海と山、時々きもの -69ページ目

海と山、時々きもの

ダイビング記録+きもの試行錯誤の覚書。…だったはずなのに最近は山歩きの記録簿と化しつつある。
23年秋から山のない国に滞在中のため山歩き頻度は低下中。

本当に雪山の季節は短く儚くてあっという間で、登りたいと思ったけどまだ登れていないところや、反省を踏まえてまた登ってみたいところが幾つもある。

幾つもあるんだけど、来年ここだけは行きたい、と思っているところが4つある。

1.五竜岳

自分が遠見尾根でテント泊して以降の五竜岳のレコは読んでいない。。。きっと悔しくなるから。
1週ずらしていれば、と何度も悔やんだ。でも仕方ない。山に登る時の天気は運だから。
とりあえず、筋金入りのチキンな自分でも、誰もいない遠見尾根でテント泊できる、恐怖が極まって踊りだしたりするようなことはない、ということはわかったし、コースはわかってるので、来年1泊2日で厳冬期の五竜岳の山頂に立ってみたい。
あわよくば唐松まで縦走してみたいけど、雪山は最初から欲張ると失敗するので、まずは五竜岳ピストンを目標にしようかな。。。

2.蓮華岳丸石尾根

今一番行きたいところはどこかと聞かれたら厳冬期の五竜岳かこの蓮華岳丸石尾根かで迷う。

数週間前までは名前すら知らなかった(蓮華岳の名前はうっすら知ってたくらい)。
これを知ったのは偶然、「旅んぷれ」というyoutubeの動画だった。

最初に「八峰縦走」の動画を見た時は文字通り鳥肌がたって、「なんと痺れる山行をする人なのだろう」とノックアウトされた。
この人の雪山動画はなめるように全部みた。

どれも圧倒されたけど、この蓮華岳丸石尾根の動画は音楽も相まって一番ぞくぞく震えた。
(いや、でも鹿島槍厳冬期4泊5日も痺れたし、うーん。。。とりあえずまっ○んさんの動画はどれも痺れる。)

特に稜線上に出てから強風に耐えながら進むところ、頂上での360℃の真っ白な眺め、帰りの雪壁のクライムダウン。。。全部震える。私もここに行きたい。

調べたところ、ロープを使う(人が多い)所が一か所あるようだけど、どのみち1人なのでロープ云々はどうしようもない。スキルもないしできれば残置物残したくないし。。。
誰もいない雪山に対する恐怖を克服できるか、という点が不安だったけど、遠見尾根テント泊をやってみて大丈夫そうだな、という気持ちが持てたので(人の多い遠見尾根とトレースあるかも怪しいバリエーションルートの丸石尾根はまた別だと思うが)トライしてみたい。

車というか免許すらもたない私にとっては扇沢ゲートまでたどり着くのが既にハードだし、そこから扇沢駅に行くまでが、チキンハート王な私にとっては結構ハードル高いけど(暗いトンネルを1人歩いていくとか考えただけで恐怖で倒れそう)。


3.赤岳ー横岳ー硫黄岳ー天狗岳ー黒百合ヒュッテ

この冬の赤岳―横岳ー硫黄岳は自分のチキンさをしみじみ噛み締めた山行だった。今思い出しても反省点まみれ。
一番反省してるのは、横岳で雪を踏み抜いて動けなくなったことで怖くなってその先に進めず、後ろから来た人に「この道であってますかね?」と聞いてしまったことだ。
それが判断できないような人間はそこで引き返すべきだった。

あれくらいの雪で怖くなったことといい、とりあえず全てが恥ずかしい。
なので、もう1回やり直したい。
もう一度ちゃんと計画を立てて縦走して、必要なら夏沢峠でビバークしつつの1泊2日かけてでも、黒百合ヒュッテまで行きたい。あわよくば、2泊3日で北横岳まで行ってみたい。


4.西穂高

公共交通機関で行くしかない人間にとっては西穂はアクセスに苦労する。特にコロナ下でアクセス手段が減っている今は。。。
今年すごく行きたかったけど、緊急事態宣言でロープウェイが動いていなかったりしたこともあって、結局行く機会を失った。
来年は行ってみたい。

できれば頂上まで行きたいけど、無理だと思ったら独標で引き返す冷静さを持っていたい。。

 

 

他にも白毛門の山頂までとか、谷川岳を西黒尾根からとか、木曽駒とか、八甲田山とか、色々行ってみたい所はあるけど。。。とりあえずどうしても行ってみたい、と思うのはこの4つ。

 

山は逃げないという人もいるけど、年々自分の体力は衰えていく一方だし、今年も色んな山小屋の人が書いてたけど雪だって減っている。

登れるうちに登っておきたい。

先週は残雪期というかほぼ春山の安達太良山に登った。

残雪の沼の平は少しアメリカの国立公園を思い出した。雪や岩や土のまだら模様が美しかったけど、やはりこれが真っ白になる積雪期にも来てみたい。

今週末は天気が悪かったこともあって、久しぶりに山を休み、昨日はほぼ一日寝ていた。
先週仕事が吐きそうなほど忙しかったせいか、それとも1月からの山行で疲れがたまりまくっているせいなのか、なんかもう永遠に眠れるくらい疲れている。
しかし今年に入り生活の中心がほぼ山になった結果、新居に関する手続きを何にも進めていなかったので、今日は住宅ローン関係の書類を整理してから、疲れた体に鞭打って、新居に置くダイニングテーブルを見に遠出した。

ダイニングテーブルの候補はA製作所のXとY。

1軒目の家具店では、A製作所の製品がセールになっているとのことだったので、結構遠い所まで足を延ばした。
受付を済ませダイニングテーブルを見てたら声をかけられたので、候補のテーブルを告げると、XとY2つ並べて置いてあるところに案内される。
私にとって本命はX、第二候補がY。

第二候補YはA製作所の主力製品。

一方のXはややマイナー。半年前はA製作所のウェブサイトに掲示されていたけど、先週アクセスしたところ表示が消えていた。
A製作所に「廃盤ということでしょうか?」との問い合わせのメールを出したところ、「現在もお取り扱いはしていますが、開発スケジュールや在庫状況で廃盤になる可能性はございますので都度販売店にご確認ください」というメールがかえってきたので、廃盤の可能性が限りなく高そうな雰囲気はあるものの、まだ廃盤が決定した訳ではない様子。

しかし実物を見ていてやはりXのほうがいいな、と思い、家具店の店員さんに「Xの140㎝のはありますか?」と聞いたところ、「Xは廃盤ですね」と即答された。

…先週時点でA製作所は「現在もお取り扱いはしている」って返事だったんだけどな。。。

1週間で状況が変わったのかな。。。ともやもやしている私の横で、店員さんは携帯を取り出しどこかへ電話。
つながらなかったようで、すぐに携帯を引っ込めたので「ではこの展示品しかないということですか?」ときくと、「これももう売約済なんですよ」と再び即答。

…どこにも売約済の札貼ってないけど(値札はある)、そうなのか。。。

ともやもやが大きくなった私に向かって、店員さんの止めの一撃。

「今メーカーに電話してもつながらなかったんで、やっぱ廃盤ってことですね」

…。

メーカーに電話してもつながらない=「廃盤」ってどういうロジック???

普通に休日だからでは???

その瞬間、ツッコむ気力もそのお店で買う気も喪失してしまい、「わかりました有難うございます~」とそそくさと退店してしまった。入店から5分。

ちなみにXは2軒目の家具店で普通に購入できた。
店員さん曰く「Xは受注生産で、メーカーはまだ受注受け付けている」とのこと。

ですよねー。。。

というわけでテーブルは無事に買えたけど、椅子は本命のものが置いてなかったこともあって、決断先送り。
幾つか試しに座ってみたけど、ものによって座り心地が驚くほど違う。
座り心地はいいなと思ったけど、見た目が気に入らなかったり。。。椅子は難しい。

今週の土日の天気予報が良すぎて、五竜岳決行を今週にすればよかったか、と激しく後悔した。

今週末もう一度行こうか、金曜夜の会議は欠席してしまおうか、と一時期真剣に悩む程。
まぁ、さすがに無理なんだけど。。。我ながら未練がましい。。。

今回、自分が五竜岳の登頂を諦めただけに、この週末に五竜岳の山頂まで登った人はいるのかな、と気になっていろんなレコを見ていたら、とあるレコに目が留まった。

バックカントリーの人のレコで、私が中遠見に泊まった同じ日に五竜岳に登頂、帰りは滑走して、途中のルンゼでクマを見たという。
確かに写真はめっちゃクマ。とてもクマ。

うぇぇクマってもう出るのか。。。
なんか勝手に、雪山には出ないと思ってた。
でも確かにwikipedia先生みると、冬眠から目が覚めるの、オスは4月初旬、メスは5月、と書いている。
そろそろ起きてもおかしくない時期ではあったのか。勉強不足だった。。。反省。

まぁそれにこれだけ暖かいんじゃ、そりゃクマも起きるよね。。。
登山道付近じゃなくて、バックカントリーエリアだったのが幸いだわ。。。
と思いながら読み進めていたら、最後の文を読んで目が点になった。

「熊は登山道のある遠見尾根方面に移動していった」


…まじか。

ブレアウィッチプロジェクトとかmazeの恐怖に震えてる場合じゃなかった。


もっと震えるべきリアルな恐怖がここにあったわ。

冬眠明けでさぞお腹空いていただろうに、こっちに来ないでくれて有難う、クマさん。
もし来てたら、クマvsゴリラの戦いになるところだった。

…しかしクマさんには申し訳ないが、今度からはピッケルを胸に抱いて眠ろう。

雪山ソロテント泊の記録は数あれど、そのテント泊の夜を恐怖に震えながら過ごしたという記録を見た記憶はない。
寒さに震えた記録なら幾つもみたけど。

皆、ソロテント泊が怖くないのだろうか?
なんか、記録では、当たり前のように夜テントの外を歩き回って夜景を撮ったり、さらっと次の日を迎えているけど。

だって、ブレアウィッチプロジェクトを1人でやってるようなものだよ??

テントの周りで走り回る音や何かの声を聞いたりするんじゃないか、暗闇に何かを見つけてしまったりするんじゃないか、という恐怖と皆どうやって戦うんだ。。。

皆すごすぎる。。。

と先人達への尊敬の念に改めて打ち震えながら、いよいよ寝ようと寝袋にもぐりこんだ。
さっき装備を交換したおかげか寒くはない。

ライトは一晩中ともしておこうかと思ったけど、迷った末やめた。
今からそんな使い方してたら、夜中、いざって時に充電切れになるからな。。。いざという時が何なのか知らないけど。

そんな時は永遠に来ないと固く信じているけど。

固く信じているけど、万が一いざという時が発生し、さらにその時ライトがご臨終しててもいいように、ヘッドランプも首から下げた。
携帯とカメラとマグマカイロを抱えてAirplus810の中に頭までもぐりこむ。

見えなければいないのと一緒。

しばらくは何の音も聞こえなかったけど、少したってから、かさかさと音が鳴りだしてどきっとする。
少しして気づく。これは風がテントのフライを揺らす音か。。。吃驚した。

少しの間気になって、他の音が聞こえたりしないかどきどきしていたけど、やがて慣れてしまって、そして慣れたことにちょっと感動した。

こんな尾根に一人きりなんて怖くて心臓が口から飛び出るんじゃないかと思ってたけど、意外に平気だ。。。すごいぞ私。。。
いや、すごいのは私じゃなくてテントか。
やっぱり生身で夜の闇に接するのと、テント一枚隔てるのとは違う。安心感半端ない。

そして、落ち着いてくると、別の恐怖が頭に浮かんできた。

ここ、何度も確認して大丈夫と思ったけど、実は雪庇に見えない雪庇で、寝てる間に崩れて落ちたりしたらどうしよう。
まぁ、斜面の下の方に木があったからそこで止まってくれるとは思うけど。。。
万一テントが埋もれたりしたらどうしよう。。。

窒息は怖い。狭い場所に閉じ込められるのは嫌だ。。。
ダイビングでも私が一番怖いのは、水中洞窟でひっかかって抜けなくなってもがいているうちにエア切れになること。
考えただけでぞっとする。
寝てる間に雪崩でテントが埋まった人達の遭難記録も読んだけど、あれはぞっとした。

ナイフ持って眠るべきだったか。。。と悶々としながら、いつの間にか眠っていた。

次に起きた時、もう朝かな、とうっすら期待したけど、時計をみると10時。まだ3時間しかたってない。絶望。

絶望しつつも、せっかく起きたんだから、と靴を出して外に出てみた。
辺りはうっすら霧がかってて、真っ暗。

麓の白馬の明かりもかすんでぼんやりしている。
 

うーん、どう見てもブレアウィッチプロジェクト。

即効テントの中に引き返そうかと思ったけど、せっかくなので少し離れてテントを撮ってみた。


…もうちょっと離れて撮ったほうがいいよね。
わかってる。
でも、無理。
だって怖いから。
チキンハートそんなすぐに治らないから。

テントを撮った後はそそくさとテントの中に引き返し、シュラフにまたもぐりこんで頭を突っ込んだ。
見えなければ(以下略)。

今度は先ほどよりは落ち着いていつの間にか寝落ちていた。
夜中、風の音やテントを叩く雨の音でうっすら目が覚め、これは朝焼けも無理かな。。。とちょっと絶望しながら、再び寝落ち、起きたら今度はテントの周りが薄明るくなってる。

時間は3時半頃。

雨の音もやんでいるようなので、外を見たら、うっすらと五竜の輪郭が見えるので、テントからはい出てみた。
実際はもうちょっと暗い。


夜の雪山の、なんというか、静かな存在感というか荘厳さにちょっとの間痺れてしまった。

写真にもかすかに写ってるけど、暗い白岳の斜面に光るものが見えてちょっとどきっとする。
あんなところに明かりがあるはずがない、見なかったことにしよう、と目をそらしたものの、後から考えれば、あれは早出した誰かが五竜岳に登ってたんだろう。
怖くなってしまってすみません。

幾らなんでも行動開始には早すぎるので、テントに戻ってシュラフにもう一度もぐりこんでみたけど、どうにも眠れないので、ごそごそと荷物を片付け初めていたら、通気口から東の空が赤くなっているのが見えて、慌ててテントを飛び出した。

そしたらこれ。

 





朝焼けの鹿島槍から五竜、白馬。そして雲海。その向こうに朝日。
遠見尾根には自分以外誰もいない。風もない。静かな鳥の声だけが聞こえる。

 

 



うーん胸がいっぱい。



そりゃちょっとは朝太陽が見られたらいいな、くらいは思ったけど、こんなに美しい朝焼けが拝めるとは思わなかった。

来て良かった。
有難うございます、山の神様。。。

何度も携帯やカメラをぱちぱちやってみたけど、うまく写真は撮れないし、なんだかもったいない気がして、最後はぼうっとこの景色を眺めてた。


心行くまで景色を堪能した後は、ゆっくり朝食の支度をする。

といっても、お湯を沸かしてラテを溶かすだけ。
相変わらず食欲はないので、昨日の残りのレーズンロール2つを押し込む。

テントを撤収するころになると、天気はこのとおり。



空からもぽつぽつと雨粒が落ちてくる。
ほんと、朝のあの時間は奇跡だったんだな。。。

帰り際、中遠見のケルンの足元をふとみたら、プレートが埋め込まれていたことに気づいた。これも慰霊の碑だったのか。。。
こんな近くで一人じたばたしていてごめんなさい。
おかげ様で無事に快適に過ごせました。有難うございます。遠見尾根からみる雪の後立山連峰、日中も夜も朝も、いつ見ても素晴らしく美しいですね。

ケルンに感謝してから、遠見尾根を下る。
雨はぽつぽつ。念のため、本降りになってもいいようにマムートのハードシェルを羽織って出発したけど、幸い、ずっと小降りのままだった。


アルペン平が見えたときにはほっとした。


中遠見を出発してから1時間半もしないうちに、地蔵の頭の麓、到着。



遠見尾根さん、今回も有難う。
五竜岳に登れなかったのは心残りだけど、でも初めて1人で雪山でテント泊できたことに対する満足をじんわり味わう。

エスカルプラザで2時間程時間をつぶした後は、五竜からバス&新幹線で東京駅に午後帰還。
長野駅ではまだスキー客もいたから何とか気づかないふりをしようと思ったけど、東京駅で降りて丸の内方面に向かっていると嫌でも感じる。

この、人里に迷い込んだイエティ感。

春のふわふわひらひらした服装の人々が行きかう中で、1人薄汚れてぼさぼさ頭でド派手&ドでかいザック背負ってどすどす歩いてる我が身のなんと浮いていることか。。。悲しい。早く帰りたい。

だんだん悲しくなってきて、丸の内南口からそそくさとタクって帰還して、初めての雪山ソロテント泊、終了。


山で殆ど食べなかったせいか、帰ってきて中華を爆食したせいか、夜にのたうち回る程の胃痛に苦しむことになったけど、何とか無事に終えることができた(次の日無事に会社もいけた)。

 

長野からのバスは9時半頃には五竜のバス停に着いた。
エスカルプラザに直接着く便も、神城駅からのエスカルプラザへの無料シャトルも、3月いっぱいで終了してしまっている。
1か月前に来た時は道端にわんさか積もっていた雪も、もう殆どなくなっている。
雪のシーズンの終わりをひしひし感じて、何とも寂しい。

エスカルプラザで身支度して10時半頃、出発。
時間が遅いせいか、登山客は他にもう一組だけ。
スキー客も前回よりかなり少なく閑散としている。
リフト乗り場の前のスキー場には雪はもう殆どない。
上でリフトに並んでいると、後ろのスキーヤーのおっちゃんに「今から登るの?遅くない?」と心配される。

…冷静に考えればどれも私の登山には関係ないはずなのに、いかんせんチキンハートなもので、不安はいや増す。

出発時に確認したwindyは相変わらず明日9時には天気崩れてる予報だし、もう登頂はやめとこうかな。。。
月曜早出だし。無事帰れないリスクだけでなく、疲れて仕事を休んでしまうようなリスクも取れない。

幸い雲は多いけど景色は楽しめる。
初めての雪山ソロテント泊を完遂して、後はのんびり景色を楽しめばいいんじゃないだろうか。


という、8割くらい、「もういっか」という気持ちになりながらも、どこかでまだ「山頂まで行きたい」という気持ちも捨てきれず、迷いを抱えたままぜえはあと登っていた。

1か月前と違い、山はもうだいぶ「春」だった。
真っ白な雪ではなく、なんか、あんま言っちゃいけないけど、土で薄汚れた感じ。
いや、それでも十分にきれいなんだけど。


雪の状態は、直近のレコでは、踏み抜きが多い、とあったので危惧していたけど、この日はそんなでもなかった。
今回は最初からアイゼン装着したけど、嵌るようなこともなく進むことができた。
息はめちゃめちゃきれる。荷物が肩に食い込む。でも、意外にもそこまでへろへろにはならない。

但し、小遠見山まで来てのこの景色に、うーん、と唸ってしまった。


…贅沢だってわかってるけど。。。
今後天気は下り坂なのに、今この景色で上に行く意味はあるのだろうか。。。

もう、泊まるだけでも十分なような気がしてきた。。。幸い八方側の視界は抜けている。
 

登頂しないなら、そんなに急いで先に行く必要もない。

と、かなり気持ちが固まってきた頃に中遠見直前ですれ違った人から、「テント泊?明日天気崩れるから気を付けてね」と言われて、思わずするっと、「ええ、もう朝から崩れるらしいので、今日は泊るだけで明日はもう下山します」と答えてしまって、それで心が決まった。

もう今回は山頂は諦めよう。

今日は初めての雪山テント泊を満喫し、明日は朝早くに下山しよう。
なんか、気のせいか頭も少し痛い気がするし。無理は禁物。

「すぐそこに跡地があったよ」と言われ、有難く誰かの跡地をリフォームさせて頂くことにした。


少し休んでお茶とレーズンロールを食べてから、設営開始。


跡地なので、少しリフォームするだけで済んだ。
ブロックを積み上げている向きも、今日の風向き予報と合ってる。

殆ど手を加えず、私がしたことといえば、もう少し横に深く掘って平にしたこと、入口に土間を設けたことくらいじゃなかろうか。

時々、心配して声をかけてくれる人達と喋ったり、雲の隙間から顔を出すかっこいい鹿島槍を見ながら、整地。

楽しい。

 

 

完成。


胸がいっぱい。いろんな意味で。


この景色を独り占めできる、というわくわく。
それと矛盾する、誰かもう一組くらいは来てくれると心強いんだけどな、という不安。


景色を楽しみつつ、雪を溶かして水を作る、というずっとやってみたかったこともやってみる。

テントを整地していた時の奥の方の青く見える雪を詰め込んでぼんやり溶けるのを待つ。

なんだこれ楽しい。


しかし、景色を楽しんでられたのは最初のうちで、しばらくすると頭痛がひどく吐き気を覚えるまでになってきた。
山登りの時の心の友、ロキソニンを摂取するも、吐き気は酷くなる一方。ほんとに吐くかと思った。

一時期は翌日無事に下山できるのか不安になるレベルで酷く、外を見る余裕もなかったけど、何とか作ったチーズリゾットを休み休み無理やり流し込んでしばらく横になっていたら少しましになってほっとした。

 

起き上がって、ただひたすら外を眺めたり、時々散歩してみたり。

 

 


やっぱり無理はやめよう。。。これはもう、明日は降りろという山の神様のお告げだろう。


だらだらとしているうちにようやく日が落ちてきた。

日焼け止めを落とし歯を磨いて、最後にもう一度景色見納めで、明かりの灯り始めた白馬方面を眺める。


19時、と寝るには少し早いけど、就寝することにした。

 

普通は完全に暗闇になるのを待って夜景を楽しむのかもしれない。

しかし私はそれをしない。

 

何故なら、この時点で見渡す限り遠見尾根には私一人。

(テン泊っぽい装備のご夫婦が登っていくのを見たけど、ここからは見えない)

 

つまり、めでたく1人ブレアウィッチプロジェクト体験が決定した訳で、そしてチキンハートの私がそれに耐えられるとは思えないので、まだ薄明るいうち(=怖くない)に寝て、暗闇をやり過ごし、明るくなってから(=怖くない)に起きる、という作戦で行くことにした。