この作戦がみごとに裏目に出て、てんくらの予報はこの通り。
できるだけ早いペースで登ろうか、と思いつつも、去年の金峰山の悪夢がよみがえり、やはりここはゆっくり自分のペースで行こう、と決意。
いざというときのトレッキングポールも持参。
金峰山のときの膝痛がほんとにトラウマレベルだったので、普段はどんなに低山でも右足だけザムストのサポータのek-3を着けているけど、念のためと思って今回、ek-5も買ってザックの底に押し込んだ。
さらに膝がどうしようもなくなったときのためにテーピング用のテープも押し込んだ。
穂高駅から始発のバスに乗れば中房温泉には6時に着く。
コースタイムは登り4時間半らしいから、どんだけ亀のように登っても12時には燕山荘に着けるだろう。
私は下りは割と早いほうなので、山頂で1時間休憩するとしても、18時には麓に戻ってこられるはず。
万一それ以上かかったとしても、ヘッドランプもあるし、旅館の食事時間には遅れるかもしれないけど、当日中には旅館にたどり着けるだろう。
と計算して穂高駅に5時過ぎに到着したら、平日の朝だというのに、穂高駅にやってきたバスはほぼ席が埋まってて驚いた。
駅には私含め4人程しかいなかったけど、その前の穂高駐車場で結構乗ってきたんだろうか。
最終的にはもう何人か乗って、バスの運転手さんが無線に「33人」と連絡しているのが聞こえた。
燕岳の人気、すごい。
定刻通り6時過ぎには中房温泉着。登山計画書を出し、トイレを済ませて6時20分過ぎに出発。

この時点では曇りだけど雨はなし。
北アルプス三大急登、ってどんだけだろう、とがくぶるしながら登る。
が、そこまで苦しむこともなく、気づいたら第一ベンチに到達。余力があったのでそのままスルーして進む。
空が怪しい。でもおかげかそれほど暑くなく、苦しくならなかった。
第2ベンチ到達。さすがにちょっと疲れたので、ザックを背負ったまま5分程腰を下ろして休憩。
この辺りから、上から降りてくる人が多くなる。
展望に励まされる。このお天気が頂上まで持つといいけど。。。無理か。
第3ベンチ到達。急いだつもりはないけど、結構いいペースな気もする。5分程休憩。
途中の展望。美しい。たぶん右手にうっすら富士の頭が見えていた。
写真が悪すぎてうまく映ってないけど。。。
だんだん展望がそれらしくなってきてテンションがあがる。
これがうわさの。
道が砂っぽく、歩きにくい箇所もありつつ、スタートから2時間10分程で合戦小屋到達。
名物というスイカ、食べたかったけど、全くお腹は空いていなかったのと、ややお腹の調子が悪かったのでスルー。
途中で抜かした数十人の中学生集団が上がってきて「休憩。9時に出発」というのを聞いて、たぶん皆同じことを思ったんだろう。
「この軍団より早く出発しなければ」と。
というわけで合戦小屋を8時55分頃出発。
ここら辺から眺望が楽しめるようになる。
水墨画のようで美しい。
だんだん樹林帯を抜けてくる。
燕山荘発見。
眺望がすばらしく、ここからの坂は苦しかったけどあまり気にならなかった。
やっぱり眺望重要。
9時45分、燕山荘着。
しかし時すでに遅く、憧れの燕岳はこのとおりの姿。何にも見えない。。
仕方がないので、燕山荘の周りをうろちょろして、なんかかわいい花の写真を撮ったりしてみる。
それでも時間がつぶれないので、あきらめてケーキセットなど頼んでみたりする。
しかし時間潰しにも限界があり、てんくらの予報ではこれから先夕方まで晴れる確率は低そうなので、とりあえず燕岳まで行ってみようと決心。
道中は御覧の通り。
これがたぶんかの有名なイルカ岩なのじゃないだろうか。たぶん。。。

晴れていればさぞかしきれいだっただろう。
いや、これはこれで幻想的で良いけど。。。
ガウディのカサミラの屋上に似てる、と思ったけど帰ってきて画像検索したらそんなことはなかった。私の記憶力のいい加減さよ。
雨が本降りになりだしたところで頂上到達。
眺望に対する残念な気持ちはあったけど、一方で、「頂上、2763m」の文字を見ながらちょっと感動していた。
ここまで膝も痛くならず、さほどしんどくもならず、コースタイム内で来られたということに。
嬉しい。標高差1300mを登り切ったんだ、私。
山登る人からは笑われそうな小さな達成感だけど、金峰山のトラウマがあって途中棄権も覚悟していただけに、すごく嬉しい。
嬉しさをじんわりかみしめつつ、周囲をぶらぶらしながら帰る。
これがたぶん眼鏡岩、という奴な気がする。
途中、雲の切れ間からうっすら彼方の稜線が見える。

晴れていればさぞかし(以下略)
燕山荘まで帰ってきて、雨が本降りになったのを避けるために、時間潰しにカレーうどんをオーダー。
かなりのんびりゆるゆるして外に出たら、一瞬の晴れ間があってテンションがあがった。
ああ、美しいなぁ。。。今度は晴れている姿を拝みたい。
また来るよ、燕山荘。と心の中でさよならしつつ、12時半過ぎに下山開始。
カレーうどんを食べている最中に頭痛の兆候がしたのでバファリンを服用したんだけど、頭痛が収まらず、ゆっくり休憩したつもりだけど途中からお腹の雲行きが怪しくなり、さらには雨が相当になってきたので、下山はペースが上がらず。
結局登山口に帰着したのは14時56分。
お腹が危機的状況だったので、中房温泉がひどく遠く感じた。
中房温泉(の別館)は食事や部屋のグレードを期待していくところではない気がする。
泊まった部屋は別館1階。朝の6時前から遠足(?)の中学生集団がわいわいどたどたと廊下を走っていく音で目覚めた。
部屋を開けようとしたら入口にかなりの大きさの蛾がとまっていて心臓止まりそうにもなった(やはりこんな軟弱者に山小屋泊は無理な気がする)
しかし温泉。温泉はほんと素晴らしい。。。
温泉にさほど興味はないけど、幻想的な不老泉の雰囲気は素晴らしいと思ったし、今回今までで最高の高低差を歩いたというのに殆ど筋肉痛にもならなかったのは、この中房温泉のおかげな気がする。
(金峰山のときは翌日足が生まれたての小鹿のごとくぷるぷるしていた)
また燕岳に登る機会があれば、ここに泊まりたい。
今度は本館か別館2階指定で。