一晩中風がすごくてなかなか眠れず、ようやくうとうとしたところで、目覚ましの音で起きた。
時刻は4時半。風は少しましになっているような気がした。
テントの中から見た夜明け前の山並みが素晴らしい。怖くてきれい。
ちなみにこの日の装備は、
・上はミレーのアミアミ+モンチュラのナントカマグリア+パタゴニアのR1+ゴアテックスのハードシェル+DASパーカ。
・下はモンベルのメリノウールのタイツ+モンチュラのエクスカリバー+ダウンパンツ+象足。
これに背中にカイロ張った上でスリーシーズンシュラフ。
寝入りばなは寒くて歯ががちがち鳴って失敗したかな、と思ったけど、カイロのおかげか眠くなるにつれて体温高くなってきたせいか、その後寒いと感じることはなかった。
(風がすごかったので、横のベンチレーションは2つとも閉じて天井だけ開けた)。
朝食の準備をしながら、このまま降りようか、それとも針ノ木岳まで行こうか悩む。
昨日はもう無理、と思ったけど、一晩寝たら少し元気になったし、風も思ったほど暴風というのでもない。
予報をみると、方角的におそらく針ノ木岳までは針ノ木岳が盾になるので、そこまで横風を食らい続けるということもないだろう。
コンディション的には行けそうだ。
そしてやっぱり私はあの、頂上から見た黒部湖と立山の雪バージョンが見てみたい。
行ってみよう、と決意して身支度してテント撤収。
6時には出発しようと思ってたけど、もたもたしてたら6時半になってしまった。
水晶岳のお兄さんに挨拶して出発。
もう1人のテント泊の男性は既にテント撤収していた。
針ノ木岳方面には姿が見えなかったので、蓮華岳に行ったのかな。。。
さて、いくか。

水晶岳のお兄さんが昨日夕日を見に行った際のものと思われるトレースがうっすら残っている所と、風で消えてしまっている所があるけど、ルートを迷うような所はない。基本稜線沿い、時々トラバース。
さよなら蓮華岳。。。今回もパスしてしまってごめん。。。来年こそは丸石尾根から登って頂上に立ちたい。

途中でテント跡があった。
1週間くらい前のレコで針ノ木岳と針ノ木峠の間にテントを設営したパーティがあったのは知ってて、どこで張ったんだろうと思ってたんだけど、ここかぁ。。。
すごいな。。。こんなところに設営できるんだ。絶景だろうな。。。

左手に七倉ダム(訂正:たぶん高瀬ダム)が見えるようになる。

そしてここまでは良かったんだけど、ここら辺からトラバース地獄で写真撮る余裕が殆どなくなった。
斜度はそこまで大したことないものの、滑り出したら止まらなさそうな斜度ではある。
そして足元は引き続きゆるふわ雪なので昨日と同じく、どすどすと上から踏んで古い雪にアイゼンを噛ませないと不安で仕方がない。
そして風も直撃しないとはいえ結構横から強く吹く場面もあるので、なんというか、平均台の上を歩くような感じでバランスをとりながら歩いた。
一度、左からの風にあおられて右のほうによろけて足を出したらそのままずるっと滑りそうになってひやりとした場面もあった。
ああ、こうやって事故って起きるのかもしれないな、などと思う。
この日この時ほど雪山教室で習ったトラバースの足さばきを意識したことはなかった。
山側の足は進行方向、谷川の足は下向き。ちゃんと面で接地するように。。。
昨日、テント泊の男性に、トラバースで人のトレースの上を踏むと崩れるから、同じところを踏まないほうがいい、と言われた言葉も頭に残っていたので、トラバースの部分はできるだけずらして山側の方を歩いた。
一歩一歩踏みしめながら歩く。
岩稜の基部ではツリーホールならぬロックホールが結構大きく口を開いていて、いっそう神経を使った。
これはトラバってきた岩稜の基部を振り返ったところ。

足はきちんと踏み込まないと右に滑り落ちる。
でも、左にピッケルさそうとしてもゆるふわの深い雪で刺さらない上に、あまりに左に傾き過ぎると↑の写真のような穴に落ちる。
こういう、ぎりぎりの所を通過する。

ぎりぎりが怖いのであればもうちょっと右下を行けばいいのかもしれないけど、トレースの下(谷側)に踏み込む勇気が出なかった。崩れそうで怖い。
神経使うトラバースの合間に、前爪使わないと登れない急角度のこういう登りもあって、瞬く間にへろへろになった。
ここでも頭の片隅で教室で習ったことを思い出す。
踏み込んだ足がずり下がるのは、つま先が上がっているから。つま先を下向きに、下向きに。。。

へろへろな中、足元の不安定な斜面の上にたって横風に押されながら写真を撮る元気があんまりなかったので、ここから肝心のトラバースの写真がないんだけど、頂上直前の一番大きなトラバースについては、ほんとはこの日出発まではトラバースせずに尾根伝いを登って行こうと思ってた。
何故なら、ここ最近のレコではトラバースの上にはっきりと4本のクラックが斜めに入っているのが見えていたので。。。
こんなクラックの下をトラバースするなんてマジで無理、と思ってた。
…が、あまりにもへろへろが極まってたが故に、この時、殆ど考えることなくトラバースを選択してしまった。
一応崩れないように前のトレースは避けて、などと思ってみたものの果たしてそれがどれだけ効果あったのかわからない。
崩れなかったのはただの奇跡で、間違ったルート選択をしてしまったのかもしれない。
本来は尾根伝いに行くべきだったのかもしれない。。。。
早く通り過ぎたいけど足元が不安定だから一歩一歩接地面を確かめてからじゃないと踏み込めないし、息切れするしで全然進まなかった。
このクラック下の大トラバースが一番神経を使った。全く写真なんか撮る余裕なかったけど。。。
ようやくわたり切って一息ついて振り返ったところ。。。だったはず。

山頂まだ見えないけど、もう疲れた。。。疲れ切った。
しかし到着はなんと、9時過ぎ。
コースタイム55分のところ、驚きの2時間半かかってて愕然とした。
どんだけヘタレなんだ私。
自分自身に対する憤りで憤死しそう。
ああ、でもきれいだなぁ。。。ほんときれいだ。

これが見たかった。紅葉バージョンもきれいだったけど残雪バージョンもほんとうにきれい。

風はよろけるくらい強かったけど、そんなこと全然気にならないくらい美しい景色だった。
この時山頂には誰もいなかったのでこの景色を独り占めできる喜びに浸りながらしばらく休憩した。
スバリ岳から続くサーキットの稜線。やっぱりいつか残雪期に歩いてみたい。






































