「命売ります」三島由紀夫
★★★☆☆
「週刊プレイボーイ」1968年5月21日号から10月8日号に連載された三島由紀夫の長編小説です。
三島由紀夫はちょっと久しぶりに読みました。
今回読んだこの「命売ります」はかなりエンターテイメントの要素が強くてスラスラ読めました。
この人は文学作品からエンタメ小説まで幅広く書けるなぁ、と感心。
やはり、面白い小説を書く人でした。
コピーラターの羽仁男はある日突然、新聞の活字がゴキブリに見え
「ああ、世の中はこんな仕組みになっているんだな」
と、感じ自殺を図る。
しかし、自殺は失敗し生き残ってしまう。
どうせ死ぬつもりの命だってことで、「命売ります」ろいう広告を新聞に出し、自らの命を販売することに。
最初に着た客は金持ちの老人で、50歳年下の妻が不倫しているという。
老人の依頼はその妻るり子と、関係を持ちそこを相手の三国人に見せ、2人ともその三国人に殺されてくれといものだった。
羽仁男はるり子の部屋へ行き、るり子と関係を持ち三国人に現場を見られるが殺されることなく、帰宅。
しかし、その翌日るり子の遺体が隅田川で発見される。
次の依頼は図書館司書の女。
彼女は飲めば自殺したくなる薬の実験台になるように羽仁男に依頼。
実験台になれば、司書に多額の報酬が入るということだった。
その薬を飲んだ羽仁男だったが、効果はなかった。仕方なく、自らの意思でピストルをこめかみに当てた羽仁男だったが、女が羽仁男からピストルを奪い取り、自殺してしまう。
さまざまに人に命を売るが死ぬことができない羽仁男は次第に死に対する考え方が変化していくのだった・・・・・・・
といった内容です。
死ぬために命を売るけど、なぜか死ねない。
それを続けているうちに起こる主人子の心理の変化を描いた小説。
ハードボイルド風の空気感があり、エンタメとしても普通に楽しめる内容になっています。
そして、やはり三島由紀夫らしい、現代社会における生と死の問題を皮肉っぽく描いた作品でもあります。
命を捨てた主人公の自由さや、どこの組織にも属さない人間もいるという主人公の主張がとても面白かったです。
本当に自由に生きるのは、不自由なんだんぁって感じますね。
主人公は割と裕福な生活ができるくらいのコピーライターだったのも関わらず、全てを捨てて命を売る。すると今まで味わったことの無かった困難な状況や、自由な時間を体験することになるんですよね。
その、自由さというのが、自由過ぎるから逆に不自由でなんとなくアンビバレンツな状況を創り出しているのが面白いです。
自分自身の人生を考えて自由に生きるのは困難だぁって再認識しました。
三島由紀夫の純文学小説はちょっと苦手だぁ、って人にもぜひ読んでいただきたい作品ですが、個人的にはやはり純文学作品の方が好きでした。
興味のある方はぜひ読んでみてください。
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【場所】
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