3月29日、退院後最初の山登りは栃木県南部の足尾山地南端に位置する大平アルプスと三毳山へ。
大平山は所謂ご当地アルプスの一つで、標高400m前後の低い峰々がコンパクトに纏まった、気軽に縦走を楽しめる山域だ。
この山を知るきっかけは去る4年前 の山行の高速バスで帰路に就く途次でのことだった。
間もなく休憩の佐野SAに到着する車内アナウンスが流れた頃、車窓から岩肌剥き出しの一際異様な山がほんの数秒目に入った。
即座にグーグルマップでその気になる山を特定すると名前を岩船山と言い、霊場として有名らしい。
更に掘り下げると周囲の峰々と併せて大平アルプスとして登山道が整備されていることを知り、これらの山々を縦走してあの奇妙な形の気になる山を自分の足と目で実際に確かめたいと思っていた。
あの偶然車窓から目に入った岩船山こそが大平アルプスを知るきっかけだった。
大平アルプスと地理的に近い三毳山、標高の低いこれらの山々を予てから狙っていたカタクリと苺の時季に合わせて、リハビリを兼ねて訪れることにした。
北関東の低山は日帰り可能な山として予てから新規開拓を狙ってはいたのだけど、首都圏を縦断する都合上、座席に座れない可能性や面倒な乗り換えの多さを懸念して、中々足が向かないでいた。
それが実際はどうだろう?始発の東海道線は東京駅までは混雑しているものの、以降は座席も空くし、東北本線も上野駅が始発駅でしかも同じホームだから確実に座席にも座れる。
あとは長い長い道程を栃木まで居眠りするだけだ。
小山駅から初めて乗る両毛線への乗り換えはホームが離れていて少々億劫ではあったけど、懸念していたこと全てが杞憂に終わり終始スムーズな移動だった。
朝の両毛線の車窓より、今回歩いた山々の全景。
左から三毳山(中岳、青竜ヶ岳)、岩船山、馬不入山、晃石山、大平山。
7:50大平山最寄りの大平下駅に到着。
当然事前に調べてはいたものの、北関東ってこんなにも早く着けるのだと改めてビックリ。
交通費も時間も県内の西丹沢の方がかかるじゃねーか!と心の中で叫ばずにはいられなかった。
こじんまりとした駅前だけど、遠くない距離に大型のカインズホームや複合商業施設があったりして案外便利そうな町だ。
さて、久し振りの山歩きなので入念にストレッチしてから行くとしよう。
駅前の周辺観光案内
駅前から登山口まで、要所に道標が整備されている親切仕様。
踏切を渡った直後に遮断器が下りたので、ついでに両毛線の車輌を初めて乗った記念に撮っておこう。
道標に導かれ登山口に到着。
途中にファミマもあったので、忙しい山登りの早朝に地元駅で物資を買いそびれても安心だ。
私がケツの手術の入院で安静している間に山は既に春の装い。
足元には可憐なスミレが至るところに顔を出している。
今春は出遅れた分いつも以上に山に精勤しないと。
舗装された道が続き少し先まで久し振りの土を踏む感触はお預け。
とは言え里山と言えども、山の空気は実に気持ち良い。
正面に望む高まりが恐らく大平アルプスの最高峰の晃石山だろう。
高低差はあまり無いとは言え、結構遠そうだ。
広大な平野と筑波連山
北関東に来ただけあって、普段丹沢などから都市部の遥か遠くに浮かんで見える筑波山が間近に見える。
観光地化された山なのであまり登高欲はそそられないけど、端正な双耳峰に平野に大きく構えたその堂々とした山容はまさしく百名山の貫禄だ。
暫く登山道を歩いていくと食事処の脇に出て車道に合流した。
更に先へ進むと大きな駐車場に軒を連ねるお土産屋や食事処・・・。
事前に調べると楽しみが半減してしまうので殆ど下調べせずに訪れた訳だけど、めっちゃ観光地じゃん。
生憎の曇天。
晴れていれば恐らく奥多摩や秩父を始めとした関東山地の山々の遠景が広がっていたのだろう。
多数植えられてる桜は咲き始め。
見頃を迎えると多くの花見客で賑わうのだろう。
実際のところ、関係者の方々がせっせと花見用のテーブル等を準備していた。
岩船山に重なる三毳山。
一番奥の商店の脇から階段を登っていくと天狗の投石と書かれた看板と鳥居があって最初は気にも留めていなかったのだけど、鳥居を潜るに及んで合点がいった。
鳥居の上に沢山の石が積まれていて、この投げ置かれた石が恐らく天狗の投石なのだろうと。
だから何だという話だが···
道なりに進むと立派な神社に着いた。
後に調べると大平山神社といって、かなり有名な神社のよう。
道理で道標などの整備やお土産、食事処が充実している訳だ。
大平山神社の広い境内と立派な社殿
時間が早いからか、参拝者は疎らだった。