最後の山行一日目、5時半頃に夜行バスで黒部ダム到着。
割と混んでいたけど幸い隣の席は空いていたので、細切れだけど3時間くらいは寝られたような気もする。
天気予報では晴れだけど、最初霧雨が降っててちょっと不安になった。が、切符売り場の順番待ちをしている間にだんだん晴れてくる。
この日はド平日だったので、始発は7時半。
でも5時半時点で結構人がいる。

ネットで切符を販売していることに前日気づいたけど、気づいた時点で販売期間(前日午後3時まで)を過ぎていたので、この日は仕方なく切符売り場に並んだ。
売り場に並んだのは私はたぶん3、4番目くらい(一番先頭の人は寝袋にくるまってた。いつ到着したんだろうか。。。)
ザックだけおいて場所を取ってから、お手洗いに行って身支度したり水飲み場でプラティパスに水を入れたり準備をする。
6時半過ぎに2階へのシャッターが上がって、上へあがっていく人達がいるのを羨ましく眺める。
複数名で来てたら、一人が1階の切符売り場(有人か券売機)に並んで残りが2階の改札に並ぶことができそう。
しかし一人だとそれが出来ない。
始発の黒部ダム行バスに乗れないと30分とはいえだいぶ予定が狂うので、乗れるかどうかちょっとはらはらした。
6時50分くらいだったと思うけどまず券売機の方が早くスタートし、その後少ししてから有人の販売窓口が開いた。
券売機だと往復切符しか買えない、とのことだったけど、とりあえず1秒でも早く2階の改札に並びたかったので、復路分を捨てる覚悟で券売機で切符を購入。
(冷静になって考えるとそのまま有人販売窓口に並んでもあんまり時間的に変わらなかった気はする)
7時30分発の切符を買えたことで、だいぶ気持ちが楽になった。
扇沢は何度か来たことあるけど、黒部ダム行のバスに乗るのは初めてでちょっとわくわくした。
見た目は普通のバスと変わらない。
つり革が猫耳に見えるのは私の幻覚かと思ったけど、後から考えるとたぶん、黒部ダムのマスコットキャラが猫(?)なのでそれかもしれない。
出発から15分程で黒部ダム駅に到着。
第一関門として、ここから黒部ダム方面に向かう大多数の人の流れに飲まれることなく、黒部川へ降りる道を見つけられるか、とどきどきしてたけど、割とちゃんと標識があったのでこの点は問題なかった。
しかも、真砂沢ロッジまでもうお手洗いないだろうと思って扇沢で3回くらいお手洗いいったけど、黒部川方面の出口付近にお手洗いがちゃんとあった。これは大変に有難い。
出口から出て振り返ったところ。
ド平日とはいえ三連休の前日で、黒部ダム行のバスは始発では人を収容しきれない程盛況だったのでこっち方面にいく人も多少はいるかと思ってたけど、どうやら私一人の様子。
熊鈴つけて日焼け止め塗りなおしながら頭の中で今日の行程をおさらいする。
内蔵助谷出合での分岐を見逃さなければ基本迷うようなところはないはず。
問題は数日前の塔ノ岳をバテて撤退したこの体力で、予定時間までに真砂沢ロッジにたどり着けるかどうか。。正直不安。
山と高原地図のコースタイムから判断して、予約したときに到着予定時間を聞かれて15時頃、と答えたんだけど、この前の塔ノ岳でのバテっぷりを考えるとちょっと自信なくなってきた。。。
ちなみに荷物はできるだけ軽量化するため、テントはsamayaのradical1、シュラフは省きシュラフカバーのみ、コッヘルやバーナーは置いてきた(これはたぶんほんとはよくない)。
ピッケルとアイゼンは迷ったけど怖くて省けなかった。結局行けなかったけど、北方稜線の核心部の雪の斜面を横切る時にこの2つがないと自分のようなチキンは怖い。
上の装備に行動食(マーガリン入りレーズンパン6個入りと、プロテインバー2本とおやつ)と水分2.5ℓ(ポカリ500ml、扇沢で汲んだ水2ℓ)を背負って8時頃、出発。
黒部川に到達するまではよく整備された坂道を下る。
天気は最高に良い。でもその分暑さが怖い。
黒部川に到達する直前で、小屋?の前に立ってる男性と出会う。制服的にたぶんダムの監視員さんだろうか?
数時間前に真砂沢ロッジ泊予定の人が1人通ったよ、と教えてもらう。
自分勝手なもので、人が多い所は嫌だ、と思う癖に、誰もいない山道で誰かが同じ方向を目指している、と聞くとちょっと安心したりもする。
黒部ダムからの放水、たぶん生まれて初めて生で見てちょっと感動した。
この辺りは水しぶきが舞ってて非常に涼しく、ここまでとここからしばらくは割と足取りも軽かった(過去形)ように思う。
川を超えてからも割と平坦な道が続いた。
途中、川の対岸がすごいことになってた。山が崩れたのかと思うような落石の量。
基本、とても整備してあって怖いところはないんだけど、途中、うわさに聞く下の廊下ってこんな感じかな、と思うようなところが一部にあって、そういうところは慎重に歩いた。
滑ったら、滑り方によっては無事では済まなそう。
めちゃめちゃきれいだけど。
ぽくぽく歩いているうちに、気づいたら道が二股っぽくなっているところがあって、Yamapで現在位置を確かめたら内蔵助谷出合に到達していた。
この分岐を左に行く。
で、ここまでは割と快調だったように記憶しているけど、ここから一気に急な登りになり、一瞬でばってばてになった。
最初は樹林帯の風のない登り坂をナイアガラ瀑布のような汗を垂らしながら登り(写真撮る余裕なし)、
しばらくして少し開けた沢の横をじりじり照らされながら華厳の滝のような汗を垂らしながら登った。
たぶん方角的にあれ超えていくんだろうけど、きれいなんだけど、絶望する。
樹林帯に入ると一気に風がなくなって水分が蒸発する。
きれいなんだけど、きれいだと思う余裕がどんどん失われていく。。。
割とへろんへろんになりながら、12時前だったと思うけど、内蔵助平、着。
標識には真砂岳方面に行けるような矢印があるけど、道があるようには見えなかった。
実際yamapの地図上には表示されてない。
でも、一応山と高原地図だと一般道があることになっている(ただし健脚者向きで、内蔵助山荘からこっち方面に下る場合は山荘に事前確認が必要らしい。)
標識の近くに、草刈りがま?を含めた荷物がデポしてあったので、たぶん近くの山荘の人が道を整備してくれているんだろうな、と思われた。
この少し手前に沢を渡る所があって、そこで念のため水を補給(この時点で水の残量残り1ℓ程度だったので、+1ℓ強、汲んだ)。
沢で水分補給がてらちょっと休憩したけど、どんどんつらくなっていく。
とりあえず暑い。そしてばてる。
しばらく枯沢を遡上する。
迷うようなところにはちゃんとピンクテープをつけてくれている。
歩いても、歩いても、石。
ようやく沢の終点を超えたものの、そこから登りが更にきつくなってちょっと涙がちょちょぎれそうになった。
暑い。ひたすら暑い。
本気でつらい。つらすぎて、悲しいことにこんな景色をみても「きれい」より先に「つらい」が来る。
そして「つらい」の後に来るのは、「こんなにばててこんなに遅くて私は果たして北方稜線に行けるのか」という不安。
つらいと不安を抱えながら、13:50頃、ようやくハシゴ谷乗越到着(表示がちょっとおかしいけどこれはハシゴ谷乗越)。
ここに来るまでに100回くらい休憩したと思う。
ログを見ると、内蔵助谷出合から一気にペースが落ちたのがわかる。
本来、内蔵助平からハシゴ谷乗越まではyamapのコースタイムだと1:15。それをこの日私は約2:30かかっている。
1時間15分で来なきゃいけないところを2時間半。
ハシゴ谷乗越で荷物を放り出して休憩しながら、悶々と悩んだ。
北方稜線、行きたい。これが最初で最後のチャンスかもしれないから。
(剱岳っぽいと思ったけど剱岳じゃなかったらすみません)
でもちょっと甘く考えすぎてたかもしれない。
暑いとか忙しいとかコロナとか言い訳せずに体力作りに励むべきだった。。。今のこのペースで3日目の北方稜線果たして何時間かかるだろう。
雷と雨にやられる前に剱岳を超えられるんだろうか。
というか既にふらふらで足元おぼつかなくなってるのに、3日目危険な岩場を歩けるのだろうか。
しばらく休憩した後に再スタートしたけど、自分の中でどんどん腰が引けて行っているのがわかった。
得意のはずの下りなのに足痛すぎて全然進まないし。。。
なんかどう見てもクマさんの落とし物があるし。。。
もういやだ、おうちに帰りたい。。。
でも最後のチャンスなのにこんなに簡単に棒にふっていいんだろうか。簡単に諦めすぎてやしないか。
明日は池ノ平小屋までだけなんだから明日休憩したら明後日頑張れるのでは。
でも3日目の天気予報が悪化する可能性だってあるんだよな。。。今の予報でさえ、雨と雷の前に剱岳を超えられるか自信ないのに雨と雷が早まったら、あるいは自分が予想以上に歩けなかったらもう詰むしかない。
というか真砂沢ロッジまだかな。。。もう足が全然進まない。
なんかもう、さっきからずっと下向いて歩いてるし、もはやカメラをあげる気力もない。
疲れた、明日どうしよう、というか3日目どうしよう、と悶々と考えながら歩いていたけど、真砂沢ロッジの手前で5歩歩いては休み、5歩歩いては休み、みたいになり、時計が到着予定時間を大幅にオーバーする15時40分を指しているのを見て、ついに心が決まった。
駄目だ、やめよう。
明日池ノ平小屋までは行けるだろう。
でも問題はそういうことじゃなくて、3日目、雨と雷予報というタイムリミットがある中、北方稜線を行けるのか、ということで、それは一日目のこのペースを考えるとどう考えても無謀な気がする。
というか雨と雷予報がなくても、今足がこんなにぷるぷるしている時点で無謀だと思う。
池ノ平小屋にはほんとに申し訳ない。でもキャンセルするしかない、と決心して真砂沢ロッジにチェックインした。