冬期奥多摩天目山ピストン(一杯水避難小屋~天目山山頂~帰路) | 単独行者の山行録

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歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

避難小屋に一泊してそのまま帰るのでは前回と同じ轍を踏むのも同然なので、行けるところまで行ってみることにする。
一杯水避難小屋からは山頂を通らずに酉谷山方面へ向かう巻き道、山頂を通って酉谷山方面へ向かう道、川苔山方面へ向かう道の三方向へ分岐しているが、山頂ルート以外はトレースが一切無いため山頂方向へ。
避難小屋の直ぐ裏手の登りをトレースを頼りにひたすら登っていく。
陽光を受けて輝く霧氷に覆われた林内を楽しみながら。
ピークに達し、三角点があったがどうやら少し前方に見える頂が天目山のようで、更に足を進める。
トレースもあり、大した距離ではないが、深いところで40cm程ある深雪に足をとられることが多く、中々辛いものがある。
一度下り、少し進んで再び登ると漸く頂が見えてきた。


天目山の山頂直下より

そして漸く7:34、天目山(1,576m)に到達。


山頂の標識


来た道(南方)を望む。

西に奥多摩の山々




厳冬期ゆえ大変な山行でしたが、この時期だからこそ見ることが出来る霧氷の芸術的な絶景を堪能することができ大満足です。
暫し留まり、前進か撤退か思案。
時間が十分あるので、巻き道との合流点まで進むことに。
しかし、山頂より先にトレースは無く、目印のピンクリボンも無い。
西の傾斜の先にピンクリボンを確認し、深雪をラッセルしながら進むも、どうやら林業用のものらしく登山道とは程遠いものだった。
仕方無く山頂まで登り直し、北方の緩やかな尾根を進むことに。
方角さえ確認、万が一迷っても踏み跡を戻れば大丈夫だろうと考え、尾根沿いに進む。
だが、一歩進む毎につぼ足となる雪道は本当にしんどい。
こりゃあワカンが無いとワカンわな。(笑)
まあ時間もあるし、訓練だと考えて道無き道を延々と進んでいく。
あまりの難路に些細な距離が果てしない距離に感じる。
遅々と難儀しながら深雪の尾根道をかんじきの類無しでラッセルし、漸く巻き道との分岐に8:03到着。


分岐の看板

標準所要時間の倍かかりました。
しかも、当然だがこの先酉谷山方面もトレースの無い深雪の難路が続くため、ここで引き返すことを決意する。
正直奥多摩だからといって舐めていた。
ここまで踏み跡も無ければ雪も深いとは…。
目標を丹波としていたが、己の大言壮語を猛省せざるを得ない。
先の栄誉ある撤退(笑)のタイトルは自嘲と皮肉を最大限込めたものだ。
目標の1/6、いやそれ以上かな?にも到達せず引き返すのは心底情けないが、この状況では体力的・時間的共に困難なため、撤退を決意。
帰りは視察も兼ねてトレースの無い巻き道から帰ることに。


踏み跡が無い巻き道

安易な考えでこちらの道を選んだが、これが地獄を見ることに。(笑)
ずぼずぼと氷雪を踏み抜きながらラッセルしていく。
何れもやはり膝上程の深さがあり、道は平坦だが過酷を極める。
少し進むと崖沿いのトラバースとなり、踏み外さないよう気を付けながら進んでいく。
しかし、進めど進めど一向に距離を稼げず元の一杯水避難小屋も見えてこない。
地図では極めて単調且つ短い道程なのだが、遅々として進まず、永劫の時のように感じた。


途中で休憩。山頂方向を撮影。

そして苦労して漸く9:16、一杯水避難小屋に戻る。(笑)
下山するので、緊急用のニセカロリーメイトを消費。
拷問のようなラッセルを終え、心身ともに疲弊したが、後から来る人のために踏み跡を残したとポジティブに考えることにした。
小休止を終え、下山を始める。
空は良く晴れ、少々勿体無い気持ちもあるが、まあ仕方無いね。
陽光と寒風を浴び、鳥の囀りや鹿の鳴き声に耳を傾け、自然を満喫しながらゆっくりと昨日来た道を進んでいく。
そういえば、この辺りは野生のニホンザルの生息地と地図にあるが、見たこと無いなあ。
足場の狭い急傾斜のトラバースを抜け、山腹を下っていくと、ここに来て漸く人とすれ違う。
私と同い年か少し上の単独女性ハイカーだった。
何処から来たのか尋ねられ、天目山とすぐその先まで行って深雪で断念したこと、かんじきの類が無ければ進むのが難しいことを伝えたが、今考えれば女性で身軽そうな感じだったので踏み抜かずに進めるかも?
何れにせよ、健気な女性だと思いました。
頭痛は解消したが、腰痛と靴擦れに苛まされてる私とは大違い。(笑)
女性ハイカーと別れて数分進んだところ、綺麗な鳥の羽が散乱しているのを発見。
恐らく肉食動物に捕食されたのだろう、肉片は無く、綺麗に羽だけが残っていた。


黒を基調に白と青の模様が美しい

死骸を集めるのはどうかと考えたが、綺麗な羽だったので回収。(笑)
鳥類は詳しくないので何の鳥か気になるなー。(笑)
回収を終え、山腹の道を更に進み、フェイス沿いの道から最後の杉林のジグザグの坂道へ。
ジグザグの坂道を下っている途中、二人目のハイカーとすれ違う。
単独の老年男性のハイカーで挨拶を交わし道を譲ったが、譲り返されたので先に行かせて頂いた。(笑)
長いジグザグ道を下り終え、途中でアイゼンとゲイターを外す。
ここで初めて気付いたのだが、左足のゲイターが破れていた。
恐らくつぼ足を引き抜く際に表面の薄い氷の層で切ってしまったのかも知れない。
ステッキに引き続きゲイターまで破損するとは金欠の私にとって手痛い損失だ。
泥と落ち葉の付いたアイゼンを近くの湧き水で洗い流して収納。


眼下に東日原の集落

やっと人里まで帰還出来ました。
人工物が見えるとホッとする。(笑)
簡易郵便局前の自販で温かいミルクティーを飲み11:20、バス停に到着。
さてさてバスの到着時間は…?
??11:05分?行ったばかりだ。(泣)
次のバスは…?
??13:35分?二時間半もある…(  ;∀;)
バス停のベンチで休憩しながら、この馬鹿げた事態と山から逃げ帰った事実を自嘲しつつブログに書き記す。
そして、二時間半もじっとしていられない性格なので、奥多摩駅まで徒歩で目指すことに。
前回も歩いて奥多摩駅まで行ったので、どれ程の道程なのかは承知している。
この前のヤビツ峠での転倒出血大サービスの件もあるので、凍結していたら大人しくバス停でじっとしているつもりだったが、綺麗に除雪されていたのでその心配は無かった。
少し歩き、日原トンネルに到達。


トンネルの上に聳え立つ荒々しい削られた山

このトンネル滅茶苦茶長かったな~とか思い出しつつ突入。
やはり案の定長かった。(笑)
トンネルを出た頃、急に行ったことの無い日原鍾乳洞にでも行って時間を潰せば良かったと後悔w
ここまで歩いてしまったので引き返せませんが。(笑)
延々と歩道を歩いて行く。
途中、以前も気になった大倉の檜木という名所に行ってみようか考えたが、面倒くさいのでやめた。(笑)


道路脇を流れる清流

澄んだ綺麗な清流を時々眺めながらひたすら早足で進む。
道中、やたら土木関係者の人と車両が至る所にあるのが印象的だった。


奥多摩駅まであと少し。

ひたすら進み、奥多摩駅裏手の工場が漸く見えて来ました。
そして13:15、奥多摩駅に到着☆
その後は川崎まで出てそのまま帰路に就きました。








かなりしんどい山行だったけど、景色や霧氷も楽しめたし、何よりいい経験になったから満足かな。
~反省点~
・奥多摩だからって舐めてた。あそこまで積もるとは想定外だった。ワカンかスノーシュー必須。
・山行は計画的に。(笑)
・ダウンパンツの出番なし。
・クッカーの点検。
・サーモレストだけだと少々寝心地が悪いので、余裕があればエアーマットも持ってく。
・ピッケルを買おう。(直球)
~負傷と損失~


帰宅して確認したら水膨れになってた

折れたステッキと破れたゲイター。

・靴擦れによる水膨れ
・ステッキの破損
・ゲイターの破損