海と山、時々きもの -42ページ目

海と山、時々きもの

ダイビング記録+きもの試行錯誤の覚書。…だったはずなのに最近は山歩きの記録簿と化しつつある。
23年秋から山のない国に滞在中のため山歩き頻度は低下中。

一晩中風がすごくてなかなか眠れず、ようやくうとうとしたところで、目覚ましの音で起きた。
時刻は4時半。風は少しましになっているような気がした。
テントの中から見た夜明け前の山並みが素晴らしい。怖くてきれい。

 

あっという間に明るくなってゆく。

 

ちなみにこの日の装備は、

 

・上はミレーのアミアミ+モンチュラのナントカマグリア+パタゴニアのR1+ゴアテックスのハードシェル+DASパーカ。

・下はモンベルのメリノウールのタイツ+モンチュラのエクスカリバー+ダウンパンツ+象足。
これに背中にカイロ張った上でスリーシーズンシュラフ。
寝入りばなは寒くて歯ががちがち鳴って失敗したかな、と思ったけど、カイロのおかげか眠くなるにつれて体温高くなってきたせいか、その後寒いと感じることはなかった。
(風がすごかったので、横のベンチレーションは2つとも閉じて天井だけ開けた)。

朝食の準備をしながら、このまま降りようか、それとも針ノ木岳まで行こうか悩む。
昨日はもう無理、と思ったけど、一晩寝たら少し元気になったし、風も思ったほど暴風というのでもない。
予報をみると、方角的におそらく針ノ木岳までは針ノ木岳が盾になるので、そこまで横風を食らい続けるということもないだろう。
コンディション的には行けそうだ。
そしてやっぱり私はあの、頂上から見た黒部湖と立山の雪バージョンが見てみたい。

行ってみよう、と決意して身支度してテント撤収。
6時には出発しようと思ってたけど、もたもたしてたら6時半になってしまった。
水晶岳のお兄さんに挨拶して出発。
もう1人のテント泊の男性は既にテント撤収していた。

針ノ木岳方面には姿が見えなかったので、蓮華岳に行ったのかな。。。

さて、いくか。



水晶岳のお兄さんが昨日夕日を見に行った際のものと思われるトレースがうっすら残っている所と、風で消えてしまっている所があるけど、ルートを迷うような所はない。基本稜線沿い、時々トラバース。



振り返って蓮華岳。

さよなら蓮華岳。。。今回もパスしてしまってごめん。。。来年こそは丸石尾根から登って頂上に立ちたい。

 

途中でテント跡があった。
1週間くらい前のレコで針ノ木岳と針ノ木峠の間にテントを設営したパーティがあったのは知ってて、どこで張ったんだろうと思ってたんだけど、ここかぁ。。。

すごいな。。。こんなところに設営できるんだ。絶景だろうな。。。

 

左手に七倉ダム(訂正:たぶん高瀬ダム)が見えるようになる。


そしてここまでは良かったんだけど、ここら辺からトラバース地獄で写真撮る余裕が殆どなくなった。
斜度はそこまで大したことないものの、滑り出したら止まらなさそうな斜度ではある。

そして足元は引き続きゆるふわ雪なので昨日と同じく、どすどすと上から踏んで古い雪にアイゼンを噛ませないと不安で仕方がない。

そして風も直撃しないとはいえ結構横から強く吹く場面もあるので、なんというか、平均台の上を歩くような感じでバランスをとりながら歩いた。
一度、左からの風にあおられて右のほうによろけて足を出したらそのままずるっと滑りそうになってひやりとした場面もあった。
ああ、こうやって事故って起きるのかもしれないな、などと思う。

この日この時ほど雪山教室で習ったトラバースの足さばきを意識したことはなかった。
山側の足は進行方向、谷川の足は下向き。ちゃんと面で接地するように。。。

昨日、テント泊の男性に、トラバースで人のトレースの上を踏むと崩れるから、同じところを踏まないほうがいい、と言われた言葉も頭に残っていたので、トラバースの部分はできるだけずらして山側の方を歩いた。

一歩一歩踏みしめながら歩く。
岩稜の基部ではツリーホールならぬロックホールが結構大きく口を開いていて、いっそう神経を使った。
これはトラバってきた岩稜の基部を振り返ったところ。

 

足はきちんと踏み込まないと右に滑り落ちる。

でも、左にピッケルさそうとしてもゆるふわの深い雪で刺さらない上に、あまりに左に傾き過ぎると↑の写真のような穴に落ちる。


ピッケル刺そうとしても下が空洞、というトラップ。


こういう、ぎりぎりの所を通過する。

ぎりぎりが怖いのであればもうちょっと右下を行けばいいのかもしれないけど、トレースの下(谷側)に踏み込む勇気が出なかった。崩れそうで怖い。


神経使うトラバースの合間に、前爪使わないと登れない急角度のこういう登りもあって、瞬く間にへろへろになった。

ここでも頭の片隅で教室で習ったことを思い出す。

踏み込んだ足がずり下がるのは、つま先が上がっているから。つま先を下向きに、下向きに。。。


へろへろな中、足元の不安定な斜面の上にたって横風に押されながら写真を撮る元気があんまりなかったので、ここから肝心のトラバースの写真がないんだけど、頂上直前の一番大きなトラバースについては、ほんとはこの日出発まではトラバースせずに尾根伝いを登って行こうと思ってた。
何故なら、ここ最近のレコではトラバースの上にはっきりと4本のクラックが斜めに入っているのが見えていたので。。。
こんなクラックの下をトラバースするなんてマジで無理、と思ってた。

…が、あまりにもへろへろが極まってたが故に、この時、殆ど考えることなくトラバースを選択してしまった。
一応崩れないように前のトレースは避けて、などと思ってみたものの果たしてそれがどれだけ効果あったのかわからない。
崩れなかったのはただの奇跡で、間違ったルート選択をしてしまったのかもしれない。

本来は尾根伝いに行くべきだったのかもしれない。。。。

早く通り過ぎたいけど足元が不安定だから一歩一歩接地面を確かめてからじゃないと踏み込めないし、息切れするしで全然進まなかった。
このクラック下の大トラバースが一番神経を使った。全く写真なんか撮る余裕なかったけど。。。

ようやくわたり切って一息ついて振り返ったところ。。。だったはず。


山頂まだ見えないけど、もう疲れた。。。疲れ切った。

 

あれが頂上じゃなかったら泣く。


着いた。。。

 

しかし到着はなんと、9時過ぎ。

コースタイム55分のところ、驚きの2時間半かかってて愕然とした。
どんだけヘタレなんだ私。
自分自身に対する憤りで憤死しそう。

ああ、でもきれいだなぁ。。。ほんときれいだ。


これが見たかった。紅葉バージョンもきれいだったけど残雪バージョンもほんとうにきれい。


風はよろけるくらい強かったけど、そんなこと全然気にならないくらい美しい景色だった。
この時山頂には誰もいなかったのでこの景色を独り占めできる喜びに浸りながらしばらく休憩した。

 

スバリ岳から続くサーキットの稜線。やっぱりいつか残雪期に歩いてみたい。

Max3泊4日の予定だったところを1泊で降りてきてしまったので、残り1日くらいは日帰りでどこか行こうかなと思っていたけど、結局どこにも登らずにGWを終えようとしている。

 

下山翌日は疲れ果てて一歩も外に出る気力がなく、昨日は整体に行き、今日こそはどこかに、と思っていたけど結局諦めて家から一歩も出ない怠惰な一日を過ごしてしまった。

 

理由は2つあって、1つは疲労。

疲れすぎて未だに回復しない。

神経使う場面が多かったからか。。。なんだかいつもより疲れが後を引いている気がする。

 

もう1つは、肌荒れ。

テント泊の後は肌が荒れることが多いけど、人間40年も生きるとだいぶ心がふてぶてしくなるので今ではもう多少の肌荒れは気にならなくなった。

でも今回、そんな心臓に毛が生えたゴリラでもさすがにちょっと躊躇うレベルで肌が荒れた。

なので、しばらくは肌に負担かけることをしたくない。。。

 

恐らく原因は日焼けだと思う。

今回、下山時点で既におでこが赤くなるくらい日に焼けたので。。。

(もしかしたら疲れが回復しない原因も多少はこの日焼けのせいなのかもしれない)

 

1日目はいつもながらフェースカバーとサングラスという完全防備スタイルで登っていたものの、2日目、フェースカバーが行方不明になってしまい、さらにはマヤクボ沢を下っている途中で強風で帽子が飛ばされるというアクシデントに出会った(紐ついていたんだけど、後ろからの風に飛ばされてしまったので紐は無意味だった。。。)

 

フェースカバーの代わりとして仕方なくネックゲーターを利用したんだけど、フェースカバーと違って耳にかけるような紐がないのでずり下がってきてしまう。

結果、顔を守るものはサングラスだけ、という状態で長時間雪面を歩行することになった。

これがたぶんよくなかったんだろうなぁ。。。

 

日焼け止めだけでは山における肌へのダメージは防げない、ということを身をもって実感した。

 

普段は幅広の帽子にサングラスにフェースカバーに長袖にグローブ、というスタイルで山を登っている。

いつぞや登山道ですれ違った若者に「完全防備ですね」と鼻で笑われたけど、やっぱ重要だよ。。。

 

人にどう思われようとも、引き続きこの完全防備スタイルで登ろう、と心に誓った。

 

夜行バスはほぼ定刻通りの5時半過ぎに扇沢駅に到着した。

この時間から既に切符売り場に人が並び始めているのがすごい。
夜行バスではいつものことだけど殆ど寝られなかった。
ただこの日は最後尾の席で遠慮なく椅子を倒せたせいか、バスが広々としていたせいか、それほど体はしんどくなかった。

丸石尾根。
後からこの日丸石尾根を登った人のレコをみると、新しい熊の足跡があった、と書いてあった。
こわわわ。。。やはり1人で残雪の丸石尾根を登るのは考え直したほうがいいだろうか。。


身支度して6時過ぎ、夏道と同じ登山口からスタートする。

入口で登山相談所(?)のブースがあるのは直近のレコで知っていた。
登山届(控え)を確認されるかな、と思ってすぐ出せるところに入れてあったけど、オンラインで提出した、といったら特に見せるようにとも言われなかった。


優しそうな女性の相談員さんだったので、最近針ノ木サーキットをした人がいるか、と訊いてみたけど、きいたことない、とのこと。
結構険しい所もありますよ、天候が不安定で昨日は雪が降り、落雷もありましたよ、と微妙な表情をされた。
やっぱり無謀なのかな、と不安が増幅する。
突風もだけど逃げ場のない稜線で落雷は嫌だな。

天気予報では特に雷のマークも出ていなかったけど。。。

悶々としながらお礼を言ってスタートする。新雪の上に足跡がある。

人は既に入っているようだ。


時折車道を横切ったりしながら登山道を辿る。

 

天気が良くて素晴らしい。

 

これはフキノトウだよね。
帰りはなかった。
フキノトウをいっぱいに詰めた袋を持った観光客がいたのでハントされた様子。

これが服部文祥さんなら、山行中の食糧としてもいでいったのかもしれないな、とyoutubeのサバイバル登山シリーズに思いを馳せる。

しかし残念ながら私はふきのとうをどう食べればいいのかわからない。

サバイバル登山シリーズめちゃめちゃ憧れるんだけど、私みたいなのが真似したら速攻変な山菜とか毒キノコに当たって死ぬだろう。


数週間前のレコだと、蓮華岳丸石尾根に行くときにも使った橋を渡ってからずっと右岸(山に向かって左)を歩いて雪渓に入るのが多かったけど、ここ最近は夏道をしばらく辿った後に右岸へ渡っているレコが多い。
一応軌跡もダウンロードしてきていたけど、相談所の女性曰く、ずっと辿っていったら左(右岸)に渡る橋があるからわかりますよ、とのこと。

レンズの水滴で一部ぼけちゃってるけどこれが右岸に渡る橋。
踏み痕も明瞭だったので見逃すことはなかった。
(帰りは見逃しかけた)。

 

雪解け水がきれいだ。


なんか雪煙に見えるけどきっと気のせいだよね。雲だよね。

 

うん、雲だよこれは。

 

…決して強風に巻き上げられた雪煙ではないはずだ。


右岸をずっと辿っていくんだけど、ずっと斜面のトラバースで上から何か降ってこないかどきどきした。

せっかく持っていったんだからここら辺からヘルメット被ればよかったな。。。

逆にここでヘルメット使わなかったらもうもってても意味ない気がした。

雪渓に入る。
最下部は崩れていた。こわ。


いよいよ針ノ木大雪渓。
前も書いたけど私は雪渓が怖い。雪渓でシュルンドに落ちるのが怖い。
昔、針ノ木大雪渓で足元が崩れて下に落ちた、というブログを見たこともあって、ドキドキしていた。
今年、後輩ちゃんに借りた「いまだ下山せず!」を読んでからは、雪渓に落ちる恐怖に加えて雪崩の恐怖も加わったので、心臓はばっくばくだった。

 

しかし新雪の雪渓のこの美しさよ。。。

 


ひいこら言いながら雪渓を登る。
なんかこの辺りから早くもばて始めた。
例によって後ろを振り返って休み休み登る。
あれは(たぶん)爺ヶ岳。あそこまで行きたいけど。。。


相変わらずばてばてで、20人くらいに抜かされて悲しくなる。
皆殆ど軽装(そして殆どスキーヤー)だった。
私が重装備でよろよろ登っていく横を軽々登っていくスキーヤーさんの1人に「ダブルアックスでどこ登るんですか?」と半笑いで(被害妄想)訊かれた。

ほっといてよ。

 

鳴沢岳の下りでクライムダウンあるって書いてあったから保険で持ってきたんだよ。

もうサーキット7割諦めてるけど。

 

途中のこれ、クラックじゃなかろうか。。。こわ。



他の登山者が「今年はデブリが少ない」と言っていたけど、確かにこの日の朝の雪渓は滑らかだった。雪渓の後半でぽつぽつとこんな大きなデブリが転がってた程度。


これが針ノ木峠とマヤクボ沢の分岐。

針ノ木峠のほうに登っていく登山者が見える。
右の見えなくなってる所がマヤクボ沢。

 

こちらがマヤクボ沢に行く人々。

マヤクボ沢に行く登山者(+スキーヤー)の方が圧倒的に多かった。


分岐でアイゼンを付けて、この長い長い坂を登り始める。

 

ほんと長いわ。。。
そして結構急だった。
トレースあるものの、足が結構沈んでつらい。新雪は30㎝は積もってただろうか。

ほんと、5歩歩いては休憩、5歩歩いては休憩、と言う感じ。
休憩しながらマヤクボ沢を登っていくスキーヤーさん達を眺める。あっちもすごい傾斜だな。。。人がありんこのようだ。


2つ上の写真、登り詰めた先に見えるのがゴールではなくて、左に曲がった後にさらに傾斜が急になってこの先写真を撮る余裕がなくなった。
いつも体力温存のためにスリーオクロックで登るんだけど、とてもじゃないけど、それじゃ登れない。
何しろ足元の新雪が結構深めで、ちゃんと前爪を蹴り込んで古い雪に噛ませないと、足元が崩れる。
前の人のトレースはうっすらあるものの、斜面の上の方に行くにしたがって強風のせいですぐに埋まりつつあるので足元はもふもふの雪。
斜面に正対して、きちんと前爪けり込んだつもりでも、力入れるとずるっと滑ってひやりとすることが何度かあった。
ここで落ちたら障害物がないのでマヤクボ沢の分岐まできっと止まらない。死ぬことはないだろうけど雪崩を引き起こしそうでいやだ。

自分が雪崩に埋もれるのも嫌だけど他の人を巻き込んだらどうしようという恐怖が大きい。殺人者にはなりたくない。


すぐにばてて休憩したいんだけど斜面が急すぎて休憩する場所がない。
けり込んだ前爪を動かさないようにして、そのまま膝を沈めて雪に両手突っこんで息を整えてまた登り始める、ということを繰り返した。

そして針ノ木小屋前に直接登り上げようと思ってたけど、なぜかトレースは横に逸れてから最後トラバースするトレースになってる。
雪庇があるからだろうか。

ここら辺で体力の限界に近付きつつあったので直接登り上げたい気持ちはやまやまだったけど、下からはまだ登ってきている人達がいたし、私の素人判断で変な事をする勇気は出なかった。
(あとから登ってきたスキーヤーさんは直接登り上げるルートを取っていた様子)。

これが翌日、マヤクボ沢を下る時に撮った、針ノ木峠へのルート写真。
赤がこの3日の朝先行者や私が登ったルート。この後のスキーヤーさんはたぶんまっすぐ上(写真では右)の方に行った。
そして左の青のラインが雪崩の跡。3日の朝はなかったけど4日、下る時にはこの状態だった。

デブリは結構下まで落ちた様子。

 

この最後のトラバース(上の写真の赤い矢印2つ目)が結構長くてバテた。
強風で前の人のトレースはうっすらとしか残ってない。
1回踏み込んだだけじゃ足元はずるっと滑りそうになるので、何回かどすどすと上から踏み込んで足場が古い雪面にしっかり乗ったのを確認してから次の足を出す、ということを繰り返した。
これは結構疲れる。

怖いというよりは神経を使う。
私の後から登ってきていた同じテント泊装備の男性が、「トラバース難しいんじゃない?上に登ったほうがよくない?」と下から声をかけてくれたけど、大丈夫です、すみません、怖くて進めない訳ではなく、単純にばてて足が出ないんです。。。
こんなトラバースのど真ん中でじっとしていたくない。よくないのはわかってる。でもばてて足が進まない。

ようやく針ノ木小屋が見えた。

トラバースが終わって心底ほっとする。

ようやくここで写真や動画を撮る余裕がでてきた。

 

蓮華岳→登ってきた雪渓方面(爺ヶ岳方面)→針ノ木岳→槍ヶ岳方面。

 


しかしもう体力の限界。
レコを見ると6:04に扇沢を出発してここに着いたのが11時57分。
時間的には一応計画通りではあるけど、体力的には私のHPは既にゼロ。
登山届でこの日中に行くと書いていた蓮華岳は速攻諦めた。

そして同時に明日以降のサーキットも完全に諦めた。
 

ええ、どうせ私はヘタレです。

でももう1mmも登りたくない。もはや明日針ノ木岳に行くのすらどうしようかと思う程。
あと、この雪の状態で未知のルート行くのは怖い。

こんなトラバースだらけだったらどうするんだ。しかも明日強風予報なのに。



針ノ木小屋には先着1名。

雪渓で私を軽快に抜かしていったお兄さんで、装備が非常にプロっぽいなと思ったら数日前にブナ立尾根から登り水晶岳手前まで行ってきたとのこと。
そのルートってこの時期人いるのだろうか、と思って訊いたら、「3日間誰にも会いませんでした」とのこと。
「冬のブナ立尾根ってどんな状態なんですか?」と訊いたら「クライミングでした」と軽やかに笑っていた。

かーっ(謎の感嘆詞)

かっこいいな。痺れる恰好よさだわ。
そのルートをこの時期行こうと思えるのがすごいわ。

このお兄さんは明日は別の山に登るので針ノ木岳には登らない、という。
この後日帰りの登山者の人とも1人話をしたけど、その人も明日は蝶が岳に登るという。

世の中、スーパーマンだらけだな。

この日の針ノ木峠でのテント泊組は、お兄さんと私ともう一人の男性の3名。
このもう1人の男性とは雪渓で話をしたときに同じように針ノ木サーキットを考えていたことが判明してちょっと親近感がわいた。
私より10~15くらいは上に見えたけど(違ってたらすみません)、すごいなぁ。。。私は後10年たった時に、テント泊で残雪の針ノ木サーキットしようと思えるだろうか。そう思えるといいな。。。

秋も思ったけど針ノ木小屋からの眺め、ほんと素晴らしい。
中心よりちょっと右手にあるのが槍ヶ岳、ということは私にもわかる(=それ以外はよくわからない)。

今夜は強風予報なので、念のため雪壁を高めに作ってからテントを張った。

夕方にちょっとテントから出て針ノ木峠からサーキットのルートを眺める。

 

うん、無理。

体力もだけど、風も怖いし、後やっぱり雪の状態が怖い。
今日の最後の針ノ木峠手前の急登は結構疲れた。あの、踏み込んだ足がずるっと滑る感じ、神経が消耗する。
針ノ木岳より先の稜線上は結構雪無さそうにみえるし、今日のような急登はなさそうだけど。。。やめておこう。

遠目で見る分には緩く見えても近づくと結構急なこと多いしな。
例えばこれは針ノ木峠から蓮華岳方面を見上げた所で、こう見るとそこまで急には見えないけど、この日の午後、ここを降りてきていた2人組は、雪の斜面を途中までバックステップで降りてきていたから結構な角度なんだろう。


私がこの写真を撮ってテントに帰ろうとしたら水晶岳のお兄さんがアイゼンつけてピッケル持って登ってきた。

今から針ノ木岳に夕日を撮りに行くという。
ほんとすごいな。。。

 

私はもうこの日登る気力はなかったので、テントの中で水を作ったりおやつを食べたりごろごろとしていた。

でも満足だった。登ってくるときの景色も素晴らしかったし、現在進行形でテントの中からこの景色が見える。

最高。

 

この日は8時過ぎには就寝。

予報通り、夜中から風が強くなって自分史上最高にテントが荒ぶった。

飛びはしないだろう、と思ったけど、そうはいっても若干不安だったのと、テントがばたんばたん煽られてうるさいのとで、なかなか眠れなかった。

 

GWの目的地は色々迷ったけど、針ノ木岳のてっぺんから黒部湖と立山を見たいな、と思っていた。

秋にひいこら言いながらたどり着いた頂上から見た黒部湖と立山の素晴らしい景色が忘れられない。

あれの雪バージョンが見てみたい。

 

そして、3日から少なくとも7日までは天気がよさそうだ、と分かった時点で、どうせこれだけ晴天が続くのであれば、針ノ木サーキットをしてみたい、と思った。

あの絶景を眺めながら稜線を歩いてみたい。

以前書いたように涸沢からのダイレクトルンぜや燕から上高地に抜ける縦走もちょっと心惹かれたけど、やっぱり一番最初に心に浮かんだ雪の立山と黒部湖が見たい、と思った。それにこっちのほうが静かな山行が楽しめそうだ。

 

しかし、残雪期あるいは積雪期の針ノ木サーキットの記録、というのはなかなかない。

以前無謀にもちょっと興味を持って調べてみたんだけど、私が発見できた記録は1つだけ。

5年前の信州大学山岳部が蓮華岳丸石尾根から上がり針ノ木サーキットの末鹿島槍とその先の八峰キレットを超えて五竜に抜け遠見尾根を降りた、という超人記録だけだった。

 

これだと4日あればサーキットはできそうだ、と(今思えば身の程知らず過ぎて恥ずかしい)私は思った末に、針ノ木雪渓から上がり3泊4日で鹿島槍まで行って帰ってくる計画を立てた。

 

ほんとに恥だけど、自分の無謀さの記録として登山計画書に書いた計画を晒しておく。

 

【1日目:5月3日】 

6:00 扇沢 

12:00 針ノ木峠(針の木雪渓経由) 

12:30 針ノ木峠 

14:00 蓮華岳 

15:00 針ノ木峠ーテント泊 

 

【2日目:5月4日】 

5:30 針ノ木峠 

7:00 針ノ木岳 

8:30 スバリ岳 

10:30 赤沢岳 

11:00 赤沢岳 

12:30 鳴沢岳 

13:30 新越山荘ーテント泊 

 

【3日目:5月5日】 

5:30 新越山荘 

7:00 岩小屋沢岳 

8:30 種池山荘 

10:30 爺が岳中峰 

12:00 冷池山荘ーテント泊 

 

【4日目:5月6日】 

5:00 冷池山荘 

6:30 布引山 

7:30 鹿島槍南峰 

8:00 鹿島槍南峰 

10:00 冷池山荘 

11:00 冷池山荘 

16:00 柏原新道登山口

 

ほんと無謀だな、私。

 

一応、言い訳をすると、この前の蓮華岳の記録で「一日の総行動時間6時間半は限界」って書いた記憶は勿論自分の中にあり、できるだけその中に収めようとは努力した。

 

…2日目から早速収まってないけど。

 

いや、さらに言い訳をすると、稜線上のどこでテント泊できるかわからなかったので、2日目はとりあえず新越山荘までをめどにしただけで、信州大学のレコを読むと最悪スバリ岳を超えた辺りにテント泊できるスペースはありそうなので、ムリそうならそこでしよう、と思ってた。

 

蓮華岳丸石尾根は今回は諦めることにした。

登りたい気持ちもあったけど、GW前半のレコで針ノ木雪渓でクマの足跡を見た、というレコがあがっていてビビったのと、すごい勢いで融雪が進んでいるようなので、もし丸石尾根に万が一もう雪がなくて途中で「登れない」みたいなことになったら泣くに泣けない、と思ったので。

 

しかし計画を立てて提出したはものの、自分でもさすがに無謀、と自覚していたのか、日が経つにつれ不安でたまらなくなってきた。

 

現存するレコが信州大学山岳部の記録だけってどうなの?

山岳部ってだけでもエリート感あるのに、信州大学山岳部ってエリートofエリートなのでは?

私のようなアラフォー軟弱チキンが参照していい奴なのそれ?

無積雪期はあれだけある針ノ木サーキットの記録が積雪期に一つもないのは、それなりに理由があるんじゃないの。常人ではいけないルートなんじゃないの?

信州大学の記録を読むと、鳴沢岳の下りでクライムダウンするところがある、とあるもののほかにテクニカルに難しそうな所はなさそうだけど。。。それは「エリートにとっては」ってだけで常人には難しいところはいっぱいあるんじゃないの?

 

このルートはエスケープルートがない、というのも私の不安を増幅させた。

スバリ岳を超えてしまったら、爺ヶ岳南峰手前まで歩き続けるか、スバリ岳手前まで引き返すしかない。

(後日訂正:スバリ岳と赤沢岳の間にある屏風尾根も使える模様。リサーチ不足で情けない。。。)

 

その増幅した不安をさらに倍々にしたのが、4日の強風予報。

 

4日、針ノ木から稜線歩きするのにすんごい強風を横から受け続ける予報ってどうなのよ。。。

 

去年の硫黄岳みたいなことにならない?

硫黄岳はケルンがあったから良いけど、針ノ木からの稜線って風遮るものあるの??

しかもたぶん黒部側を歩くことになって扇沢側に逃げることはできなさそうなのに。

それよりなによりこの横風をもろに受けて歩くことはできるのだろうか。

根石岳の時のレコを見返すと、これと同じくらいの風速。

あの時まともに歩けなかったのに今回長時間歩けるのだろうか?

無積雪期の記録を読むと赤沢岳の手前は結構扇沢側に切れ落ちたところがあるらしい。

積雪期のルートはわからないけど、横風で飛ばされてはいさよなら、ってなったら洒落にならない。

歩けなくなったらテントを張って停滞するしかないんだけど、そもそもこの強風下で稜線上にテントを張れるのだろうか。

 

針ノ木の頂上付近からサーキットの稜線。

 

悶々とし過ぎて、1日は殆ど寝られなかった。

久しぶりに「楽しみ」より「不安」が上回った状態で2日の夜、扇沢行の夜行バスに乗った。

わかってはいたけどこれもほぼ寝られず、3日の朝、扇沢に着いたときには6割くらいはサーキットは諦めようという気持ちになっていた。

この前日に、確か北アルプスだったと思うけど、強風でテント場のテントが結構崩壊した、というツイートを見たのもチキンハートを震え上がらせた。

 

ほんとは針ノ木サーキットに挑戦してみたかったけど、体力の無さや2日目の強風や雪の状態を考えた結果、1泊2日で降りてきてしまった。

いつもながらバテすぎて蓮華は諦めたりとか、強風への耐性がないこととか、帰りのマヤクボ沢でプチ滑落してしまったりとか、反省点は色々あるけど、でも雪を被った立山と黒部湖が見られただけでもうだいぶ満足。