奥多摩・意気消沈のネガティブ登山(大岳鍾乳洞入口BS〜大岳山〜古里駅) | 単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

職場でコロナクラスターが発生し、ハードな連勤を強いられている中での8月23日の単休。
ほとほと疲れていたので家で過ごすことを考えていたが、前回の山行から間もなく2週間が経とうとしていたため、今一やる気は起きなかったけど低予算で行ける山を条件にトレーニング目的で山行を計画。
低予算で行ける近場の山は大方登っているのでこれと言って登りたいと思える山はなく、ただ単に未踏のコースを辿るという消極的な考えで奥多摩の大岳山に登ることにした。

やはりと言うか、朝から身体が重かった。
一度目のアラームであまりに怠さと眠気が酷かったので、山なんて止めて寝ることにした。
二度目のアラームが鳴るまでに、眠いながらも頭の中では酷く葛藤していて、不安定な天気が続く中での貴重な晴れ間を無為に過ごして良いのか自問を続けていた。
職場で猛威を振るうコロナを前に、いつ休日出勤になるか分からないこともあったから尚更だった。
結局、自らに発破をかけ重い身体を起こし、シリアルの簡単な朝食を摂って始発に間に合うよう駅へと向かった。
有り難いことにダイヤ改正のお陰でスムーズに武蔵五日市駅へと乗り継ぐことができ、始発の7:08発の上養沢行きに間に合うようになった。
30分程で大岳鍾乳洞入口バス停に到着。
二人の男性ハイカーと共にバス停へと降り立った。
神社の裏手からは奥多摩の実線コースとは思えない細い道の急登が始まる。
途中で先行していた男性二人に追いつきどこを目指すのか訊かれたので、正直に大岳山経由で馬頭狩尾根を縦走する旨を伝えた。
この時はたかが低山の縦走だし何とかなるだろうと思っていたからだ。
二人組と別れた後もイマイチ調子が上がらず、蒸し暑さも相俟って、まだ1キロも歩いていないというのに既に異常なまでの発汗に怠さを覚えつつあった。
サルギ尾根一つ目のコブには大名子の頭の手製看板。
まだ最序盤だというのに体調が思わしくなく、最悪の気分。
怠いし、気分も優れないからせっかく山に来たのに全く楽しくない。
しかも、微妙に眠くて頭に靄がかかってる感じ。
写真を撮ったり足を止めて辺りを観察する意欲も殆ど湧かない。
流石に交通費とここに来るまでの労力を支払ったのだから、最低でも大岳山くらいは登っておきたい。
今の自分にはコストの元を取るという、山登りの楽しさをすっかり度外視したくだらない考えだけだった。
高岩山(920m)到達。

ボーリングのピンのような見た目と巨大さのシロオニタケ。
夏の終わりを感じさせるホトトギス。
他にも小さな花やキノコを見掛けたけど、早く登って帰りたい一心で気分が上がらずほぼほぼスルー。
未踏の多摩百山の上高岩山(1,012m)到着。
この時点で担いできた水分の1/3程を消費。
調子が良いときは全行程でも半分程しか飲まないのに、半分未満の行程で既に残り2/3。
補水量は謂わばその日のコンディションのバロメーター。
いかに今日の体調が酷いのかが分かる。
展望台からは···ガスっていて何も見えませんでした。
まるで今の自分の内面を反映しているような光景。
岩の門を通り過ぎ、間もなくすると御岳山方面からのメインコースと合流。
普段なら恐ろしく混み合うコースの筈が、途中一人、二人出会ったくらいで予想外の空きよう。
普段からこの程度なら年に1回くらいは通っても良いんだけど···。
モミジハグマ
霧が立ち込める幻想的な雰囲気の登山道。
予報に反してガスってはいるけど、これが却って良かったのかも。
日が差して更に蒸し暑かったら途中リタイアしていたんじゃないかと思うほど、今回はダメダメのヘロヘロだった。
大岳神社奥宮の鳥居を過ぎれば山頂までもうひと踏ん張り。
10:23大岳山(1,266m)到達。
去年 や一昨日 に続いて 5回目の登頂だ。
まさかの山頂貸し切り。
日中はどのタイミングに訪れても誰かしら人が居るので、かなりレアな光景?
今更気付いたことだけど、山頂には栗の木が数本。
青い栗の結実もまた間もなく訪れる秋の到来を感じさせる。
薄い日差しの中でバスキングするニホントカゲ

好展望の頂は予報に反してガスガスだけど、山梨県の権現山辺りまでは何とか望むことができた。
とりあえず、滅法疲れたので座るのに丁度良い岩に腰掛け早めのお昼休憩。
後から続々と人がやって来て、結局いつもの賑やかな大岳山になるのだった。
背後で激しい羽音が聴こえたかと思うと、まさにシオヤアブがトンボを襲っているところだった。
トンボの方も激しく翅をバタつかせ逃げるのに必死。
私も景色や周囲の人そっちのけで両者の戦いを固唾を呑んで見守った。
しっかりと首元に口吻を刺し込み勝負ありの様相。
シオヤアブが実は昆虫界の実力者だという事を耳にしてはいたけど、実戦を観て納得。
身体が重く塞ぎ込んでいた私も、目の前で繰り広げられた迫真の死闘に気分が高揚。
このまま気分は上向くか?

人が混み合ってきたところで、山頂を出発。
十分に休息をとったので、体調の回復を期待していたが、依然として身体が重く、山頂直下の岩場を下る動きは鈍重そのもの。
無理をすると気分不快も再び込み上げてきそうな感じだったので、大岳神社に戻ったところで起伏の多い馬頭刈尾根への縦走は諦めて楽な御岳山へと向かうことにした。
鍋割山の尾根道やロックガーデンを経由することなく、つまらないけど最短且つ水平道が続く植林のトラバース道をひたすら無心で歩いた。
途中で前方を歩く年配の男性の二人組に「あれ?どうしたの?」と声を掛けられた。
往路のバスで一緒で途中追い抜いた時に言葉を交わしたあの二人組だった。
大言壮語のつもりはなく正直に話したつもりだったが、それを諦め楽なコースでエスケープしているところでバッタリ再会したものだから、少し恥ずかしい気持ちになった。
御岳神社に到達。
丁度レンゲショウマ祭りなるものが催されていたようだが、疲れと怠さで絶賛意気消沈中で全てに関心が向かなかったので早足で悉くスルー。
ケーブルカーを使いたいところだったが、満足度がかなり低い今回の山行に更に費用をかけて傷口を広げたくなかったので、(費用的にも満足度的にも)せめてもの足しにと未踏の丹三郎尾根で直接古里駅を目指すことにした。
12:19多摩百山の一座の大塚山(920m)初登頂。
これで本日二座目。わーい(棒)
やたら目を引くオレンジ色のキノコを発見。
名をハナガサイグチというらしい。
前にも調べた気がするけど全然覚えられてない···
嗚呼、やっと人里に辿り着いたよ。
防獣柵を抜けて御岳山登山口に到着。
午前中の曇天とは対照的な身を焦がすような日照りの中、古里駅へと向かう。
13:29古里駅に到着。
幸いにも近くにセブンがあったので、アイスを食べながら電車を待った。
トレーニングを兼ねて山にリフレッシュしに行ったつもりが終始不調で精神的にもネガティブな山行に。
こんなんで良かったのかと自問したくなるような、情けなく、面白みの少ない山行だった。

8月23日 30,850歩
大岳鍾乳洞入口BS7:42→上高岩山9:27→→大岳山10:23→御岳神社11:55→大塚山12:19→古里駅13時29分