チキンのメンヒ登山記録③:楽しい登りの後、頂上付近で足が竦んで撤退する | 海と山、時々きもの

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ダイビング記録+きもの試行錯誤の覚書。…だったはずなのに最近は山歩きの記録簿と化しつつある。
23年秋から山のない国に滞在中のため山歩き頻度は低下中。

19日、朝6時47分のグリンデルワルト駅発の始発電車に乗ろうとしたら車両故障で動かない、という幸先悪いスタートを切る。
次の電車は7時11分発だという。

グリンデルワルトターミナル駅で乗り換えて7時15分発のケーブルカーに乗らなきゃ、と思っていたので大変焦り、結局ダッシュで徒歩で行ったけどその途中で代替バス(?)に抜かされたし、ついてみてわかったんだけどケーブルカーなので15分きっちりにつく必要はなかった。


無駄に体力を消耗し一人だけ汗だくになったけど、とりあえずなんとか予定通り始発の便でユングフラウ到着。

始発の電車に乗ると8時11分にユングフラウヨッホ駅に着く。
ユングフラウ駅で出口がわからなかったらどうしよう、と思ってたけど一応わかりやすかった(氷河方面の出口に出ればいい)。


出口を出たところ。

この時点で8時半過ぎくらいだったと思う。

 

 

記録を読んでると高度順応でゆっくりしてから登山開始する人もいるようだったけど、今日は午後から天気が悪化するからできるだけ早く出発したい。

準備してたらスタートが遅くなり、私は始発電車組の中で一番最後だった。
この日は同じ始発電車組の人が3,4組先行してただろうか。たぶんメンヒヒュッテに泊まったのだろうと思うパーティも2組くらいいた。

取りつきまでの緩やかな坂道すらすぐに息が切れだして、観光客のフランス人のおっちゃんに軽快に追い抜かされ、私大丈夫かな、という気持ちになる。


あれを登るんだなぁ。
わくわくする気持ちと不安が半々くらい。


もしリッジでミスってこっち側に落ちたらあのクレヴァスに吸い込まれて終了、と。


懸念点の一つだった取りつきは間違えようもなかった。準備している人が見える。



トレースも明瞭。


というか金属梯子が一般道から目視できる。

 

 

 

取りつきに向かって一般道から逸れながら、先行者の登り方をパクろうと姑息にじっと眺めていた。
金属梯子を登り終わったら1mくらい右手にあるクラックみたいな所を登るんだな。

頭の中で先行の人の登り方を繰り返しながらハシゴにたどりつき、ストックをしまった。

ちなみに開始からこの時点まで私はアイゼンをつけなかった。

氷河を歩くんだから本来はつけたほうがいいのかもしれない。

ただ私はアイゼンをつけるとすぐにばてるので、少しでも早く取りつきに辿り着いて登山を開始したかった。

金属ばしごを登り終わったところ。上の方にあるハシゴはロープが短い場合は下山時に懸垂下降支点として使えるのかもしれない(ここまで来たらハシゴを降りたほうが早いと個人的には思うけど)。


はしご登り終わり地点から1mくらい右に移動し岩を見上げる。

上に懸垂下降支点が見える。

ロープが長い(私は今回50mを持参)場合は、この懸垂下降支点から一気に地面まで下降できる。


先行のガイドパーティはさっきこの懸垂支点から左に行っていた気がしたので私もパクって左に行ってみる。

確かにうっすら道がある気がする。


ガレガレしている。



とりあえず歩きやすそうな所を見つけて登っていく。
この上の写真の中央からやや右上寄りに懸垂下降支点が1つ、さらにその上に銀色の気象計(?)が見えるので目的地は明瞭。

懸垂下降支点。

上から既に1パーティ下山してきている。たぶんメンヒヒュッテの宿泊者だろう。

下山者の右奥の方に気象計(?)が小さく見える。


気象計は思ったよりも遠くて、たどり着くまでに結構色々歩いた。

雪がある所はトレースを盗む。


岩場はよくわかんないけどとりあえず歩きやすそうなところを歩く。


トレースがわかりやすいところもある。


振り返ったところ。視界良いってほんと素晴らしいんだな、と下山時実感した。


こういう岩場はどう登るのかわからないので、とりあえず登れそうなところを自分なりに探しながら登る。
特にルートの目印のペイントが合ったりするわけではない。私が気づかなかっただけかもしれないけど。


ところどころで先行者の足跡を発見すると、ルート間違っていなさそうで安心する。


ようやく近くに見えてきた気象計。

ほんと意外に遠かった。


この気象計から先も、アイゼンをつけていない先行者が多かったけど、ビビりの私はここでアイゼンを装着し、ピッケルはザックから外して背中とザックの間に挟んだ。

振り返るとほんと素晴らしい景色。

 

 

岩登り、どうなるかと思ったけど今のところ楽しい。登ってる最中に写真を撮る余裕もあった(この頃は)。


ここら辺は私のようなクライミングセンスゼロの人間でも難しくなかった。


…と思ったけど、下山時に私が岩場から滑り落ちて米俵のように転がったのはたぶんこの辺りなので、あまり大きなことは言えない。。。


この岩場を過ぎるとちょっと雪エリアの分量が多くなってくる。


こういうリッジはまだ怖くはない。そこまで尖ってないし短いので。


この辺りも別に普通。


この辺りも怖くはない。
楽しい。あれがリッジ手前かな(そうであってくれ)とぜえはあしながら思う。


懸垂下降支点は色んな所にあって、ここでも上の方に1つ見える。


下りる人達を待つ。
ここは登るのは楽しそうだけど降りるのはちょい怖そう。


さらにもう一段登るとたぶんここで岩場が終了。


後は雪の急登。


ひいこら言いながら休み休み登る。
景色が最高だ。


ついにリッジ手前までたどり着いた。
私が遅すぎて一緒の電車で来た人達はこの時点で全員下りに入っていた。

 

 

これが見たかった。


最高過ぎる。

 

リッジは思ったよりも長い、というのが見た感想。
果たして行けるのだろうか。風は予報通り微風だけど。

リッジを進み始めて最初のうちは良かった。

何故ならまだ右手に壁というか雪面がある。雪庇だったら、とちょっと怖いけど。


ここら辺はまだよかった。

 

でもこの辺りから、あ、ちょっともう景色見られない、と思った。
両端がほんとに切れ落ちている。


左に落ちたらさっきのクレヴァスに吸い込まれておわり。

右も視界の端でしかとらえられないけど左以上に落下距離がある気がする。

あ、無理かも、と思いつつも何とか進んでいたけど、足が竦んで変に力が入ったのか、左足の指が攣り始めた。

やばい、指が攣り始めた。でも軽度だからまだ歩ける気はする。
ここまで来たんだから山頂まで行ってみたい。山頂はすぐそこにみえてる。


ただここから先山頂までも同じような尖ったリッジが続いている。
この先進んで足がどうしようもなく攣ったら?
途中で動けなくなったら?


迷ったのはほんの少しで、チキンな私はここで「うん、やめよう」となった。
もう私は十分頑張った。景色は最高だしもうここでいい。

引き返すためUターンしようと思ったけどUターンも怖すぎてしばらく立ちすくんでしまった。

しかしいつまでもこのリッジ上で棒立ちしてても何が変わるわけでもないので勇気を振り絞ってゆっくりゆっくり回れ右する。
たぶんすごいへっぴり腰で能のごとき振り向き速度だったと思う。

なんとか振り向きに成功し、足元以外何も見ないようにして引き返す。

しばらくして左側に雪面が出てきてようやくほっと一息ついた。


ここからは怖くない。

 

ここで携帯を取り出してYamapを眺めて、ほんとに後一歩だったんだなぁ。。。と思った。

でも私には無理だ。怖すぎる。

 

まぁここまででも十分楽しかったしきれいな景色を楽しめた。私にはこれで十分だ。

 


ようやくリッジの開始地点まで引き返してきて、長い鉄柱にセルフビレイを取ってようやく一息ついた。
ザックを下ろしてサーモスの山ボトルからお湯を飲んで休憩。

これはユングフラウ展望台とは反対側を見下ろしたところ。


こっちにも氷河をゆく豆粒のような人影が見える。


私が休憩を開始したころに一組ガイドパーティが上がってきた。
たぶん次の電車で来たんだと思うけど、この日私の後から登ってきたのはこのパーティだけだった。

最後尾のおじさんのザックがおんなじInstinct45で、お互い「このザック、最高だよね」とサムズアップ。


プロテインバーを齧りながらおじさん達を見送る。


今思えばそんな悠長なことをしてないでさっさと下山開始すべきだった。

ここからは地獄の下山だった。