ギーゴでアキラに負けた後、何回か乱入するもことごとく敗北する。

やはり当時のここは自分の実力からして数段レベルが高いのだ。

対戦の面白さは十分に感じたが、その前の実力差を大いに感じたまま家路に着いた。


数日後、またもや仕事帰りに成増のセガワーに行く。

行くと伝説のアキラ使いや友達になったウルフ使いがいた。

全体を見ると「 サラ 」や「 ジャッキー 」使いがやはり多いが上手な人は「 アキラ 」や重量級の

「 ウルフ 」や「 ジェフリー 」使いが多かった。


そんな中、反撃されない中段をほとんど持っていない「 パイ 」と「 カゲ 」はほぼ皆無で

ほとんど初心者の人か遊びで選んでる人が使ってるくらいな感じだった。


この時期くらいになると本2冊の情報からもこの2キャラの不利な部分も理解出来、

有効な中段を持ってるキャラはとても有利だという事がわかってくる。


しかし、ブライアント兄弟の最強説が流れ、一世を風靡した訳だがそれを研究し新たな戦略や技が生まれた。

こういったところに当時のバーチャの最大の面白さと魅力があったように思う。


ブライアント兄弟が流行った後、パンチ投げを主体とする重量級が流行るが

この重量級で言えば、実はジェフリーよりウルフ使いの方が多かった。

理由は同じスプラッシュでもジェフリーのスプラッシュ後の大ダウン攻撃はレバー大回転+ボタン連打で回避可能だが、ウルフは回避不能。そして同じダメージを持つジャイアントスイングもあるという二つの有利な部分と、ジャイアントスイングの豪快さに惚れた人、又はプロレスが好きな人、という部分が大きかったと思う。


この時期、重量級が流行りだした頃、先日のギーゴのアキラ使いのように倒身捜腿→槍下炮連打も流行りだしていた。回避しずらいのもあってこの当時の自分みたいに対応策をしらない人にとっては絶対に勝てない相手でもあった。


しかし、こういうのがあっても、なぜかあの英雄のアキラ使いはそれを絶対に使わない。

そしてあの友達のウルフもウルフでのスプラッシュは使わずたとえ相手の体力がわずかでもジャイアントスイングで締める。

そこが彼らの拘りだと思うが、その部分がとても魅力的ですごく自分を惹きつけた。

この頃からか彼らから影響を強く受け、後の自分のスタイルになっていったように思う。



ホームや成増で修行(笑)を続けていきバーチャの魅力にどっぷりと浸かっていた頃、またしても流行が起こった。しかも数々進化してきたキャラの最強説を終わらせるかの勢いである。


それは今まで、今ひとつ私の注目から外れていた、「 ラウ 」であった。






池袋ギーゴに着くと当時B1に物凄い数の対戦台が立ち並んでいた。

そしてそれを取り巻くように物凄い人の群れを作り、異質な空気を醸し出していた。


その熱気に正直着いた瞬間に飲まれた(笑)

しばらくその空気に慣らすかのようにいつものコーヒーを飲みながら観戦をしていると、

ここのレベルの高さもとても驚いた。


なにしろ速度が速い。対戦キャラクターの動きもそうだが、対戦者の入れ替えやコイン投入、試合終了までも凄い速度で流れていく。まさに自分にとって圧倒された瞬間でもあった。


そんな中、少しずつ落ち着きを取り戻し冷静に場内を見渡すとここのキャラの流行に目が留まった。

なんとここでは、アキラとラウが比較的多く使用者のレベルもとても高いのだ。

ホームと成増のセガワーしか知らない自分にとっては対戦するのもまた違った雰囲気の中での

緊張がとてもあった。


最初の相手はアキラ。最初という事で一番使い慣れている「 サラ 」で行く。成増の英雄ほど魅せる腕はないが、非常に強い。起き上がりの二択の中でパンチ→倒身捜腿の投げをことごとく決められる。

しかも一度寝かされるとタイミングを計った槍下炮をことごとく当てられ二度と起き上がれない…。


そのままストレート負け。ギーゴでのデビュー戦はやはり敗北からのスタートであった。


成増のセガワーで出来た友達から、色々とバーチャの情報や技術を教えてもらう事が出来た。
今まで出せなかった技のコマンドの入れ方、タイミング等色々と教えてもらった。

そうしていく中で、「サラ」以外のメインキャラクターを考えるようになり、私は「ウルフ」を選択するようになっていた。スプラッシュが決まれば、大ダウン回避不能の有利さとジャイアントスイングの豪快さがとても魅力的だったからだ。
 
この時期になると、最強と言われていたジャッキーやサラに対抗すべくテクニックが色々と出てきた。
しかし、コマンドの簡単さや発生の早い中段等、同じレベルのテクニック同士では、やはり有利だと私は感じていた。それと同時に、自分の中でこの有利さゆえのつまらなさを感じ始めてきていた。
そう、簡単なコマンドで勝って当たり前的なキャラクターに魅力を感じなくなってしまったのだ。

人によってキャラクターに感情移入する人も多い。
有利、不利を離れてそのキャラクターが好きだから選ぶ。そういう選択も当然ありだと思う。
最初のキャラの「サラ」には思いいれもあったが、この次々と新しい発見があり、次々と進化を続ける対戦の中で私はもっと奥があり、使っていて面白そうな「ウルフ」を選択した。
当然、最初は技を覚える事から入ったが慣れもあり、すんなり出せるようになるのに時間はかからなかった。

数日後、久しぶりにホームへ出向く。
自然に対戦台に入り遊んでいると、いつの間にかっここで連勝を築けるようになっていた。
私の姿を見て、久しぶりに店長さんが乱入。
ウルフでは初対決であったが、成増の高レベルでもまれたのもあり、スプラッシュが面白いように決まる。
数回プレイしただけで、店長さんは入らなくなったがホームではもう対戦を満足に楽しめる事が出来なくなっていた。

またしても数日後、成増のセガワーに行くと対戦台の上に全コマンド表が掲示してあった。
そこには、ウルフ、ジェフリー限定で「しゃがみPからアッパー、スプラッシュ」と連続技が記入されていた。
実際、この技は連続技では無いのだが、この当時は情報の不確定さやまだまだ底が見えないバーチャの謎めいた部分があったから、これはこれで今思うと面白い現象だったと思う。
カウンターのアッパーが決まり、相手の反応が悪ければスプラッシュまで行く。
しかし、相手がジャンプキック(レバー上+K)をすれば回避可能である。これはパンチ投げにも有効で、このくらいの時期になるとよく見た光景でもあった。

成増での対戦でかなり自信がついて来た私は、休日に洋服を買いに池袋へ行った。
たまたまサンシャイン通りを歩いていたら、「池袋ギーゴ」という大きなゲーセンを見かけた。
何気に入ってみると…あるある(笑)
成増の倍くらい対戦台が物凄い熱気と共に異常な空気を出していた。

成増で大きな刺激を受けた私は、翌日ホームでジェフリーの練習をする。

しかし、昨日見たスプラッシュは自分にとってコマンドやタイミングが難しすぎるのだ。
コンピューター相手にも出ず結局慣れた「サラ」で対戦に入る。
「サラ」というキャラは、最初から遊んでいるのもあり、この当時は一番思い入れのあるキャラであった。店内で遊んでいると、またしても店長さんとバトル。お互い勝ち負けを分け合い、この日は店を早めに出る。

数日後、久しぶりにバーチャを楽しもうと仕事帰りに成増のセガワーへ行く。
今回は一人というのもあって、慣れない環境と緊張感がこの時はあった。
店内に入ると、やはりバーチャ付近は大繁盛で順番待ちの列とギャラリーでとても賑やか。
その輪に入り、対戦をするもボコボコにされてしまう…。

負けずに対戦の順番のルールを守りつつ、どんどん乱入を続けていく。
1回100円の対戦で2000円ほど使った所で一服タイム。
台を見渡すと、またしても前回のアキラが連勝を重ねていた。
他の台よりギャラリーも多くやはりこのゲーセンでは、かなりの有名人らしかった。

対戦をしていると、ある程度その人のタイプといったものがわかるようになってくる。

① ホームの店長さんのような温情型のタイプ
② 完全に勝利至上主義でどんな手段を使っても勝つ!それがどんなに醜い戦い方でも勝つ事に全てをかけるストロングスタイルなタイプ
③ ファンタジスタなタイプ 美しい勝ち方をし、自分の理想とする勝ち方を目指し、つまらない勝ち方じゃ納得しないタイプ 別な言い方をすれば魅せるタイプ

自分が独断と偏見で判断すると、この3タイプに別れる機会が多かったと感じた。
このアキラ使いは間違いなく魅せるタイプで、ギャラリーを引き付け、尚且つすごく強い!といったある意味理想系な人だった。


数日後、結婚を控えている身にも関わらず、連日バーチャに明け暮れている自分にとって金欠という状態が常に付きまとうようになってくる。
対戦台はかなり勝ち越さない限り、どんどん100円玉を浪費してしまうのだ(笑)
下手な自分はすぐ1000円が無くなり、長くいるとすぐ5000円が無くなる(笑)
多い時は1日1万5千円くらい対戦で使った事もあるくらいだ(笑)

そんな月日を過ごしていくうちに、またしてもバーチャの本に出会う。
「バーチャファイター マニアックス」という本である。
この本は前回購入した本より、全てが詳しく、各キャラクターの技が全て写真つきで載っていて、発生速度や持続時間、ダメージ等も記されていた。
即購入し、しばらくは予習(笑)に励むようになる。
しかし、これが自分の実力を格段に上げる要素になった。
使える技や発生速度、中段か上段か、等色々と自分で考えるようになり、知識といった部分が非常に豊かになってきたのである。

聞きなれない言葉も多数あったが、一つ一つを理解し、給料後の実戦へ向けて学んでいった。

給料後、またしても成増のセガワーへ。

やはり、バーチャはすごい混みようだった。
台を見渡すと、やはりいた(笑)あのアキラ使いだ。
1P側がプレイしやすいと思う人が多い中、いつもこの人は2P側に座り、連勝を伸ばしをフィニッシュを華麗に決めていく。しかも最後はいつもの鷂子穿林。
鷂子穿林でKOをすると、画面が通常と違った映りになる。これがまたいい感じなのだ。

思わず見とれながら、ギャラリーをしていると、一人のウルフ使いが乱入してきた。
開始早々、ウルフのPがヒットする。
そうすると、いきなりあの「スプラッシュマウンテン」が出た。
周りがかなり騒がしくなってくる。これがあの、「 パンチスプラッシュ 」という奴だった。
一気に体力を奪われたアキラは中段蹴りから裡門の速攻で体力を削っていく。
しかし、ペース的にウルフの流れであっという間に2本先取。
そして3ラウンド目、混戦の中ウルフの放ったしゃがみPの後、いきなりアキラの足をつかみ出した。
そう、これが「 ジャイアントスイング 」を初めて見た瞬間だった。

周りに歓声が響いた。
アキラ使いもすごいが、このウルフもすごかった。
私は黙ってみていたが、正直、またしても感動してしまった。

この後、お互いに勝ち負けを繰り返し、この名勝負は終わる。
ウルフ使いは歳は自分と同じくらいだったが、非常にセンスが良くなにしろ上手だった。

タバコを吸いながら休んでいる時、どうしてもこの彼に話しかけてみたくなった。
勢いのまま、話しかけると愛想よく話してくれた。
バーチャを通して初めて友達が出来た。

連日、ホームでの店長さんとの闘いの中で日々少しづつ自分が強くなっていくのがわかった。
そこで、全キャラコマンド表以外、何か情報は無いかと、何気にいつもの商店街の本屋に寄ってみた。
さすがに、ゲームセンターのゲームの攻略本は無いだろう…と思いながらもゲームコーナーに目をやると、名前は忘れたが1冊の本が目に飛び込んできた。
それはバーチャに関する本で、バーチャについて大まかな内容が書かれていた。
即レジに向かい、帰宅後、穴が開くほど隅々まで読みまくった。
序盤だったと思うが、ジャッキーが最強キャラで本来主人公候補、ガードしたまま出せるダッシュハンマーで既にこのゲームは終わっている…みたいな内容がかいてあった。

その本で多少の知識をもった私は、店長さんにとうとう勝てる日がやってきた。
技もスムーズに出せ、やっと「 じゃんけん 」の原理を理解し、起き攻め等が出来るようになり、今まで後半サービスしてくれていたが、この頃になるとそのサービスも無くなり接戦で勝つことが出来た。
相当、悔しかったのか、店長さんも負けると連コインをし、お互い毎日の日常で数時間対戦を楽しむようになっていた。
そんな毎日の中、あまりにもバーチャにはまり、初めてゲーセンの終わりまでバーチャをし、店長さん自ら私に「 もう閉店の準備させていただきます…」と言われてしまう(笑)

多少、自信がついてきた私は、このくらいの頃からホームで店長さん以外とも対戦をするようになっていた。当然、最初の頃に感じた対戦への抵抗感は全く無く、逆に対戦じゃないと面白みを感じなくなっていた。
そして、勝ち越しとまでは行かないが、大抵ホームでは勝ち負けできるようになり、「サラ」以外のキャラの動きや技も対戦や本を通じてわかるようになっていた。
そして、このゲームで一番有利なキャラ、ようするに強いキャラは誰なんだろう…。と考えるようにもなってくる。

遊びで「サラ」以外に色々と使ってみたが、やはりブライアント兄弟が最強で、次に「アキラ」、
「ラウ」のグループで「ジェフリー」「ウルフ」は一発は重いけど動きやスピードが遅いし投げ技がメインと考えると、そんなにチャンスも無いし、そうとう弱いだろうと考えていた。「パイ」「カゲ」はしゃがまれると終わりってイメージもこの頃あり、最弱、とも思っていた。

対戦に飢えてきた私は、職場のT君にその事を話し、T君の勧めでT君の地元の板橋区成増のセガワールドに行くことになる。そこはホームより規模が大きく2階建てで活気があった。(今はセガワールドでは無く、クラブ・セガというらしいです)
2階に行くとホームよりも多く対戦台がずらりと並んでいて、対戦者の数、熱気、レベル共、全然高かった。
そこで、物凄く強く30連勝しているアキラを見かける。
20代前半の人でやや斜めに座りクールにアキラを動かしている。
そのアキラの動きを見ると、動きに全く無駄が無く、一言で言うととても強く、そして勝ち方がエレガントであった。
どんなに相手の体力が無くなろうが、フィニッシュには必ず「鷂子穿林」を狙いそれで決める。

カッコイイ勝ち方を目指し、それでいて物凄く強い…。

見てるだけで満足なくらいこのアキラにはやられてしまった。
そのアキラのテーブル以外を覗いてみると、サラやジャッキーが多かったが、意外と重量級のキャラも見かけた。

周りの熱気に、T君もバーチャをプレイ。私も負けじとプレイするも、成増のセガワーのレベルは当時の私の実力よりも相当上で、全く歯が立たない…。私のサラより、数段上のサラばかりであった。
そんな中、弱いと思っていた重量級使い(ジェフリー)を見ていたら、見たことの無い投げ技をしている。
そう、それこそがダウン攻撃をすると体力のほとんどを奪う「 スプラッシュマウンテン 」であった。

            「す、すごい!!!」

私は正直、このスプラッシュを初めて見て感動してしまった。

今、私は東京の真ん中あたりで仕事をしているが、この当時、私は東京の板橋区に住み職場も同区内で仕事をしていた。職場まではほどよい距離であり、通勤も全く苦では無かった。
職場付近にはたくさんの団地があり、この周辺はいい意味でレトロさを感じる地域でもある。
そんな職場の中で私自身、まだ若手の部類だったが、同じ職場内に次々と後輩が入ってきた。
仕事以外のプライベートの話題は大いにしたが、ことゲームとなると自分自身に引け目もあり、後輩にはこのバーチャの話題はしないでいた。

しかし、先日の店長との対戦をどうしても誰かに話したくなり、仕事の合間のジュースタイムに話してしまう。
この当時、このT君とは仕事終了後、車で都内を遊びに行ったりしていたが、話したその日、池袋のサンシャインの地下にあるゲーセンに別件を兼ねて遊びに行った。
この日はあくまでも別件がメインでゲームはついでだったが、バーチャを見つけるとすぐに私は一人プレイを楽しんだ。
T君も最初は見て驚いていたが、すぐにサッカーゲームの方へ行き熱くプレイしていた。

この日は2コインくらい一人で遊んで終了。
で、次の日T君が仕事終わりに職場付近の古ぼけたゲーセンへ誘ってくれ、一緒に行くことになる。

このゲーセンは中は狭いがかなりの人混みでメインのバーチャは対戦台1セットしかなかったが、すごい人気で人だかりが出来ていた。
そこで改めてバーチャ人気のすごさと、ここまで対戦に熱い空間というのも初めての体験だったというのもあり、異常にワクワクしたのを覚えている。

合間から覗くと、ものすごく強いジャッキーが華麗な動きでラウを圧倒している。
全コマンド公表前だった時期にも関わらず、様々な技を彼は出していた。
対戦台を見てると、不思議と自分が前々に追い出されているのに気がつく。
そう、ここで対戦の暗黙のルールみたいなのを知ったのである。
ようするに、負けたら一度席を譲る。で、誰も入らなければ連コインOK(笑)
そんな流れが何回か続き、なんとなく周りが自分がやる番的な雰囲気になり、そのジャッキーに挑戦する事になる。
正直、対戦自体にまだ抵抗があった自分は正直、ドキドキ状態である。
コインを入れスタートしてすぐ秒殺(笑)
ここは2ポイント先取で勝利だが、これでもか!ってくらいにボコボコにされる。
記憶ではダッシュハンマー(ジャッキーの当時主力武器)で以上!って感じであった。(当然、その当時はその技や名前さえ知らなかったが、モーションだけは鮮明に記憶し後日、その存在を知る。)

ボコボコにされた後、妙に虚しさと恥ずかしさに苛まれ、すぐこのゲーセンを後にする。
T君もバーチャを少し見ていたが、自分が対戦してる最中に彼はサッカーゲームをしていた(笑)彼が覚醒するにはもう少し先の事である(笑)

それから数週間は色々と多忙でバーチャ自体を忘れてしまう。

そして時間的に余裕が出てきた時、また買い物のついでにホームへ寄る。
店内は特に変わりはないが、店員さんがいるカウンターの上へ何気に目線を送ると、

「バーチャファイター コマンド一覧表」と書かれた紙が置いてあった。
驚きながら手に取り隅々まで見ると、全キャラクターのコマンド表が記してあった。

          「 これだ!!!! 」

物凄い喜びと興奮が自分を襲い、勢い余って2000円分両替してしまう(笑)
今思えば、この自分のホーム店は、セガ系列のお店だったのもあり、コマンド情報を提供してくれたのかもしれない。(セガ系列以外でもこういう現象は他でもあったのかもしれないが。)

で、即一人台を占領…

とにかくコンピューターに負けてもいいから、自分の持ちキャラである「サラ」に書いてある技を
全て出すことを目標にする。
連コイン、連コインとジャンジャン100円玉を投入し、技を出し続けていくと店長さんが出していたコンボサマーやジャックナイフキックを自分で出せるようになってくる。(最初、コンボサマーが難しく感じ、出すのにとても苦戦した。)
また、見たことのないトーキックサイド等は感動ものであった。

数時間後、途中一服タイムをしながらコマンドを出すイメージをする。
そこで、またしても店長さんが対戦台へ。
どうしても試したくなり、勢いで乱入。
ぎこちないながらも覚えたての技を繰り出してみるものの、ことごとく返り討ちにあってしまう。

何回か連コインしたものの、前回と同じ(1,2先取され3,4遊んでもらい5でKOされる)パターンで終わる。
コマンドうんぬんより、自分は何かが間違っている…。

こういう日がここから何日か続く…。しかし、そんな店長さんとの対戦で負けながら確かに学習していく。

「 先制攻撃、ガード、自分の有利な時間、ダウン攻撃、ダウン攻撃回避、起き上がりの攻防 」

この時点で自分が気がついた点はこれらだった。
そして、初めて店長さんに勝てる日が来た。

初めてのエンディングを見てから、数日はバーチャに満足してしまい、いつものゲーセンには行かなくなった。買出しの時もゲーセンの目の前を通るも素通りの状態であった。

そんなある日、久しぶりにあの3Dを味わいたくなってしまい、いつものエスカレーターを昇り2Fのホーム(笑)を目指した。ここは大きな商店街の一角にあり、なぜか親子連れや小学生が多く見た目や雰囲気からして、とても安全で私が子供時代に遊んでいたゲーセンとは明らかに違った(笑)
ホームに着くと、何人かがバーチャを楽しんでおり、いつもの一人台に座り「 サラ 」を選んだ。

台に座り改めて遊んでみると、以前よりやや落ち着いてプレイ出来るようになっている自分に気がつく。
今回は調子も良く一気にラウステージまで行く事になる。
自分なりのパターンとして、ジョイントパットを連発したり、相手の中段蹴りをガードして反撃、という一つのパターンを覚えたのもあった。
やはりこの時期ではさすがに連コインしないとクリア出来ず、何回かトライした後デュラルまで行く。

この当時、自分は投げ技というのをほとんど使わず(というより使えず)、打撃のみで闘っていたが対デュラル戦で自分にとって不思議な現象が起こった。
初めて投げ技で背後投げの「 バックドロップ 」を決めることが出来たのである。動きのモーションもよく出来ていてとてもリアリティがあり、すごく嬉しかった。

今回は意外と早くクリア出来たのもあって、連コインせず一服しながら辺りを見てみた。
自分のプレイに集中して気がつかなかったが、対戦台が2台空いていてさっきまでいた人の姿は無くなっていた。

一服を終え、もう100円だけ遊んで帰ろうとした時、一組のカップルが一人台に座りだした。

                 「 どうしようかな 」

少々悩んだあげく、空いている2台の対戦台のうち手前の対戦台に座ることにした。
選んだキャラはいつもの 「 サラ 」。
いつも通り先に進んで行き、パイステージで苦戦している所で、いきなり大きなコイン投入音がし、相手が来た。今まで対戦というものを経験していない自分にとっては、ドキドキしてしまう。
相手はキャラクター選択画面で、自分と同じ「 サラ 」選んだ。

対戦が始まる瞬間、何とも言えない空気が自分にあり、異常にドキドキしてしまった。
開始早々、見たことも無い技が自分にヒットする。

           「ジャックナイフキック」である。

技表にも載っておらず、当時の自分にはわからない技であった。
その後、的確なダウン攻撃、そして中間距離での、「レッグスライサー」。
そして、「コンボサマー」。
見たことの無い技のオンパレードと相手の的確な動きに完全に完敗である。
そして3本先取中、相手が速攻2本奪取。

3本目、こっちが残りわずかな状態になると、相手が突然ガードしなくなった。
「これはチャンス??」とばかりに、自分の知っている技をどんどん繰り出していく。
同じように4本目も相手は動くが、ノーガード。
この当時、相手の心理がどうのって考える余裕も無く、ただがむしゃらに攻撃していく。

そして最後の5本目。

さっきとは全く別人の動きで、面白いようにコンボサマーやレッグスライサーが自分に当たる。
そして最後はダブルジョイントパットで浮かされながらもう一度ジョイントパットで終了(笑)
完全に叩きのめされた自分は、すぐ席を離れ遠めで観戦する。
初めての対戦と相手の強さに興奮が抑えきれず、一服しながら冷静さを取り戻す。
そこで、自分の試合を見ていた20代前半の人がすかさず乱入。
ジャッキーを選ぶがレベル的に自分と同じ初心者で、一方的に2ラウンド先取されるが自分と同じく3,4本目は相手にわざと取らせていた。
こういう戦い方には色々と見方があると思うが、自分は嫌いじゃなく相手の存在や性格がゲームを通して伝わる部分に妙に好感を持てた。
連コイン後ジャッキーは去っていき、サラは連勝を重ねていた。

      「 いったいどんな人が動かしているんだろう… 」

そういう衝動に駆られた自分はそっと2P側に回って覗き込んだ。

      「 あ、、 この前のお店の人だ! 」

のちに店員同士の会話から、ここの店長という存在がわかる事になる。

私は当時、朝早く上がるのも早いっていう時間の仕事に就いていた。今と正反対の時間帯である。
なので、当時彼女と同棲していた私は朝食や夕食の買い物の担当をしていた。
この担当の時間こそが絶好のバーチャタイムでもあった(笑)

パイまで進めるようになり、気分的に少し余裕が出てきたあたりから、今更ながら気がついた事があった。それは…「上段攻撃 中段攻撃 下段攻撃」である。
当初、それらを考えながらとか相手を見ながらといった感覚が自分には全く無く、目の前のキャラをとにかく打撃を当てて倒す!といった原始的な発想しか無かったのである。
ちなみにガードボタンを押す割合は全体の約1割程度だったと思う。

立ちながらPボタンは上段攻撃、それはなんとなく画面を見てもわかった。下段Pも同様である。
しかし、中段がわかりずらく技表にある「ダブルジョイントパット、サマー」などがそれだったが、技表に無い技がたまに暴発(笑)した場合、それが中段なのか何なのか全くわからず、あまり深く考えなくなっていたのもあるのかもしれない。この時期、サラステージまでは覚えたての技を駆使すれば案外すんなり行ける様になっていたが、カゲステージ、パイステージでは結構やられ連コインもジャンジャンした。

そんな中、あることに気がついた。サラのノーマル中段蹴りを出すとその後にすぐガードボタンを押しても打撃を必ず喰らってしまう…。また、イリュージョンキックにしても同様でこちらは相手が喰らわずガードされると反撃されてしまう。そこで何気に自分の中で出して有利な技、出すと危険な技というのを学習した。また、投げ技にしては狙って出す、というのが出来ず暴発でネックブリーカーが出るくらいであった。

そういえば、カゲステージでは確か残り時間が少なくなり、カゲの方が体力ゲージがあった場合、逃げて判定勝ちというのを何回かされた経験があったっけなぁ…。あと、パイステージの音楽も独特のリズムでとても印象的だった。

そうして、連コインしながら何とかラウステージまでたどり着き、相手の猛攻に負けないくらいこっちも連コインとレバーをガチャガチャやりながら(当時はまさにレバーとボタンをガチャガチャ)クリアし、アキラステージでは連コインしながら、とっさに出た上段ジャンプ、そこからKがことごとくヒットし何とかクリア出来た。

最後に出てきたのは全身金属で出来た鉄の塊みたいなキャラ(笑)
初めてこれを見たときは、意外だったが、攻撃を当てた時の金属音がこれまたいい感じだった。
完全にKOされたが、初めてエンディングまで行き、何かものすごい達成感が自分の中にあり、「これでひと段落!」って感じであった。
エンディングの画面も自分の対戦してきたハイライトシーンが流れ、ポップなイメージのする音楽と共にゲームを終えた。

この達成感からか、この日はこのまま買い物に行きそれから数日はバーチャから遠ざかる事になる。




初めて遊んだ数日後、近所への買い物がてらにまたしてもあのゲーセンへ足を運んだ。
最初の衝撃から数日が経ったが、自分からそしてバーチャの為にゲーセンへ行くというのは自分からしてとても珍しい現象であった。そのゲーセンは数階建てのビルの2階にあり、当時そのビルはまだ出来たばかりというのもあって、とても綺麗だった。

エスカレーターに乗り2階に上がるとゲーセンの入り口からクレーンゲームや様々なゲームの音が聴こえてきた。中に入り、久しぶりにバーチャを覗くと誰も遊んでいなかった。
数日ぶりに改めて見た画面はやはりよく出来ていて遊び心をくすぐる何かがあった。
コインを入れ前回と同じく「 サラ 」を選ぶ。

前回は2面のジェフリーステージで敗北をしたため、前回より先に進むのが目標でもあった。
最初のジャッキーステージは適当にPPPやPK、KPなどで簡単にクリアー出来たがジェフリーステージでまたしても苦戦が続く。今思えば何のことも無い楽な面でも当初はすごく難しく感じた。
ここでまたしても負けてしまい、今回は時間もあり初めての連コイン投入!(笑)
なんとか暴れて勝ち、3面のサラステージへ。ここで自分の中でまたしても衝撃があった。

             「かっこいい!」

夜のビルの屋上というか、夜景を見下ろすステージが、なんとも言えない雰囲気があり、すごく印象に残った。
音楽もなかなかリズムカルで良く、同キャラ対決もとても新鮮であった。
しかし、またしてもここで負けてしまう…。
ポケットから100円玉を取り出しながら、何気に目線を動かしてみると技表みたいなのが目に入る。最初の時には気がつかないほど、このゲームにのめり込んでいたのかもしれない(笑)
キャラクターごとに技がいつくか表記してあり、サラにもいくつかも技が書いてあった。(記憶からすると、サマーやダブルジョイントパットがあった気がする)

もう一度最初から技表を見ながら進めていくと、今まで見たことの無い技がぎこちないながらも出すことが出来、これがまた新鮮で楽しい。サマーにしても今からすれば超簡単コマンドだが、当時はなかなか出ず苦労した。

ここでまたしてもステージの壁がある。サラステージを何とかクリア出来たが次のカゲステージがどうしても勝てない…。何回か連コインしたが、自分では勝てなかった。
半分あきらめかけ、席を立ちコーヒーを飲みながらタバコを吸っているとまたしても対戦台に人が集まってきた。

「あれ? あれってここのお店の制服??」

対戦台でサラを動かしてる人はどうみてもここのお店の従業員の制服と同じだった。その人はさっきまで自分が動かしていたサラとは全く別な動きで軽やかに技を決めていく。相手のラウはほとんど反撃出来ずにKOされていた。

あの動きに触発されたのか。、またしてもやりたくなり一人台でプレイ(笑)
技表にある技を出せるようにするのと、先の面をクリアするのを目標にコインを入れまくる。
3000円近く使った所で買い物時間になり、この日はゲーセンを後にした。
最終的にパイステージまで行けるようになり少し進歩した自分がすごく嬉しかった。



今から13年ほど前、ゲームセンターとは中学1年生以来無縁だった自分が、たまたま彼女とクレーンゲームをしに地元のゲームセンターに寄った。普通にクレーンゲームで数百円使い両替をしに両替機に行った所、ゲーム機が立体的になっていたのに驚いた。

自分が子供の頃、インベーダーやギャラクシアン、平安京やムーンクレスタ等が大人気でクラスの皆と放課後によくゲームセンターにダッシュ(笑)でよくいったものだ。その当時、ゲーム機というのは平面でレバーやボタンが足元付近にあり、どうしても前かがみになって遊ぶのが普通だったが、最近のは座った目線のまま大画面でゲームが出来、尚且つレバーやボタンも自然な位置で動かせるようになったんだなぁ…と関心もした。

両替のコインを取り、さりげなく他の台を見てみると、やけに人が多い台が数台あった。
興味本位で覗きに行くと、そこには見たことのない3次元空間を描いてるゲームがあった。
その時、自分の中で物凄い衝撃にかられ、思わずゲームに見とれてしまった。

「これは??」「しかも人間対コンピューターでは無く、人対人??」「対戦台??」

遊んでいる人は20代後半くらいの人と30代前半くらいの人の熱いバトルだった。その時は全然わからなかったが、今思えばサラ対ジャッキーの兄弟バトルだった(笑)
自分はその時点で25歳であり、いい大人があんなに真剣にレバーやボタンを叩き、台が揺れるまで熱くなってるのを見て正直、笑ってしまった。 が、しかししかし、どうしても1回遊んでみたくなり台が空くのを待って遊ぶことにした。
対戦台になっていない台が1台あり、そこが空いた瞬間、100円を入れてみた。
キャラクター選択画面で何気にサラを選んだ。
ゲーム開始直後すぐ感じたのが、

                「なんだこれは??」 

正直、自分の中で何かが弾けた(笑)