テント泊で五竜岳ー唐松岳縦走:一日目
五竜岳ー唐松岳縦走をしよう、と決めた理由は2つ。
一つには、好きな岩場・鎖場があると聞いていたこと、もう1つは、最後八方池に写る白馬三山を見て山行を締めたい、と思ったこと。
なので、ルートは、遠見尾根から登り、五竜山荘のテント場泊―五竜岳往復からの2日目に五竜山荘ー唐松頂上山荘ー唐松岳往復で八方尾根下山、と決めた。
アルペン号は今回プレミアムシートを予約できたけど、3列独立かと思っていたら4列で、あまり通常シートとの違いはわからず。
隣の人も眠れないのか結構寝返り打っていて私も寝られず。
結局今回もほぼ徹夜状態で5時過ぎに白馬五竜に到着。わかってはいるけどこれは結構老体に堪える。
ゴンドラの始発は7時30分から。
事前の下調べが甘く、エスカルプラザは閉まっていて、そんなにすぐに開く気配はない。
さてどうしよう。。。と思ったところ、一緒にアルペン号でついた女の人が、「駐車場をぐるっとまわっていけばとおみ駅に行けますよ」と教えてくれたので、エスカルプラザの前で無駄に時間をつぶさずにすんだ。
有難う優しい人。
ゴンドラ乗り場の前にザックを並べてから、1階のトイレで身支度したり、庭園をぶらぶらしたり、写真を撮ったり。
このゴンドラ乗り場、私がザックを並べた前に並べてあるザックがなんか見たことある、と思ったら、メトロの中から一緒だったおじいさんと小学生低学年くらいの女の子のザックだった。
おじいさんのザックは70ℓくらい?そして女児のザックの大きさも30ℓくらいで体の半分くらいはあるザックを背負っている上に、二人ともヘルメット持参。
強面のおじいさんの装備もすごいと思ったけど、大人しそうな小さな子が、しんどそうな顔もみせずに体の半分もある大きなザックを背負っているのが印象的で覚えてた。
この子はゴンドラ乗り場の前のソファで横になって寝ていて、そんな姿を見てると、年相応の女の子らしいなぁ、と微笑ましく思ってたんだけど、この子が起きてきて、おじいさんのスパルタな視線(無言)の下、独りでゲーターをし、ハーネス装着し、カラビナを吊り下げ、ヘルメット被ったのを見て、五体投地で拝みたくなった。
…痺れるかっこよさ…。
このおじいさんも装備がものすごくて、一体この人達は何者なのだろう、と興味が沸いたけど、女の子に対して「(女の子の)荷物が少ないからな」とスパルタ人もびっくりの発言をしているのを聞いて、ちょっとこの親子連れ(というか祖父と子連れ)に声をかけるのはためらわれた。
こんな景色がのんびりリフトに乗りながら見えるとか、もう最高。
さて、いよいよここからが、エーリエル55の初登板。
ゴンドラ待ちの列はすごい行列で、中にはセルマット外付けの、明らかにテント泊と思しき人々も結構いた。
あの人達に負ける訳にはいかない。
なんとしてでも早く五竜山荘(のテント場)にたどり着かないと。
…と思ったものの、歩きだしてすぐに息があがり、地蔵の頭に着くころには既に軽くバテる、という想定以上のへたれっぷり。
その後ぜーはー言いながら何人もの人に抜かれ、このままじゃ、テントを張れないかも、と焦るも、速度はあがらず。
景色は美しいし、途中こうやってなだらかな道もあるのはありがたいけど。。。
バテまくった頃にようやく見えた「五竜岳登山口」の看板。

すいません、登山口の時点で既に体力半分くらい持ってかれてるんですが。。。
鹿島槍は美しいんだけどね。
途中ようやく見えた五竜山荘の遠さと高さに絶望する。
画面中央右下の少しくぼんでいるところが五竜山荘。
テント場がなくなるのが怖いので、休憩をとらずに進む。
疲れてほんとに歩けなくなると、呼吸が鎮まるまで待つくらいで、あとはほんとに歩きどおし。
池の脇で休憩している集団を抜く。。。。けど、結局後で殆どに抜かれた気がする。

私は本当に軟弱者だなぁ。。。
ようやく五竜山荘が近くに見えてきた。
けど右のほうの尾根の急角度に絶望する。
喜八さんのレリーフから大天荘を見上げたときの絶望を思い出した。
しかし現実はもっと厳しく、大天荘は斜面トラバースだったけど、遠見尾根→五竜は、稜線を上がってから下る(つまりやや遠回り)、という鬼畜っぷり。
なんかすごい傾斜にすごい鎖が下がっているんですが。
鎖場も岩場も大好きで、去年塔ノ岳のヤビツ峠からのルートにはまりまくった理由が鎖場の存在であるくらい鎖好きなんだけど、このバテまくっているときの鎖場はつらい。
しかも、テント泊装備だとザックの重みに振られて怖い。
すごく慎重に三点支持で登る。
先日のクライミング講習の時の、「手元・足元ばかりに視線が行ってしまうとルートを見失うから顔をあげて」という指示を思い出しながら、上を見ながら、浮石を掴まないように一歩ずつ確認して登った。
ゴンドラに一緒に乗った人が「遠見尾根ってヤセ尾根とかもあって危ないんでしょ。」と言っていたのはこれのことなのかな、と思う。

遠見尾根には危険個所はない、という認識だったけど、ザックに振られないよう気を付けながら足早に通り過ぎる。
登りにつぐ登りに、好きな岩場も楽しめずへとへとになりながら、何とか五竜山荘に接近。あともうちょっと。
テントがまだそんなにない!とちょっと元気が湧く。
遠見尾根を振り返る。うーん頑張った私。
4時間弱で五竜山荘到着。
休憩も取らなかったので、この時点でへろっへろだったけど、受付へ急ぎテント受付を済ませる。
この時は強風が吹きあげてて、危うくエアライズ1がオズの魔法使いのドロシーの家状態になるところだった。
なんとかテントを張り終えたときにはへとへとで、マイテントにダイブしてマットを出す気力もなく爆睡。
1時間ほど昼寝した。
1時間程昼寝して起きたときには、疲労はややましになった気もしつつ、頭も痛いし、お昼食べる気力もないくらいへろへろだし、五竜岳に登るかすごく迷った。
もう明日にしてしまえ、という悪魔のささやきとやや葛藤しつつ、でもまだ午後1時半でやることもないし、天気は持ちそうだから時間かけていくか、と決意。
登り始めてすぐ「ちょっともうこれ無理かも」とへたれそうになるくらい疲労で足がぷるぷるする。全然あがらない。
鈍牛のような足取りで登り、何人もの人に抜かれる。
振り返って写真を撮りつつ休憩。
1時間寝ただけだけど、テントがかなりいっぱいに。
そしてこの後さらに溢れんばかりになる。
たぶん富山湾。。。だよね。しかし対岸になんか見えるけどあれはなんだ。。。
明日ゆく唐松岳がみえる。
あ、あれが唐松岳頂上山荘だな。そして後ろの山美しい。。。(たぶん地図みたら白馬だと思うけど自信ない。。。)
と現実逃避しつつ、目の前の岩壁見上げて白目むきそうになった。
なんかすごい急な登りがあるんですが。
いや、元気なときなら大興奮&大歓迎の岩場鎖場なんだけど、今もう、足10㎝持ち上げるのもつらくてアシモくんも吃驚のカクカクな動きしかできない私にはちょっとハードル高すぎる。
ああ、唐松岳とその向こうに見える白馬素敵、と現実逃避。
この辺りで、カラカラ。。。という音が聞こえてなんだろう、と思ってたら、カラカラ。。。ガラガラ、みたいな音になって、落石だと気づいた。
こっわ。。。
しかもさらに怖かったのは、視力左0.5、右0.2の私(裸眼)が振り返って見上げても落石箇所がわからなかった、っていうね。。。
レーシック、一度受けているのでまた受けるのちょっと悔しいなどと思い手術を先延ばしにしていた自分を反省した。
あと、ゴンドラ待っているときに、ヘルメットの人多いなぁ、鹿島槍まで行くのかなぁ、なんてのんきなことを考えていた自分をいたく反省した。
これはヘルメットあったほうが安心。
バランス崩してころんと行った場合は、谷底までころころ、ぽとん、となってヘルメットの有無はあんまり関係ない気もするんだけど、落石に対して身を守るのはヘルメットないとな。。。
こんな道を行く。

ほんと、元気なら飛び跳ねて喜びたいレベルで好きな岩場なんだけど、疲労困憊してふらふらの時にはきつい。
山頂直下までこんな鎖場・岩場が結構ある。
これは帰るときに取った(ので反対を向いてる)岩場。足場の細さは御覧の通り。

割と高所恐怖症なので、あんまり下を見ないように、何も考えないように、と無心を意識しつつ通過。
画面右上の黄色いペンキの岩から、この右手前の黄色い岩までが登山道。左につるん、と行けば谷底までころんころんいくだろう。
頂上付近の岩場。

ほんと、元気なら(以下略)
ここを登り切ったところがピークだと思ってたので、登り切ったまだその先に本当のピークを発見して心折れる。
が、なんとかへろへろになりつつもたどり着いた。

ヘロヘロすぎて、コースタイム1時間のはずが、1時間20分もかかった。
鹿島槍美しい。。。あそこら辺が八峰キレットかなぁ、と眺める。

五竜から鹿島にも行ってみたいと思っていたけど、これくらいで既によれよれになっている私にはまだ修行が足りない気がする。。
五竜山荘があんなに下に。

五竜から唐松に行って、唐松から白馬(と思われる山)に行って、白馬(と思われる山)からその向こうの稜線をずーっと下って行ってみたいなぁ。
まぁ、今のヘタレレベルで挑戦したら間違いなく死ぬけど。
帰ってきて、テント場がすごいことになってて慄いた。

私の両隣にもテントが立っていて、どうやら右隣のテントとその向かい側に立てたテントは会話を聞くに2人組女子っぽく、左隣のテントはちら、と見た限り若い兄ちゃんっぽい。
私は初バーナーで無事にお湯を沸かすことができた喜びをしみじみかみしめつつ早々にテントに入ってしまったけど、まだ大学生くらいに聞こえる女の子達はなんか本格的に調理してるっぽくいい匂いがする。
お湯を注いだ尾西のエビピラフの出来上がりを待つ間にまたうとうとしてしまって、目覚めたら1人はテントに入ってしまったらしく、1人のバーナーを使っている音だけが聞こえる。
ちょっと冷めてしまったものの、有難く初山クッキング(お湯を注いだだけ)の成果物を頂いていたら、今度は左隣のテントの入り口が開く音がして、「その恰好、寒くないっすか」と若者の声が聞こえた。
いや、特に。。と答える女子に、
「それ、ULすか」
「いや、グレゴリーのザックです」
「へえ、体力あるんすね。どこから上ってきたんすか?」
「八方尾根から唐松岳経由で。。。」
「あ、一緒だ。俺と連れもそうなんすよ」
「へぇ。。。」
「どっから来たんすか?東京から車で八方まで?あ、一緒っすね。帰りは?」
「遠見尾根から。。。」
「一緒だ!じゃあ帰り俺達と一緒にタクシー乗合で行きませんか?」
というやや一方通行がちな会話を頭上に聞きつつ、尾西のエビピラフを食す私。
すいません、人のテント挟んでナンパするのやめてもらっていいですか?
がさごそしづらい。。。
しかしじっとしているのも聞き耳立ててるっぽくて嫌だな。。。
と、結局、自然体を心掛けて(?)、がさごそ自分の存在を静かに主張しつつ、ピラフを食べ終わり、ポカリを飲んで、さすがにここで歯を磨きだすのはKYだろうか、と悩み始めたところで、2人組女子のもう一人が起きてきてナンパ終了(おそらく失敗)。
すごいな、山でナンパとかほんとにあるんだな、と妙なことに感動しつつ寝支度をして、7時前には流れ落ちるように就寝。