南アルプス・ぶっつけ本番!南ア南部テン泊縦走(1日目:横窪沢小屋〜茶臼小屋) | 単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。


緑に囲まれて快適そうな横窪沢小屋のテン場

小屋の脇の細い水を汲んで一息ついたらいざ出発。
本日の目的地、茶臼小屋までもう少しの筈なのに地味にコースタイムが長い気が。
急坂は終えた筈だから、後は優しい道···だよな?
残念ながら、期待とは裏腹にその後も急坂続きでした。
しかも、私の中では既に2,000mを越えていた筈なので、これを見て絶望。
あんなに頑張ったのに、ま、まさかの1,700m?
高い意気を維持して来たのに、一気に消沈。
心が折れると足取りに加えてザックも急に重く感じるのだから不思議。
急坂を牛歩の進みで体力をセーブしながら登り、漸く樺段。
やっと終わりが見えてきた。
急坂を終えトラバースの道へ。
すると突然視界が開けて開放的な景色が広がった。
足元にはハクサンフウロ等の花々がちらほらと出てきて高山の趣き。
花々が点在する斜面と景色を遮る不穏な暗雲。
茶臼小屋が見えてくると俄に花の種類も増え、ミヤマコゴメグサ等の多種多様な高山植物がお出迎え。
イワオトギリ
コバノイチヤクソウ
マルバダケブキ
ハクサンフウロ
トリカブトの何か
シシウド
イブキトラノオ
ヤマハハコ
ミヤマアキノキリンソウ
ミヤマミミナグサ
タカネマツムシソウ

茶臼小屋に着いたのは出発から約6時間半後の12:53だった。
早速テン場の受け付けをしたところ、東海フォレスト系列とは異なり事前予約制。
同じ山域にあって別系列の小屋が混在していて、しかも各々規約が異なるところが大変煩わしい。
今回は空きがあるので特別に許可を頂きました。
ガスがみるみる濃くなるうちにテントを設営。
硬くて少し痛いけど、水害を回避するために板の上に陣取ることにした。
この判断が後に天国と地獄を分けることに・・・
雲間に見ゆる大井川の深い谷間。
一瞬登ってきた方面の景色が見えたかと思えば、直後に増々暗雲が立ち込めて、設営から20分もしないうちに雨が降ってきた。
そして瞬く間にフライシートに打ち付ける音が大きくなり、雷鳴を伴う土砂降りの雨に。
この時季の高山の午後はこんなものと大して気に留めなかったものの、何時まで経っても落ち着く気配が無く、長時間強雨に晒されたお陰でフライシートを透過してテント本体も濡れ始める始末。
隣のカップルからは床が浸水したと悲鳴が上がる程で、ここまで強雨が断続的に続くとは予想していなかったが板の上に設営したのは良い判断だったと思えた。
山の朝と夜は早いので、15時にして早めの夕食。
今回は必携のセブン&アイの味噌汁と優秀な行動食のシリアルに加えて今回は長丁場なのでレトルトカレーや主食兼カレーを拭くためのパンなどマンネリ化しないように様々な味覚のものを持参した。
17時頃に漸く雨は小康状態になり、18時前になってやっとテントを叩く雨音は遠ざかった。
本当は空身で茶臼岳をピストンするつもりだったけど、時間が時間なので諦めよう。
ファスナーを開けて外の様子を窺うと笊ヶ岳や布引山、青薙山とその背後に富士山の眺望が広がった。
真っ白だったガスの向こうにはこんな素敵な景色が広がっていたんだ。
この日初めてお隣さんと顔を合わせて挨拶を交わす。
テントに溜まった雨水をタオルに浸しては外で絞るを繰り返し、排水作業が大変そうだった。
日が翳った高山は既に肌寒く、夜トイレに起きるのも億劫なので、トイレを済ませて歯を磨いた後は早々にシュラフに包まった。