裏銀座を縦走しようとして断念した記録一日目。
一日目の朝、頼んでおいたお弁当をピックアップして5時に玄関を出てタクシーに乗る。
この時間だというのに山荘の人は起きていてお見送りしてくれた。有難い。
もう一人の宿泊客の人もすでに準備して玄関から出ていたけど、同じタクシーには乗らなかったので、湯股の方へ向かうのかな、と考える。
タクシーは私一人だったけど、タクシーの中から、高瀬ダムまで歩いている登山者が見えて吃驚した。
驚くくらいの俊足で、私より重そうな荷物だったのに、トンネルを出たところで追いつかれ、ちょっと会話した後は次の日野口五郎で一緒になるまで影も形も見えなかった。
4年ぶり?の高瀬ダム。
この吊り橋は覚えている。
この橋も何となく覚えている。
5時50分に登山口到着。予想通り、雪はない。
七倉山荘でyamapを立ち上げ忘れてしまい、ここでyamapを立ち上げようとしたらオフライン表示で立ち上げられず、ちょっと焦った。
自分が最近いかにyamap(の現在地表示)に依存しているかを思い知らされる。。。
まぁでも、おそらく下の方は迷うようなところはないだろうし、タクシーの運転手さん曰く途中の6番で電波入るらしいから、大丈夫か、と思い出発。
最初は雪の気配もない普通の山道を、川の音を聞きながら登る。
ここら辺もまだアイゼンなしで行ける。
ここを過ぎたあたりだと思うけど、8番のポイントで電波が入ってyamapを立ち上げることができてちょっとほっとする。
一応ここまではコースタイムからそこまで遅れず来られている。
できれば今日中に野口五郎小屋まで行きたいから頑張らなければ。。
この後2000m付近までは、基本的に地面は露出していたと思う。
途中、1800m付近と1900m付近で、たった2mくらいだけど、雪の斜面を横切るようなところがあった。
先行者の足跡をみるとアイゼンはつけていない様子。でも、下に引っかかるものがないから、足滑らせると結構な距離を落ちそう。
わたしは最初のポイントは雪の斜面の横の腐葉土を無理やり登って、2つ目のポイントは怖かったのでアイゼンをつけた(その後また外した)。
2000m付近で、雪の斜面をトラバースして登る(か登ってトラバースする)箇所が2つ出てきて、登ってる時は気づかなかったけど、帰りは結構な斜度だと思った(バックステップで降りた)。
トラバース。
急斜面。写真ではわからないけど結構な斜度。
こういうトラバースも私はアイゼンをつけないと怖い。
足もとも悪いし、ザックに枝が引っかかって引き戻されたりして、地味に体力を削られた。
雪の急斜面もだけど、枝に引っかかりまくるトラバースやら、どっちに行こうか迷う道やらが結構あって、がりがりに体力削られながら、ようやくちょっと視界が開けた地帯まで上がってきた。
たぶんこれが2208m付近の三角点な気がする。
結構登った気がするけど、稜線はまだまだ遠くて、あそこまで登るのかと思うとちょっとげっそりした。
近いようで遠い。。。
急斜面がつらくて、何度も横を見るふりをして休む。
つらいけど、これを見ると頑張ってここまで登ってよかった、と思う。
しんどいけど、4年前、あの向こう側に素晴らしい景色が広がっていたのを覚えているからな。。。その雪バージョンが見たい。
最後に結構な急斜面のトラバースを超え、ぜえはあしながらなんとか稜線到達。
登ってきた尾根を振り返る。ヘタレな私よ、よくやった。。。
12時に烏帽子小屋到着。
これが見たかった。
登ってくる途中で結構な量のお湯を消費してしまったので、休憩がてらここで山荘にもらったお弁当(巻きずし)の1/3を食べ、雪を溶かしてお湯を作っていたけど、ここで一つ、問題が発覚した。
ペグ、落とした。。。
ザックに外付けしてたsamayaのピラニアペグの袋がない。
今考えればつけ方が甘かったんだけど、どこかで落としてしまったらしい。
一瞬、焦ったけど、すぐに、まぁ大丈夫か、と思い直した。
雪がないところに張る場合を考えて金属ペグ2本を予備として持ってきていて、こっちは幸い別のところに入れていて無事だし、ペグ替わりの割りばし2膳も持ってきているし、ストックやピッケル、アイゼン、何でも活用できるだろう。。。
ペグには申し訳ないことをしたけど、これはまぁ何とかなる。。。
問題はこの先、どうするかだ。。。
昨日時点の今日(1日)の天気予報はこれ。
今はこんなに晴れているけど、今日は15時頃から雪が降り出し、夜中は風速は最大で18mになる。つまり結構な吹雪の予報。
ここから野口五郎小屋まではコースタイムで3時間弱。
15時になった瞬間吹雪になるわけではないから、途中で吹雪になる可能性は結構ある。
烏帽子ー野口五郎間は結構な強風地帯と聞く。
野口五郎小屋にテント場がないのは、風があまりにも強いからだ、と聞いた気もする。
そんな風が強いエリアで、もう駄目だ、と思ったときにテントを張れるような所があるのか、私はこの先に行ったことがないからそれがわからない。
張ったとしてこの風速でテントが大丈夫なのかもわからない。
安全を考えるならここでやめておいたほうがいい、と思ったけど、でも明日以降のことを考えるなら今日ちょっとでも進んでおきたい、とも思った。まだ13時前だし。
それに烏帽子小屋の避難小屋、密閉度高くて快適そうではあったけど、窓はない。
明日停滞するかもしれないことを考えると、窓のない部屋で一日じっとしているのは。。。。ちょっと無理かもしれない。
野口五郎の冬季小屋には窓があるのは淳つさんの動画で見て知っている。どうせ停滞するなら野口五郎の方がいい。。。
悶々と考えた末に、少しでも進みたい、という欲が勝った。
装備を整えて13時前、烏帽子小屋発。
1時間前はあんなに青空が見えていたのに、あっという間にこの天気。
少し登ったところで電波が入ったので天気予報を確認する。
18時帯の雪の量が結構増えてる(0.8cm→2cm)。
できれば16時には野口五郎に着きたい、と思うも、息切れして全然スピードが上がらない。
そして出発して10分もしないうちに雪がちらちらしてきた。
風は当たり前に強い。
引き返そうか、と何度か足が止まったけど、でもまだ視界は割と見えているし、ハードシェル着込んでいるので寒くはない。岩陰に隠れてカイロを貼ったり、テムレスを装着したり、やばいと思ったときに引き返してテントを張れそうな場所に目星をつけながらずるずると進んでいたけど、風雪が結構な量になってきてついに、(こりゃだめだな)、と思った。
想定が甘かった。天候の悪化が思ったより早い。
そして思ったよりも疲れている。
烏帽子小屋を出て1時間も経ってないけど、息が上がってダブルストックに頼っても全然進めない。
アイゼンつけての岩場歩きも不安定で何度かこけたりして(帰ったら結構な痣になってた)、体力が明らかに限界に近い。
そして、先ほどからちょっと(寒い)と感じ始めている。これは危険な気がする。
よし、今日はもうやめよう。
幸い、登山道脇によさげなハイマツ地帯があったので、ここを今日の宿場とすることにする。
烏帽子小屋まで引き返す気力はなかった。
たった少しとはいえ小屋前の最後の登り返しが面倒くさかったし、数十分とはいえちょっとでも登ってきたのに、明日また同じことをやるのはしんどい。。。
もし明日天候がさらに悪化する予報だったらこの時這ってでも烏帽子小屋に引き返したと思う。
でも予報では強い風雪は今晩だけだし、明日は風が強いとはいえ晴天予報だから、一晩耐えればなんとかなるだろう、と思った。
風速18m予報はやや心配ではある。
でもRadical1、私は君のこと信じてるから。。。
アルパイン用に開発されたテントなら、耐えてくれるよね。「ハードな使用に耐えうるテント」だもんね。
あんまりお金のこと言うのはよろしくないってわかってるけど、〇〇万ユキチの価値を今こそ見せてくれ、Radical1。
たぶん周りの地形的に雪庇ではない、と信じた場所を適当に整地。
グラウンドシートを敷いた上にRadical1を出してとりあえずは飛ばされないよう、中に重しがわりのザックを放り込んでから、ポールを通した。
テント本体に通せるペグはないので、割りばし2本を対角線上の2隅に突き刺す(でもあまり意味はなかったと思う)。
ガイライン4つのうち、1つはハイマツに固定した(ハイマツごめん)。
もう1つハイマツに固定したかったけど届かなかったので、ストックをハイマツ付近の雪に刺してそれに固定、残りの2つのうち1つは雪に刺したストックに固定(アイゼンの方が良かったかも)、もう1つはピッケルに巻いてピッケルを雪に埋めた。
一応、風を受ける面が最小になるような方向にテントを立てたつもりだけど果たしてどうなるかな、と思いながらテントの中に逃げ込む。
風雪を直接受けないだけで温かさと安心感が段違いで、どっと疲れた。
テントってほんと素晴らしい。。。
一息つこうと思って山荘のお茶請けのどら焼きを食べたけど、かじりついたまま気づいたら意識が飛んでいた。
相当疲れているんだな、と改めて思う。
テントを張っている最中は真っ白だったけど、少し経つと一瞬だけ烏帽子方面が見えた(でもこの後また真っ白になった)。
風と雪が入り込んでくるので、入り口のジッパーは最小限しか開けられなかった。
烏帽子小屋でお湯を作っておいて良かった。この狭い空間でバーナー使ってお湯を作るのは、一酸化炭素中毒が怖すぎる。
この日は他にすることもないので、寝袋の中でうとうとしたりネットを見たりしつつ(電波は入った)、テントに当たる風と雪の音を聞きながら過ごした。