先週末の目的地、権現岳とか白毛門とか色々迷ったけれども、結局、山の先輩に見せてもらった立山の紅葉の写真が素晴らし過ぎたのでとりあえず目的地は扇沢に設定することにした。
写真に触発されたのもあるけど、蓮華岳に登ってみたい、という気持ちもあった。
以前、憧れのまっつんさんの大好きな動画「蓮華岳丸石尾根」のことを書いたけど、1つ気になっていたのは私は蓮華岳方面に全く登ったことがないこと。何なら扇沢だって行ったことない。
このチキンハートオブチキンハートな私が、冬に扇沢ゲートからトンネルを幾つも(か一つかもわからない)くぐって扇沢駅にたどり着くことはできるんだろうか?
丸石尾根の取りつきなんて初めて行ってすぐにわかるんだろうか?
…せめて夏に行って少し蓮華岳周辺を歩いてみたい。
扇沢出発という意味では、まだ行ったことない鹿島槍も心惹かれたけど、どうせ鹿島槍に行くならキレットを2つ超えて白馬まで抜けてみたい。
それまでさよなら鹿島槍。
そして待ってて蓮華岳。
結構ハードだけど。
何故なら諸事情(天気、仕事)により日帰りで行かなきゃいけないので。。。
そしてどうせなら針ノ木岳にも行って黒部の湖をみたいけど、この扇沢―大沢小屋ー針ノ木小屋ー蓮華岳ー針ノ木小屋ー針ノ木岳ー大沢小屋ー扇沢のルート、山と高原地図だとコースタイム12時間、ていうね。
5時半について6時にスタートするとして、新宿行きの帰りのバスは16時10分だから、コースタイム12時間のところを10時間で帰ってこなきゃいけない。
レコを色々確認すると、余裕で2山巡って日帰りしている人もいる一方、1山を結構ゆっくりめに回っている人もいて、適当に見たレコのタイムをあてにすると酷い目に遭いそう。
先週、扇沢から針ノ木岳まで4時間で行ってる人達いるけど、私はこんなの絶対無理だ。
しかも最近の運動不足っぷりを考えるとちょっと余裕もってみといたほうがいい。
ああ、なんか、蘇る年初の赤岳ー横岳ー硫黄岳縦走の記憶。自分の歩く力を過信して全然コースタイム通りで歩けなかった。
…あれと同じことやろうとしてるんじゃないか。
せめて針ノ木か蓮華のどちらかにしておいたほうがいいだろうか。
それなら冬の下見という意味で蓮華かな。。。でも針ノ木から見る立山の景色は素晴らしいらしいし。。。そっちも捨てがたい。
私はやっぱり水のある山、水が見える山が好き。
無積雪期の北アルプスは2年ぶり。
紅葉の時期に来るのは初めてで、扇沢も勿論初めてなのでテンションがあがると同時に不安になる。
久しぶりの夜行バス、予想通りとは言え殆ど寝られず、5時半過ぎに扇沢に着いたときは席から立ちあがった途端ふらつくほど体調は底辺だった。
朝ごはんも無理やり押し込んだけど既に吐きそう。
という絶不調状態でスタート。

既に頭くらくらしてるんだけど、これ大丈夫なのかな。。。

天気はいいし、朝日に照らされた紅葉をみるとテンションはとても上がるんだけど。

まさかあの中央奥に見えるのが針ノ木岳かな?いやーまさかね。

人の気配はなく、大沢小屋まではこんなクマザサに囲まれた細道を抜ける所が多くてドキドキした。

熊鈴鳴らしてはいるけど。
気のせいじゃなく、なんか何度も獣の臭いがしたと思う。。。(帰りは全くしなかった)。
山葡萄など撮ってみて恐怖をごまかす。山葡萄おいしそー(熊怖い)。

苔きれー(熊怖い)。

現実逃避しつつ大沢小屋到着。

体調悪いとはいえ、一応ここまではコースタイムより少し早い1時間くらいで来られたことにちょっとほっとする。
ここまでが3㎞。ここからが4㎞。そんなに変わらないように見えるけど。。。

朝日に照らされた山肌がとてもきれい。
なんかやっぱあれが針ノ木岳なような気もするけど。。。いやーまさかね。

道中の殆どずっと沢の音が聞こえていて、この左の山肌も沢や滝が流れ落ちててきれいだった。

この滝とってもかっこいい。

これが大沢かなぁ。。。自信ない。

あ、まさかのあれが目的地だった。これ登るってまじか私。気遠くなりそう。

後ろを振り向くと谷間にガスが沸いててどんどん登ってきた。
あれがたぶん爺が岳かな。

そしてズームしたあれが種池山荘だろうか。

この気が遠くなるような雪渓を登ってさらにアップダウンのある稜線を歩いてあそこまで歩いて扇沢に降りる、いわゆる「針ノ木サーキット」と呼ばれるルートがあることを今回初めて知ったけど、これを日帰りで普通にやる人達がいることが信じられない。
この時点で既にばてばての自分には夢のまた夢。
雪渓は崩れて御覧のありさまなので、この時期は横の道を登っていく。

鎖場ありザレ場ありで足元は悪い。

だというのに頭はふらふらする。
登っているうちにましになるかな、と思ったけど、全く良くならず。
この頃からバテ度が激しくなり、ストックに縋るようにして登る中、何人もの若者(ストックもなく軽々とした足取り)に抜かされた。
まぁ、若者だもの、と思っていたけど、その後も普通に同じ年くらいの人に抜かされたりして心の中で歯がみする。

しかしまぁ考えれば当たり前なんだよね。
ランニングとか運動らしいこと日ごろ何にもしてないし、殆ど歩きもしない。。。。
食べ物だって自分の好きなものを好きに食べてる(先週は二晩続けて夕飯はじゃがりこだった)。
慢性的に睡眠不足。
そういう普段の行いの結果がこういうとこで出るわけですな。
登るにつれて苦しくなる。無駄に立ち止まって横の紅葉の写真など撮ってみるけど、これ、針ノ木峠にすらたどり着けないんじゃないだろうか、という気もしてきた。

少なくとも蓮華と針両方は無理。
さてどちらににしよう。。。
本来は蓮華岳が優先度高かったはずだけど。。。でも蓮華岳の方が遠い。
悩んでいたせいかあまりに疲れて注意力散漫になってたのか、間違った道に入り込みそうになった。
「踏み痕に注意」という看板を見た5秒後だったのに。

右が「踏み痕に注意」の看板。
私はそのまま登ってきてしまったけど、顔をあげてきちんと前を向いてたら沢を渡ったところにルートがあったのが見えたはず。

疲れて俯いてばかりだからこういうことになる。
やばいな。。。。これ大丈夫か私。
まさかあれが針ノ木岳とか言わないよね?あんなとこまで無理なんですが。

あ、あれがうわさの心折る九十九折りの階段。。。

近くて遠い針ノ木峠。
ザレるしガレルし既にへろへろが極まって足がもつれ気味。
帰り気をつけなきゃ。。。結構幅狭いザレた道とかあって行きで既にストック滑らせたりしてたから、帰りは危険。とぼんやり考えながら登る。
あまりに疲れたせいか、この辺りで脳内に何故かLimp BizkitのRollin'が流れ始めた。
ヘッドバングもしてないのに頭ぐらぐらする。。。
頭の中がrollin' rollin'。。。などと心底どうでもいいことを心の中で呟きながらのろのろと登る。
ようやく針の木小屋が見えてきたけど、もう疲れすぎて何にも感じない。。。

ちなみに大沢小屋は今季休業、針の木小屋も既に閉まっていてこのルートはトイレがないことは事前調査済で、今日は水分摂取を控え目にしてたのもふらふらの原因の一つかもしれない。
ようよう針の木峠にたどり着いて倒れ伏しそうになる。
時間もここまでで3時間半。バスの時間があるので5時間たったら引き返すと決めている。
2つ回る時間はたぶんない。というかここまでこんなにへろへろなのに2つは無理。
針の木か蓮華か。。。どうしよう。。。
本来の「蓮華岳丸石尾根の下見」という目的なら蓮華岳方面に向かうべきだ。。。
しかし蓮華岳のほうがやや遠い。
たぶん今のこの体力では無理。
あと、水が見たい。ダム湖と立山がみてみたい。
針ノ木岳の山頂に立てなくてもいいから。
と色々自分に言い訳を積み重ね、結局、針ノ木岳に行くことにした。
蓮華岳さよならまた会う日まで。

あー行くと決めたけどこの登り既に心折れそう。

へろへろが極まってたけど、テント場から見た槍ヶ岳に少し心癒される。

地図を取り出して山座同定する気力もなかったけど、ド素人の私にもわかる。あれが槍。

このテント場景色最高だな。
紅葉もきれい。
これはカメラを水中モードにして撮っているので赤が強くでている。実際の赤さはこの半分くらいだけどきれい。

七倉ダム。懐かしい。2年前かな。
ブナ立尾根から烏帽子岳を登って、あんまり景色が素晴らしかったので、初めて、日帰りじゃなくて山の上に泊まりたいと思った。
蓮華岳から七倉ダムもやってみたいなぁ。。。

などと現実逃避してたけどいよいよ苦しくなってこの後殆どカメラを取り出す余裕もなくなった。
九十九折を登っていたときもだけど、5歩歩いては休み、みたいな状態になる。
ここでもたくさんの人(といってもこの日針の木岳方面ですれ違った・追い抜かされたのは20人もいなかったと思う)に抜かされた。
少し前を私のようによろよろしながら5歩登っては休み、みたいな状態になっている若者がいて、申し訳ないけど勝手に親近感がわいた。
が、頂上と思しき最後の登りを目の前にしてついに心折れた。
足が震える。よろよろする。
ダム湖はまだ見えない。
あと一息のようだけど、ここまでで既に4時間45分。
引き返すタイムリミットの5時間まで後少しだし、何よりこれ以上登ったら体力的に帰りきちんと帰れるかわからなくなる。時間も心配。
…もうここでいいか、という気になって、傍の岩に腰を下ろしてyamapの地図を出してスクショする。
「ここまでは来たよ」記念に。

後ちょっとだけどもう無理。足が限界。ぷるぷるしてるし。全然進めないし。
もういいよ。
久しぶりにしては十分頑張った私。
これ以上は明日の仕事にも差し障るし。
ここまでで十分きれいだったし。
ここを今日の山頂としよう。
と思いながら画面を閉じようとした…けど、閉じられなかった。
…「ここを今日の山頂」にしていいんだろうか?
ここまで来て黒部を見ずに帰るのか?
黒部のダム湖が見たかったのにまだ見られてない。これが見たかったから蓮華を諦めてこっちに来たのに。
仕事をほっぽり出して苦手な夜行ではるばる扇沢まで来たのに、見たかったものを何一つ見られずに帰るのか。
嫌だ。。。
山頂に立てなくてもいいから、せめて色んなレコで見たあのダム湖と立山連峰を見たい。
5時間半で引き返せばぎり間に合うはず。。。最悪、新宿行のバスを逃しても長野行の高速バスは17時のがある。それには乗れるはず。
…さらに最悪の最悪でそれに乗れなかったとして、信濃大町までタクシー呼べばいい。1万円くらいで行けるはず。
ああ、きっと人はこうして未練と無理を積み重ねて遭難するんだ。。。
と絶望しつつ、せめて立山とダム湖が見たい、という気持ちで立ち上がった。
ひいひい言いながら、永遠に続きそうに見えた登り道を何とか這い上がって、ようやく山頂が見えたときは倒れそうになった。

…ああ、でも、諦めなくてよかった。。。
だってここまで来ないとこれが見られなかったから。



実際の色はもっと鮮やかだったけど、写真が下手過ぎてうまく記録できない。。。悲しい。
この水中モードで撮影した色と

通常モードで撮影した色の中間くらいの色が実際に近い気がする。

実物は100倍美しかったけど、全然うまく残せない。

座っていると全体が見られないので、バンビのように足をぷるぷるさせつつ、立って立山方面の絶景を眺める。
諦めないで来てよかった、と100回くらい思った。
針ノ木岳の頂上からの景色、ほんとに美しい。特にダム湖と立山と紅葉。
いつまでも眺めていたかったけど、既に時間は押してる。
出発から5時間半後にはさすがに帰路につかないとやばいと思ったので、座って昼ご飯のパンを押し込んで少し休憩。
5時間かけて登って滞在時間30分もなかったけど。。。
後ろ髪惹かれまくったけど、でも帰らなきゃいけないので、最後にもう一度山頂からの景色を目に焼き付けて回れ右した。
針ノ木サーキットかぁ。。。

サーキットいつかしてみたい気もするけど、ちょっともう体力的に無理かも。。。

蓮華岳も、また来たいけど。。。

帰りは谷にがっちりガスが降りててちょっと怯んでしまった。

が、下に降りるとそれほどでもなく。


時間が気になって焦るものの足がもつれて進まず、50回くらいふらついて20回くらいしりもちついて10人くらいに抜かされて、数えきれないくらい休憩した気がするけど、何とか14時には大沢小屋まで戻ってくることが出来て、ようやくほっとした。

ここからまだ3㎞もあるのかと思ってちょっとげんなりしたけど。

紅葉は綺麗だと思うものの、薄曇りのせいか、あんまりこのクマザサの細道を1人で歩きたくなかった(熊怖い)ので、帰りは途中の沢で靴を洗った後は車道を歩いた。
15時過ぎに扇沢駅に着。
今回yamapの地図を見ようとしたらどこかを押してしまったらしく、勝手に記録してくれていた。ある意味とても便利。


冬の蓮華岳の下見、という当初目的は全く達成されてないけど。。。
でももう針ノ木岳の山頂からの景色が素晴らしかったのでいいや、と変な達成感を覚えつつ、山行終了。
針ノ木岳からの景色、ほんと素晴らしかった。。。
私は雪渓が怖くて雪渓を登るなんてまっぴらごめん、と思っているチキンハートなんだけど、雪渓を登ればあの登りは少しは楽なのかな。。。また行ってみたいけど、あの登りはほんとしんどいし、かといって雪渓は怖いし。。。迷う。
帰りはせめて当初目的の一つである扇沢ゲートからの道を確認するつもりだったけど、バスに乗って10分もしないうちにすこーん、と寝てしまった。
ちょっと見た限り真っ暗なトンネル、というよりは片側が柱みたいな、完全な暗闇ではないトンネルが多いように見えたので、これなら1人でも冬歩けるかな。。。どうだろう。。。私が寝落ちた後に完全暗闇のトンネルばかりだったりするのかな。。。
冬の蓮華岳丸石尾根に行く前にもう一度夏場に来たほうがいいかもしれない。。。