海と山、時々きもの -84ページ目

海と山、時々きもの

ダイビング記録+きもの試行錯誤の覚書。…だったはずなのに最近は山歩きの記録簿と化しつつある。
23年秋から山のない国に滞在中のため山歩き頻度は低下中。

この前の五竜ー唐松縦走でヘルメットの必要性を痛感したので、ヘルメットを買った。
 
ペツルのシロッコ。サイズはS/M。
 
重視したのは、
 
・軽いこと
・フィットすること
 (滑落して転がっても簡単に頭から離れないように)
 
の2点。
当初の候補は、グリベルのステルス、ブラックダイアモンドのベクターかベイパーで、シロッコは全く候補に入っていなかった。
。。。というのも、神保町の石井スポーツに陳列してあったペツルは白で、質感もあわさってどう頑張ってみても発砲スチロールにしか見えなかったので。

ヘルメットなんて頭を保護してくれれば見た目なんぞどうでもいい、と思っているけどさすがに見た目があまりにも発砲スチロール過ぎて、耐久性に不安しか覚えなかった。
 
が、店員さんに聞いてみると、「シロッコ以外はワンランク劣る」と熱烈なシロッコ推し。
あまりにも熱いシロッコ語りだったのでもはや内容を忘れてしまったけど、「普通のヘルメットは衝撃が加わると割れるけど、シロッコは車のバンパーと同じように衝撃を受けると変形するように作っていて云々」等々店員さんの言う話を聞いていると、シロッコが頼もしく思えてきた。。
 
同じような重量の中で値段も頭一つ抜けてるしな。。。
私は割と値段に騙されやすいので、(お金と時間をつぎ込むことを放棄したような見た目なのに値段がこれだけ高いってことは、その分機能に入れてるのでは??)と思えてきた。
 
おまけに、見た目とチタングレーという色と名前が気に入ったグリベルのステルスは、残念ながら私にはフィット感がいまいちだった。
ワンサイズしかないからだと思うんだけどじゃっかん緩くて、ヘルメット被って紐を締めても、頭の両側にそれぞれ指一本分のスペースが入るほど横幅が緩い。
滑落なんぞした日には確実に跳ぶだろう。
。。。これは致命的。ていうかそんなのヘルメット被る意味がない。
 
ベクターはフィットはしたし、これも2サイズ作ってあるのでフィット感は高かったけど、重さが。。。3つの中では一番重い。
 
となるとやっぱりシロッコか。。。しかしシロッコのこの見た目。いくら見た目にこだわらないとは言っても、発砲スチロールは。。。
と悶々としながら店員さんにダメ元で「これ他の色ないんですか?」と訊くと、「黒がありますよ」と。
「メーカーでも在庫切れなので他店にもしあれば。。。」と言いながら裏に行った店員さんが戻ってきたとき、「ちょうど入荷したのがありました」と見せてくれたのがこれ。
 
あ、これにしよう。
多少目をこらせば発砲スチロール感はうっすら感じるかもしれないけど、でもこれがいい。
黒のヘルメットってなかなかないので(少なくとも石井スポーツの陳列棚にはあまりなかった)これは嬉しい。

大満足して帰ってきて、そういえばふと、ヘルメットさんざん試着したけど、試着した姿がどんななのかは鏡で見てないな、、、
ということに思い当たり、黒シロッコを装着して鏡の前に立ってみた。
 
。。。なんかグレイ(キャトルミューティレーションする方)がいるんですけど。
 
もしくはこの前烏帽子岳で見たタマゴダケっぽい何か。
 
みんなこんなになるもんだっけ??
なんかめっちゃ頭頂部肥大化してない??
 
あんまこんなグレイな人山で見たことないんだけど。。。
 
まぁいいや。
例え山ですれ違う人々に「なんかグレイがいる。。。」と思われたとしても命にはかえられない。
今年中に鹿島槍→五竜か、下ノ廊下にトライしたいと思っているので、黒シロッコの性能に期待。
三連休のアルペン号は結局キャンセルした。

烏帽子岳→野口五郎岳→水晶岳→鷲羽岳→双六岳→鏡平。。。と初の2泊3日の山歩きを予定していたけど、2日前になってもてんくらの登山指数はCのままでしかも風速20m超。。。
 
これはキャンセルするしかない。
登山指数C+風速30mの予報で八甲田に登り、あまりの風雨の強さに稜線で一歩も進めず撤退したのは1年前。同じ過ちは繰り返さない。。。
 
と思って涙を呑んでキャンセルしたんだけど、先ほど野口五郎小屋のfacebookをチェックしたら、今朝は雨はなかった、とのこと。
まじか。。。
まあ人生ってそんなものだ。。。
どのみち今週は仕事が忙しくて体調が底辺だったので、強行してたら倒れてたかもしれない。
 
しかし山に行けないのもつらいし体がなまるのが怖いので、今日はひさびさに塔ノ岳に行ってきた。
塔ノ岳は去年の秋にヤビツ峠→塔ノ岳→大倉のルートに嵌り、通い詰めた山。
ヒルが怖いのと暑くて死にそうなのとで夏は足が遠のいていた。
 
混雑する時期は、7時44分のヤビツ峠行始発バスに乗ろうとして秦野駅に7時前につくと既に10人くらい待っていたりするんだけど、今日はそんなこともなく。
山も殆ど人とすれ違わなかったし、山頂もめちゃくちゃ空いていた。
こんなに空いていたのは、去年のクリスマスの三連休(霧雨・視界ゼロ)以来じゃないだろうか。
 
私が塔ノ岳を好きな一番の理由は鎖場の存在だけど、それと同じくらいに眺めが良いところも気に入っている。
30分くらい樹林帯登ると、左手にこんな景色が広がる。
 
三の塔からは天気が良ければ富士を行く手に眺めながら歩ける。
 
二の塔を少し過ぎてこれから下る先の烏尾山荘と富士を見たところ。
お地蔵様、おひさしぶりです。
 
今年の夏、どきどきしながら北アルプスに初挑戦し、意外と登れてしまったことによって私は今非常に調子に乗っていると思うんだけど、その調子乗った思考で「ちょっと北アルプスで鍛えたから、塔ノ岳もお茶の子さいさいな感じになっているのでは?」と思ったりしたんだけど、そんなことはなかった。
 
確かに登り始めは非常に快調でいつも以上に息もあがらなかったんだけど、三の塔直前で謎の胃のムカつきと吐き気に襲われ、塔ノ岳で初めて撤退しようかと思った。
二の塔でサポートタイツを腰ばきくらいにずらしたら楽になってそのあとはザレ場でもそんなに息が上がらなかったので、体調の問題かもしれないけど。。。
 
なんとか頂上到着。
 
今日の富士はなんだか北斎の富士みたいな面白い見た目をしていた。
いつもの富士山はこんな感じ。
いつもと違って人もそんなにいないし、風が殆どないので寒くなく、うつらうつらしてしまいそうになったけど、午後から天気が崩れるとの予報だったので、休憩を短めに切り上げた。

私は下りは止まれないのでともすると走りがちになるんだけど、前回半分走っておりたら、花立山荘過ぎたあたりで激しい腹痛に見舞われ、人としての尊厳を捨てるかどうかの瀬戸際まで追い詰められたので、今日はゆったりと、お腹に振動を与えないように降りた。
 
いつもながらとても快適な登山道だったけど、今日は途中至るところでこういう折れた木をよけたり、分割したりした跡を見て、台風15号はきっとここでもすごかったんだろうなぁと思った。
ほんと整備の人に感謝。
歩きやすいし、ヤビツから塔ノ岳までの稜線は眺めが素晴らしいし、ちょっとした鎖場みたいなところもあって楽しめる。
塔ノ岳はとても好きな山だ。
紅葉の時期はただ歩いているだけでも楽しい。
これは去年の紅葉。
 
今週末もアルペン号で北アルプス行こうと思っていたけど、天気がどうも怪しい。。
日曜の天気が高度3100m付近で風速33m/秒ってそれあかん奴じゃないか。。。
去年同じように風速30m越えの予報が出ていたときの八甲田山に行って、稜線に出た途端に進めず撤退してきたことを思い出した。
もう一回くらいテント泊したかったけど、これはアルペン号キャンセルかなぁ。。。
 
と今週末に思いを馳せつつ、先週末の五竜ー唐松縦走2日目。
天気は素晴らしく良い。
この日の出前の、雲海と空の境目のグラデーションが本当に好きだ。

照らされる五竜岳。

 
こんにちはお日様。この週はほんと天気が良かった。
 
これからいく唐松岳。結構なアップダウン。
「牛首の鎖場」というのがどれだか見えず、この時は、「アップダウンはありそうだけど、そんなに変なところはなさそう」と思ってた。

最初はハイマツ帯。
 
しばらく歩いて登り返して、ぜーはーしながら振り返ればこの景色。…あ、遠くに富士。

 
ここら辺から結構岩が出てくる。
これは、岩場のてっぺんまで登って、え?ここ降りるの?みたいなところを降りているところ。
 
まぁでも、こうやって写真撮れるくらいなのでまだ余裕があり、うきうきしてた。
が、この後の「牛首の鎖場」では写真一枚もなし。
もったいないことをした。。。
事前勉強不足で、思っていたより数段「鎖場」な感じのところだった。
別にそこまで怖くはないけど、「…え?これ足踏み外したら谷底一直線コースじゃ?」みたいなところのオンパレードで、わくわくしたけど、同時にすごく緊張した。
あと、へたれな私は五竜岳からここまでの僅か2時間足らずの間に既に結構へばっており、カメラを出そうという気にもならなかった。

結局、唐松岳頂上山荘に着いたのは五竜山荘出発してから2時間10分後。
コースタイム2時間30分なので、ほぼほぼコースタイム通り。
前日はコースタイムより早く上がれたので、この日のへばり具合がよくわかる。
まぁ、鎖場や岩場とか早く行きようがないところがあったせいかもしれないけど。
 
唐松岳頂上山荘でコーラを飲んで一服したあと、ザックをデポして、唐松岳を目指す。
オスプレーの雨蓋がアタックザックになるの、ほんと便利。
山荘についたときには疲れすぎてて、「こんなところ片道20分で上がれんの?」と思ったけど、意外に近く20分程で行けた。

 
しばらく地図とコンパス出して目の前に見える山の名前を想像しながら山頂で過ごす。
やっぱりこっちのほうが白馬三山な気がする。あのどこかに不帰嶮というのがあるんだな。。。うーん。。。めっちゃ行ってみたい。
 
今回の五竜岳ー唐松岳、すごく疲れたけどすごく楽しかった。
テント装備背負っての岩場登り/歩きはぐらぐらして少し怖いけど、やっぱり私は岩場好きなんだな、と実感した。
この前のクライミングはいまいち夢中になりきれず、私はやはり三点支持で慎重に足場を探すくらいの岩場を登ったり歩いたりするのが好きなんだと思う。
あの不帰キレットもそうだけど、鹿島槍が岳のほうにあるという八峰キレットも超えてみたい。
というか鹿島槍ー五竜ー唐松ー白馬とか縦走してみたい。キレット祭りだな。。。
 
などとぐだぐだと考えつつ30分程景色を満喫してから山頂を後にした。

しかし縦走することになったとしても唐松岳頂上山荘でのテント泊はちょっと。。。
山荘のトイレは衝撃を受けるほどの清潔さ(しかも水洗!)だったけど、ここにテント張ったらトイレ行く度にこの坂を上がるんでしょ?
ちょっと無理かな。。。
 
山荘からの八方尾根はしょっぱなから登りで一瞬絶望しかけたけど、そのあとはほぼ下り一辺倒で非常に楽だった。
景色も素晴らしい。
しかも左手にこの景色を眺めながら降りる。
そして前方にはこの景色。最高。

不帰キレット。あれかなぁ。

大きなケルン。
美しい眺めだけど、何とも言えない気持ちにもなる。

 
五竜岳にもいくつかケルンがあって、全部慰霊の碑が埋め込まれてた。
読んでるとどれも胸が痛かったけど、一番刺さったのは最初に見た、24、5歳の人の名前と「両親より」って書いてる碑。
そんな若さで亡くなったら両親は無念だろうな。
いや、年齢は問題じゃない、って言われそうだけど。。

私はもういい年で割とやりたいこともやったし、妹も姪っ子もいるし、もう山で死んでも海で死んでもきっと本望だから親には諦めて欲しい。
母に対してはいろいろ旅行にも食事にも連れていって結構恩を返したと思うしもういいよな。。。ていうか、正直子どもの頃受けた体罰と差っ引いたらおつりがきてもいいと思ったりもする。
でも、父に対してはまだ親孝行らしい親孝行をしていないので、その点はもうちょっと頑張らなければ、とも思う。。。。
 
父はあまり「してほしいこと」を口にしないので、これが結構難しい。
私はたぶん父に似たので、父の気持ちが結構わかる、と思う。
たぶん父も私も基本1人が好きだ。
したいこと、行きたい所、欲しいものがあれば1人でする/行く/買う。
他人にしてもらいたい、他人と一緒に何かしたい、という発想がない。
 
母はよく私に、「紅葉の季節の〇〇に行きたい」「尾瀬の水芭蕉を見に行きたい」「〇〇のトレッキングに行きたい」と言う(=要するに一緒に行きたいと言う)けれど、父や私にこの発想はない。
行きたい所ができれば一人で行く。
 
ダイビングや山に一人で行く(ダイビングの場合は一人でツアー参加)、というと驚かれるけど、私からすると驚かれることが驚きだ。
(…他人と行く必要性って何かありましたっけ??)と思う。
 
…と思考が四方八方に飛び散ったけど、要するに自分と同じような思考回路を持つ父から「して欲しいこと」を引き出して親孝行するのは難しいけど、自分がどこかの海か山に吸い込まれる前に、父にはもっといろいろ恩返ししなければならない。。

とぼんやり考えつつ歩いているうちに八方池到着。
下りばかりだったので楽で、山荘からの所要時間は1時間半弱。
 
白馬三山ほんとに美しい。。。最初はちょっと風があって逆さの山は見られず。

しばらく待ったらうっすら。

 
リフトへの道がわからず池の周りを2周して無駄に体力を浪費してしまったけど、念願の池に写る三山もうっすら見られたし、大満足の五竜ー唐松岳縦走だった。
五竜山荘ー五竜岳の岩場や牛首の鎖場がすごく良かったので、来年もまたこのコースをやりたいな。。
ほんとは今年中にもう一回行けたら、とは思うけど、10月に入ると朝なんか岩場が凍って滑ったりしそうで、ちょっと怖い。。
テント泊で五竜岳ー唐松岳縦走:一日目

五竜岳ー唐松岳縦走をしよう、と決めた理由は2つ。
一つには、好きな岩場・鎖場があると聞いていたこと、もう1つは、最後八方池に写る白馬三山を見て山行を締めたい、と思ったこと。
なので、ルートは、遠見尾根から登り、五竜山荘のテント場泊―五竜岳往復からの2日目に五竜山荘ー唐松頂上山荘ー唐松岳往復で八方尾根下山、と決めた。
 
アルペン号は今回プレミアムシートを予約できたけど、3列独立かと思っていたら4列で、あまり通常シートとの違いはわからず。
隣の人も眠れないのか結構寝返り打っていて私も寝られず。
結局今回もほぼ徹夜状態で5時過ぎに白馬五竜に到着。わかってはいるけどこれは結構老体に堪える。
 
ゴンドラの始発は7時30分から。
事前の下調べが甘く、エスカルプラザは閉まっていて、そんなにすぐに開く気配はない。
さてどうしよう。。。と思ったところ、一緒にアルペン号でついた女の人が、「駐車場をぐるっとまわっていけばとおみ駅に行けますよ」と教えてくれたので、エスカルプラザの前で無駄に時間をつぶさずにすんだ。
有難う優しい人。
ゴンドラ乗り場の前にザックを並べてから、1階のトイレで身支度したり、庭園をぶらぶらしたり、写真を撮ったり。
 
このゴンドラ乗り場、私がザックを並べた前に並べてあるザックがなんか見たことある、と思ったら、メトロの中から一緒だったおじいさんと小学生低学年くらいの女の子のザックだった。

おじいさんのザックは70ℓくらい?そして女児のザックの大きさも30ℓくらいで体の半分くらいはあるザックを背負っている上に、二人ともヘルメット持参。
強面のおじいさんの装備もすごいと思ったけど、大人しそうな小さな子が、しんどそうな顔もみせずに体の半分もある大きなザックを背負っているのが印象的で覚えてた。
 
この子はゴンドラ乗り場の前のソファで横になって寝ていて、そんな姿を見てると、年相応の女の子らしいなぁ、と微笑ましく思ってたんだけど、この子が起きてきて、おじいさんのスパルタな視線(無言)の下、独りでゲーターをし、ハーネス装着し、カラビナを吊り下げ、ヘルメット被ったのを見て、五体投地で拝みたくなった。
 
…痺れるかっこよさ…。
 
このおじいさんも装備がものすごくて、一体この人達は何者なのだろう、と興味が沸いたけど、女の子に対して「(女の子の)荷物が少ないからな」とスパルタ人もびっくりの発言をしているのを聞いて、ちょっとこの親子連れ(というか祖父と子連れ)に声をかけるのはためらわれた。

こんな景色がのんびりリフトに乗りながら見えるとか、もう最高。

 
さて、いよいよここからが、エーリエル55の初登板。
 
ゴンドラ待ちの列はすごい行列で、中にはセルマット外付けの、明らかにテント泊と思しき人々も結構いた。
あの人達に負ける訳にはいかない。
なんとしてでも早く五竜山荘(のテント場)にたどり着かないと。
…と思ったものの、歩きだしてすぐに息があがり、地蔵の頭に着くころには既に軽くバテる、という想定以上のへたれっぷり。
その後ぜーはー言いながら何人もの人に抜かれ、このままじゃ、テントを張れないかも、と焦るも、速度はあがらず。
 
景色は美しいし、途中こうやってなだらかな道もあるのはありがたいけど。。。
 
バテまくった頃にようやく見えた「五竜岳登山口」の看板。
すいません、登山口の時点で既に体力半分くらい持ってかれてるんですが。。。
 
鹿島槍は美しいんだけどね。
 
途中ようやく見えた五竜山荘の遠さと高さに絶望する。
画面中央右下の少しくぼんでいるところが五竜山荘。
 
テント場がなくなるのが怖いので、休憩をとらずに進む。
疲れてほんとに歩けなくなると、呼吸が鎮まるまで待つくらいで、あとはほんとに歩きどおし。
 
池の脇で休憩している集団を抜く。。。。けど、結局後で殆どに抜かれた気がする。
 
私は本当に軟弱者だなぁ。。。
ようやく五竜山荘が近くに見えてきた。
けど右のほうの尾根の急角度に絶望する。
喜八さんのレリーフから大天荘を見上げたときの絶望を思い出した。
しかし現実はもっと厳しく、大天荘は斜面トラバースだったけど、遠見尾根→五竜は、稜線を上がってから下る(つまりやや遠回り)、という鬼畜っぷり。
 
なんかすごい傾斜にすごい鎖が下がっているんですが。

 
鎖場も岩場も大好きで、去年塔ノ岳のヤビツ峠からのルートにはまりまくった理由が鎖場の存在であるくらい鎖好きなんだけど、このバテまくっているときの鎖場はつらい。
しかも、テント泊装備だとザックの重みに振られて怖い。
すごく慎重に三点支持で登る。
先日のクライミング講習の時の、「手元・足元ばかりに視線が行ってしまうとルートを見失うから顔をあげて」という指示を思い出しながら、上を見ながら、浮石を掴まないように一歩ずつ確認して登った。
 
ゴンドラに一緒に乗った人が「遠見尾根ってヤセ尾根とかもあって危ないんでしょ。」と言っていたのはこれのことなのかな、と思う。
遠見尾根には危険個所はない、という認識だったけど、ザックに振られないよう気を付けながら足早に通り過ぎる。

登りにつぐ登りに、好きな岩場も楽しめずへとへとになりながら、何とか五竜山荘に接近。あともうちょっと。

 
テントがまだそんなにない!とちょっと元気が湧く。

 
遠見尾根を振り返る。うーん頑張った私。
 
4時間弱で五竜山荘到着。
 
休憩も取らなかったので、この時点でへろっへろだったけど、受付へ急ぎテント受付を済ませる。
この時は強風が吹きあげてて、危うくエアライズ1がオズの魔法使いのドロシーの家状態になるところだった。
なんとかテントを張り終えたときにはへとへとで、マイテントにダイブしてマットを出す気力もなく爆睡。
1時間ほど昼寝した。
 
1時間程昼寝して起きたときには、疲労はややましになった気もしつつ、頭も痛いし、お昼食べる気力もないくらいへろへろだし、五竜岳に登るかすごく迷った。
もう明日にしてしまえ、という悪魔のささやきとやや葛藤しつつ、でもまだ午後1時半でやることもないし、天気は持ちそうだから時間かけていくか、と決意。
 
登り始めてすぐ「ちょっともうこれ無理かも」とへたれそうになるくらい疲労で足がぷるぷるする。全然あがらない。
鈍牛のような足取りで登り、何人もの人に抜かれる。
 
振り返って写真を撮りつつ休憩。
1時間寝ただけだけど、テントがかなりいっぱいに。
そしてこの後さらに溢れんばかりになる。
 
たぶん富山湾。。。だよね。しかし対岸になんか見えるけどあれはなんだ。。。
 
明日ゆく唐松岳がみえる。
あ、あれが唐松岳頂上山荘だな。そして後ろの山美しい。。。(たぶん地図みたら白馬だと思うけど自信ない。。。)

 
と現実逃避しつつ、目の前の岩壁見上げて白目むきそうになった。
 
なんかすごい急な登りがあるんですが。
 
いや、元気なときなら大興奮&大歓迎の岩場鎖場なんだけど、今もう、足10㎝持ち上げるのもつらくてアシモくんも吃驚のカクカクな動きしかできない私にはちょっとハードル高すぎる。
 
ああ、唐松岳とその向こうに見える白馬素敵、と現実逃避。
 
この辺りで、カラカラ。。。という音が聞こえてなんだろう、と思ってたら、カラカラ。。。ガラガラ、みたいな音になって、落石だと気づいた。
こっわ。。。
 
しかもさらに怖かったのは、視力左0.5、右0.2の私(裸眼)が振り返って見上げても落石箇所がわからなかった、っていうね。。。
レーシック、一度受けているのでまた受けるのちょっと悔しいなどと思い手術を先延ばしにしていた自分を反省した。
あと、ゴンドラ待っているときに、ヘルメットの人多いなぁ、鹿島槍まで行くのかなぁ、なんてのんきなことを考えていた自分をいたく反省した。
これはヘルメットあったほうが安心。
バランス崩してころんと行った場合は、谷底までころころ、ぽとん、となってヘルメットの有無はあんまり関係ない気もするんだけど、落石に対して身を守るのはヘルメットないとな。。。
 
こんな道を行く。
ほんと、元気なら飛び跳ねて喜びたいレベルで好きな岩場なんだけど、疲労困憊してふらふらの時にはきつい。
山頂直下までこんな鎖場・岩場が結構ある。
 
これは帰るときに取った(ので反対を向いてる)岩場。足場の細さは御覧の通り。
割と高所恐怖症なので、あんまり下を見ないように、何も考えないように、と無心を意識しつつ通過。
画面右上の黄色いペンキの岩から、この右手前の黄色い岩までが登山道。左につるん、と行けば谷底までころんころんいくだろう。
 
頂上付近の岩場。
ほんと、元気なら(以下略)
 
ここを登り切ったところがピークだと思ってたので、登り切ったまだその先に本当のピークを発見して心折れる。
が、なんとかへろへろになりつつもたどり着いた。
ヘロヘロすぎて、コースタイム1時間のはずが、1時間20分もかかった。
 
鹿島槍美しい。。。あそこら辺が八峰キレットかなぁ、と眺める。
五竜から鹿島にも行ってみたいと思っていたけど、これくらいで既によれよれになっている私にはまだ修行が足りない気がする。。
 
五竜山荘があんなに下に。
五竜から唐松に行って、唐松から白馬(と思われる山)に行って、白馬(と思われる山)からその向こうの稜線をずーっと下って行ってみたいなぁ。
まぁ、今のヘタレレベルで挑戦したら間違いなく死ぬけど。

帰ってきて、テント場がすごいことになってて慄いた。
私の両隣にもテントが立っていて、どうやら右隣のテントとその向かい側に立てたテントは会話を聞くに2人組女子っぽく、左隣のテントはちら、と見た限り若い兄ちゃんっぽい。
私は初バーナーで無事にお湯を沸かすことができた喜びをしみじみかみしめつつ早々にテントに入ってしまったけど、まだ大学生くらいに聞こえる女の子達はなんか本格的に調理してるっぽくいい匂いがする。

お湯を注いだ尾西のエビピラフの出来上がりを待つ間にまたうとうとしてしまって、目覚めたら1人はテントに入ってしまったらしく、1人のバーナーを使っている音だけが聞こえる。
ちょっと冷めてしまったものの、有難く初山クッキング(お湯を注いだだけ)の成果物を頂いていたら、今度は左隣のテントの入り口が開く音がして、「その恰好、寒くないっすか」と若者の声が聞こえた。

いや、特に。。と答える女子に、
 
「それ、ULすか」
「いや、グレゴリーのザックです」
「へえ、体力あるんすね。どこから上ってきたんすか?」
「八方尾根から唐松岳経由で。。。」
「あ、一緒だ。俺と連れもそうなんすよ」
「へぇ。。。」
「どっから来たんすか?東京から車で八方まで?あ、一緒っすね。帰りは?」
「遠見尾根から。。。」
「一緒だ!じゃあ帰り俺達と一緒にタクシー乗合で行きませんか?」
 
というやや一方通行がちな会話を頭上に聞きつつ、尾西のエビピラフを食す私。
 
すいません、人のテント挟んでナンパするのやめてもらっていいですか?
 
がさごそしづらい。。。
しかしじっとしているのも聞き耳立ててるっぽくて嫌だな。。。
と、結局、自然体を心掛けて(?)、がさごそ自分の存在を静かに主張しつつ、ピラフを食べ終わり、ポカリを飲んで、さすがにここで歯を磨きだすのはKYだろうか、と悩み始めたところで、2人組女子のもう一人が起きてきてナンパ終了(おそらく失敗)。
 
すごいな、山でナンパとかほんとにあるんだな、と妙なことに感動しつつ寝支度をして、7時前には流れ落ちるように就寝。
 
テント泊用のザックとして、オスプレーのエーリエル55を購入。
 
先日の大天井1泊、今持っているpaineの30でもぎりぎりまで拡張していけたけど、アルミのマットは入らなかったので、割と容量はぎりぎり。
何より、2日目になると、腰骨にザックベルトがあたってすごく痛くて非常に落ち着かず、最後は痛さのあまり、ウェストベルトと体の間に親指突っ込んでベルトを抑えるようにして下山した。

これは頂けない。危険すぎる。
 
paineを使っていてこんなことは初めてだったので、やっぱり入れる重量に見合うようなザックを買った方がいいのかもしれない。
というわけで、テント泊用の少し大きめのザックを調達することにした。
重視したポイントは、「腰骨に当たらない」。「背負いやすい」。特に1つ目はものすごく重視したいポイント。
大きさは、「夏山テント泊2,3泊として使えるもの。がりがりの冬山はやらないけど、将来残雪期のテント泊はやってみたいのでその装備が入るもの。装備はたぶん少ない方。夏山1泊なら、paine30で行けた」として店員さんにきいて、60程度のものを薦められた。
60以上のものを薦められたけど、使用頻度を考えると、そこまで雪山はやらない気がしたので、ちょっと日和って少な目を優先的に検討。。
 
グレゴリー ディバ60.
ドイター エアコンタクト 60+10
クーガー グレース 55-70
オスプレー エーリエル 55

ドイツ好きの自分としてはドイターにものすごく心惹かれたけど、背負ったときになんとなくしっくりこなくて、残念ながらこれは真っ先に候補から外れた。
残る3つについては、空で背負ったときと、2回目に店舗に行って11キロの重りを詰め込んだときとで、全然背負い心地が違って吃驚した。
空で背負ったときに、カリマーは一番腰骨が痛くないと思ったけど、重りを入れたときに腰への当たりが一番気になり、これは残念ながら候補から外れた。
グレゴリーは、腰への当たり心地は気にならなかったけど、重りを入れたとき、空のときに気にならなかった後ろへ引っ張られる感じが気になった。
オスプレーは、空で背負ったとき、この蟹ばさみ方式の腰のベルトの腰骨への当たりが気になってやめたんだけど、重りを入れたときには何故か全く当たらなく、背負い心地も一番フィットする気がした。
グレゴリーは評判良いのですごく未練が残り、最後までオスプレーと迷ったけど、後ろへ引っ張られる感じが気になって、結局オスプレーにした。
店員さん曰く、グレゴリーの背面に入っているパネルを内側に折り曲げるようにすればこの引っ張られる感じはなくなると思う、とのことだったけど、

「まぁそこまでするなら最初からフィットする方を買ったほうがよいと思いますが」
 
とのお言葉。まぁ、そうですよね。。。
 
アメリカのブランド好きじゃないし信じてもないんだけどな。。。ドイツのほうが良かった。。。いや、しかしそんな理由で選ぶものでもない。
 
デザインと色は一番オスプレーが良かったし、夏山がメインになるであろう自分にとっては、背面がメッシュで密着しないのもいい。
 
これが一番背負い心地(と腰への当たり)が良い、というのは運命だったのかもしれない。
と自分を納得させる。
 
「腰骨にあたらない」と「背負い心地」を優先したので他の機能は殆どチェックしなかったけど、帰ってきていろいろといじっていたら、
雨蓋が外れてアタックザックになることに気づいた。
 
これは今週末テントの中で実際に分離したとき。
アタックザック、欲しかったのでラッキー。
 
今週末はこのオスプレーにテント装備一式と新しく買ったバーナー(プリムス)を詰め込んで、五竜→唐松岳を縦走してきた。
鎖場と岩場好きの自分としてはお腹いっぱいになるくらいの岩岩したコース。
 
コースの感想は後ほど書くとして、ザックの感想、特に文句ない。
他の大容量ザックを使ってないから比べられないけど、底部が空いて、テントのグラウンドシートや本体をささっと出し入れできるのいいし、この雨蓋が取り外しできてアタックザックになるというのが私はすごく気に入った。
雨蓋に地図とかグローブとか帽子とかしまっておけば入れ替える必要もない。
ここにメイク落としとか化粧水とかこまごましたもの入れておけば、下山後温泉に行く時も、今回そうだったようにザックを外に置いておかなきゃいけない時でも、雨蓋取り外してこのまま持っていける。
 
が、やはり腰に当たるのは避けられなかった。。。
 
腰骨が痛くならないザックってないのだろうか。。。
私の背負い方が悪いのかな。。
一日目で既に左の腰骨が痛くなり、何度もザックを調整したりして余計な労力を使った。
2日目にようやく思いついて、腰にハンドタオルを挟んでからウェストベルトを締めたら痛みが軽減されたので今度からは最初からこれで行こうと思う。