八ヶ岳・執念の夏山日帰り縦走(青年小屋〜権現岳) | 単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

今回は小屋に用は無いのでとりあえず登り返しに備えて一息入れながらストレッチ。
休んでいると裸足の若者が登ってきたので気になって声を掛けてみると、すれ違う人々からの視線が痛いと笑いながら話していた。
本当、よく素足でここまで登ってきたものだ。
私も初心者の頃にユニクロのパーカーに安いテント等の舐め腐った装備で秋の金峰山を縦走したり、ろくに経験を積まずに残雪の山に挑んだりしたことがあるので、ふと昔の事を思い出した。
最近は超ディフェンシブな山行ばかりで挑戦心がすっかり失われてしまった私には、(本来ならあまり良いことでは無いけれど)その無茶ぶりがちょっと羨ましく感じられた。

小屋前のクロユリ。
前に来た7月末はクルマユリが咲いていた。
ここだけ局所的に生えているから小屋の人が育てているのかな。
擬宝珠へ登り返す途中、編笠山振り返る。
険しい山容の山々が多い南八ヶ岳の中では異質とも言えるほど丸みを帯びたなだらかな山容だ。
彼方には屏風のように連なる残雪の北アルプス。
何度も立ち止まって振り返ってしまうほど素晴らしいパノラマ。
前回は悪天の中の山行だったから尚更ね。
こちらは西側に派生した尾根上に位置する西岳。
名前そのままの何ら捻りも無いネーミングのその山は未だ未踏なので、そのうち訪れようと思う。
いつの間にか乗鞍岳もくっきり見える程に天気も回復。
予算オーバーの出費も十分元が取れたな!(←卑しい思考w)
いよいよ難所の擬宝珠が見えてきた。
辺りは一気に数百メートルは切れ落ちてる断崖絶壁なので、高所恐怖症の私はあの頂に立ったことが一度も無いっていう。(今回も安定のスルーです)
登り返し序盤はヤツガタケキスミレや
イワカガミがお出迎え。
高山の花のメニューは1週間で変わると言われているけれど、本当なんだなぁ。
そして岩礫地に入ると希少な高山植物のオンパレード。
以前もこの辺りは多様な高山植物が見られたので、期待していた通りだった。
イワベンケイ

ミヤマオダマキ

ミヤマキンバイ(?)
だって、黄色系のこれに似た花って多すぎるんですもの···

ツガザクラ
ハクサンイチゲ

ミヤマシオガマ
高嶺の花という言葉が良く合う一枚。
クモマナズナ

ミヤマキンバイ(?)とイワウメ
イワウメ

かくして、多種多様な可憐で美しい高山植物を堪能できた私。
今年は高山植物との出会いを諦めていただけに、思わず目頭が熱くなる。
あぁ、これで思い残す事なく逝けr・・・じゃなかった、夏山を終えることができる・・・。
花ばかりに囚われて、気がつけば先程までガスっていた南アルプスのパノラマも。
編笠山との鞍部に青い屋根の青年小屋を見下ろす。
背後には南アルプスと中央アルプスの眺望。
蓼科山や筑摩山地の霧ヶ峰や美ヶ原、北アルプスの遠景
鎖のトラバース
ヤバそうに見えて実はそうでもないやつ。
トラバースを越えていよいよ権現岳の山頂と権現小屋が見えてきた。
前回ガスと降雨の中縦走した主稜線が今日は良く見える。
正直結構怖い思いをしたけれど、機会があればまた縦走したいなぁ。
そしていよいよ権現岳の頂へ。
と、その前に怖いと有名な源治梯子。
こうして見ると(実際はそこまでなのだが)おっかない。

分岐に立つと八ヶ岳の主要な山々の眺望。
阿弥陀岳と赤岳の間には横岳と硫黄岳、左最奥には蓼科山。
そしてこれまで稜線に阻まれ見えなかった北東の上信国境の山々や
東側甲武信ヶ岳や金峰山、瑞牆山など奥秩父の山並み。
普段から地味な甲武信ヶ岳はさておき、瑞牆山の特徴的な岩峰も背後の山に溶け込んであまり目立たない。
登ってきた道を振り返る
12:39権現岳に到達。