★★★★☆
川上弘美の小説は「神様」(感想はこちら)につづいて2冊目です。
この作家さんの小説はまだ多く読んでいないのですが、2冊読んだ感じで言えば凄く好きな感じです。
今回読んだ「光ってみえるもの、あれは」はいわいる青春小説です。
高校1年生の男の子が主人公で、彼を取り巻く家族や友人などの関係を描いた小説です。
なにか凄い事件が起きるわけではないのですが、最初から最後までとても面白く読むことができました。
あまり、高校生としてのリアリティはないんですけど、青春時代のちょっとイタい感じとか、世の中に対する感情とか、家族とか友達とか恋人とか青春時代になんとなく感じていることが1人の男の子を通じてなかなか爽やかに描かれているのが良かったです。
江戸翠は高校一年生の男子。
翠は母親の愛子と、祖母の匡子と3人で暮らしている。
遺伝子上の父親は、翠の住んでいる家にひょっこり遊びにくる大鳥さん。
大鳥さんはひょうひょうとしていて、甲斐性はない。
愛子と結婚しなかった理由は「馬」だったらしい。
翠には平山水絵というガールフレンドと、花田という友人がいていつも3人一緒だ。
翠は水絵といつもセックスしたいと考えているがなかなか上手くいかない。
水絵の何気ない表情がとてもかわいいと思っている。
花田は少し変わっている。
ある日、花田から女性用の服が一式ほしいと相談される。
花田が着るための洋服だという。
2人で探すが、なかなかいいのが見つからない。
そこで、水絵に相談しセーラー服を一式揃えることができた。
そして、花田はセーラー服で登校してきた・・・・・
といっいった感じの内容です。
全然、あらすじになっていませんが。
小説の中では物語というよりも、翠くんの心情がひたすら綴られていいます。
家族のエピソードを思い出したり、大鳥さんとの思い出やら、水絵の「ふうん」についての考察やら。
母親の愛子は作家をしているようで、忙しいみたいです。
祖母はほとんど家を出ることはありませんが、ときどきフラっと出て行きます。
大鳥さんは、凄く自由に生きているようで、寅さんみたいです。
こんな人が父親だったがきっと大変だろうなぁ、って思いますね。
本人は楽しそうなんですけど。
個人的に面白いな、と思ったキャラクターは友人の花田です。
彼は突然女装を始めます。
女装を始める理由が面白いんです。
「この世界、みたいなものに溶け込んじゃってる感じがして」
女装をしたいのだと言う。
「つまりさ、いつものなじんだ場所とか、いつもの似合うものばっかりに囲まれてるから、どんどんシミシミしてきちゃうんじゃないかと、こう、花田クンは考えるわけですね」
と言う。
「ぜんぜん似合わないものを持ってきて、シミシミから遠ざかろうと」
しているのです。
この感覚ってなんか凄くわかる気がします。
世界に溶け込んでしまうことの危機感というかそういうものって、持ってる人は凄く持ってる気がします。
それが、いいことなのか悪いことなのかわわからないんですけど、世界に溶け込んでしまってはいけない!なんとかしてそこから脱出しなくては、って考える人って意外と多い気がします。
自分もそんなことを薄ほんやり考えます。
花田の考えるよなやり方で世界に溶け込むのから逃れようとする人ももしかしたらいるのかもなぁ、って思います。
自分は花田ほど度胸がないので、流石に女装はできませんが、きっと何か別の方法で少しでもいいから溶け込むのから逃れようとしているのかもしれないですね。
主人公の周りにいる人々はみんなどこか少し変な感じです。
そして、主人公んの翠はつねに
「ふつう」
でありたいと思っているし、自分を「ふつう」だと思っています。
でも、翠もやっぱりちょっと変なんですよね。
高校生男子のリアリティはありませんが、高校生の持っている世界を極端に表現しているようでなかなか面白く読めました。
この作家さんの小説はぜひ他のものも読んでみたいと思います。
【写真展告知】
渋谷宙希写真展
「きみの顔が思いだせない。」
2015年12月2日(水)~12月6日(日)
12/2(水)-5(土)は15:00-20:0012/6(日)は14:00-17:00
【場所】
birdie photo gallery
こちら↓(画像をクリックで移動します)のサイトで、写真、イラスト、DJなどの作品を公開しております☆よかったら遊びに来てくださ♪



